當とは?

はた【将/当】

[副]

あるいは。それとも。はたまた。「夢か、—幻か」

さらにまた。そのうえまた。「野越え山越え、—海を越え

「かくては生けるかいもなし。—如何にして病の牀のつれづれ慰めてんや」〈子規墨汁一滴

ひょっとすると

「さ雄鹿(をしか)の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君が—逢はざらむ」〈・九三五

それはそれとして。こちらはこちらで。

「男破(わ)れて、逢はむ、と言ふ。女も—、いと逢はじ、とも思へらず」〈伊勢・六九〉

そうはいっても。とはいえ

「しばし休らふべきに、—侍らねば」〈源・帚木

いうまでもなく。まして。

女房共、いまいましきまで泣きあひたり。若君乳母、—言ふべきやうなし」〈今昔一九・九〉

思ったとおり。やはり。

「ひとへに魔王となるべく大願誓ひしが、—平治の乱出で来ぬる」〈読・雨月白峯

否定疑問感動などの表現強める語。まったく。いったい。

「家のうちに足らぬことなど—無かめるままに」〈源・帚木

「いで、あな悲し。かく—おぼしなりにけるよ」〈源・帚木


とう〔タウ〕【当】

【一】[名]

道理にかなっていること。理屈に合っていること。「当を得た答え

そのものに相当すること。「一騎当千

仏語来るべき世。来世当来

【二】連体この、その、現在の、今話題にしている、などの意を表す。「当劇場」「当ホテル」「当案件


とう【当〔當〕】

[音]トウタウ)(呉)(漢) [訓]あたる あてる まさに…べし

学習漢字2年

仕事や任などにあたる。「当局当直当番担当

あてる。割りあてる。「充当抵当日当配当

あてはまる。道理にかなう。「当否穏当該当至当失当順当・正当・相当・妥当・適当・不当

そうするのがあたりまえだ。「当為・当然」

その。この。問題の。「当時当日当社当地当人当方

今の。「当座当主当節当代

当選」の略。「当落

名のり]まさ・まつ


はた【将・当】

〔副〕 他の事柄関連させて判断したり推量したり、あるいは列挙選択したりするときに用いる語。

① 事の成否危惧しながら推量するときに用いる。

(イ) ひょっとしてもしかして。→はたや。

万葉(8C後)六・九五三「さ男鹿鳴くなる山を越え行かむ日だにや君が当(はた)逢はざらむ」

(ロ) (下に否定語を伴って) まさか。よもや。

伊勢物語(10C前)六九「女もはたいと逢はじとも思へらず」

当然のこととして肯定する気持表わす。やはり。さすがに思ったとおり。はたして。

源氏100114頃)明石「男の御かたち・有様、はたさらにもいはず」

③ 他に考えてもやはり、と肯定する気持感動的表わす

古今(905‐914)夏・一四三ほととぎす初声聞けばあぢきなくぬし定まらぬ恋せらるはた〈素性〉」

先行事柄類似の事柄をさらに想定してみるときに用いる。

(イ) 打消表現呼応して、それもだめだという気持表わすそうはいうものの。しかしながら

落窪(10C後)四「げにさせばやと思せど、数より外大納言になさん事は難し。人のはたとるべきにあらず」

(ロ) 二つ事柄のどちらを選ぶか迷う気持表わすはたまた。それともまた。あるいは。

蘇悉地羯羅経略疏寛平八年点(896)「是の諸の行相は一人に具せりとや為む、当(ハタ)多人に具せりとや為む」

(5) 先行事柄類似の事柄列挙するときに用いる。

(イ) それもまた同様であるという気持表わす。また。同様に

*平中(965頃)一「この男はた宮仕へをば苦しき事にして、ただ逍遙をのみして」

(ロ) さらに類似のことが加わることを表わすその上にまた。さらにまた。いっそう。

宇津保(970‐999頃)嵯峨院「例の遊び、はたまして、心に入れてし居たり」


とう タウ 【当】

1 〔名〕

① ちょうどその事にあたること。ちょうどその時問題対象になっていること。→当の

道理にかなっていること。また、特定の条件にかなっていること。

朝日新聞明治三九年(1906)一一月一三日還付条件の当不当至りては」〔史記‐礼書〕

仏語これから来ようとする世。当来来世

日蓮遺文神国御書(1275)「已にも入れず、今も入れず、当にはづれぬ

④ =とうぎり当限

2語素名詞の上に付いて、この、その、現在のさしあたっての、などの意を表わす

上杉家文書‐(年未詳)(室町前)三月二九日・足利直義書状小笠原彌次郎長綱奉公之処」〔列子楊朱


あ・つ【当・中・充・宛】

〔他タ下二〕 ⇒あてる(当)


あて【当・宛】

1 〔名〕 (動詞「あてる(当)」の連用形名詞化

物事行なうときの、目的見込み。目あて。心づもり。「あてが違う」「あてが外れる」など。

山家集(12C後)上「五月雨はゆくべき道のあてもなし小笹が原も埿(うき)にながれて」

頼みになるもの。たより。→あてにする

*虎寛本狂言米市室町末‐近世初)「有様(ありやう)は私もこなたをあてに致いて参りましたが」

借金をするとき、それが返せない場合貸し手が自由に処分してよいとする保証の物。抵当

史記抄(1477)一二質はあての事ぞ」

④ 物を打ったり切ったりなどする時、下に置く台。

書紀720雄略一三九月前田本訓)「石を以て質(アテ)と為(し)」

(5) 補強したり保護したりするためにあてがうもの。「肩当て」「胸当て」など熟し用いることが多い。

(6) こぶしで、相手急所を突くこと。当て身

浄瑠璃・本二十四孝(1766)四「ひらりと付け入る勝頼を、さしつたりと真の当(アテ)」

(7) (宛) 文書手紙などの差し出し先。

近世紀聞187581)〈染崎延房〉四「御憐察遊さるるやう歎願なせる趣き右小弁家の宛(アテ)にして」

(8) 食事のおかずをいう、演劇社会などの隠語

浮世草子当世芝居気質(1777)一「ホヲけふは何とおもふてじゃ大(やっかい)な(アテ)(〈注〉さい)ぢゃな」

(9) 酒のさかな。つまみ。

(10) 馬術で、馬の心を動かしたり、驚かすもの。あてもの

(11) 木材一部分だけが、反りやすく、抗力弱くなったもの。また、質の悪い木材。〔日本建築辞彙(1906)〕

(12) (ひのき)で作った火縄。〔随筆甲子夜話(1821‐41)〕

2接尾〕 (宛)

品物などを等量配分することを表わす

(イ) 配分する物を示す数詞の下につく。ずつ。

宇津保(970‐999頃)藤原の君「漬豆を一さやあて出だすとも」

(ロ) 配分を受けるものの単位を示す数詞の下につく。あたり。

縮図1941)〈徳田秋声裏木戸一人あて千五百円の金が」

文書手紙などの差し出し先を表わす。「会社ての文書」


あ・てる【当・中・充・宛】

〔他タ下一〕 [文]あ・つ 〔他タ下二

[一] 人や動物、物に、他のあるものを接触させる動作行為全般をいう。この場合、その速度強さ大き場合もあれば、小さ場合もある。

勢いよくぶつける。打ちつける。

大智度論天安二年点(858)一〇〇執金剛神を以て之に擬(アツ)」

平家13C前)一一「馬にあてられじと引き退いて、みな船へぞ乗りにける」

触れさせる。くっつける。あてがう

土左(935頃)承平五年二月六日「ひたひに手をあてて喜ぶことふたつなし

③ 風、光、熱などにさらす。

古事記(712)中・歌謡「三栗のその中つ土(に)を 頭(かぶ)衝(つ)く 真火には阿弖(アテ)ず」

(10C終)二九二「ただ『あらずとも』と書きたるを、廂(ひさし)にさし入りたる月にあてて、人の見しこそをかしかりしか」

④ ある状態に直面させる。

宇津保(970‐999頃)俊蔭「もしかかること世にきこえば、きんぢらをさへ罪にあてむといましめ給ひて」

(5) 人を扱う。

浮世草子傾城禁短気(1711)二「幼少より、兄弟子太夫達に、つらくあてられた事なく」

(6) 他のことにかこつけたりして遠まわし悪口を言う。非難する。あてこする

日葡辞書(1603‐04)「Atete(アテテ)、または、atetçuqete(アテツケテ) ユウ

(7) 交渉してととのえる。調達する。

歌舞伎法懸松成田利剣(1823)大詰剣菱を五合、青蕃椒奴豆腐で、一杯けづらう。其うち、夕河岸も来るであらう。ちょっと五合、あてて来さっし」

(8) 飲食物や寒、暑、毒、不快な事や言葉などが、からだや気持に害を与える。多くあてられる」の形で用いる。

地蔵十輪経元慶七年点(883)一「種々の毒薬に中(アテ)らるることを被(かが)ふらむに」

(9) 相手急所打っ一時気絶させる。当て身くわせる

浄瑠璃唐船噺今国性爺(1722)上「きうび先の息合にはたと当(アテ)たる当身のこぶし」

(10) 男女が、仲のよいところ見せつけるまた、のろけ話を聞かせる多くあてられる」の形で用いる。

歌舞伎鼠小紋東君新形鼠小僧)(1857)三幕「『腹の中に箒を立てておきなすって』『当(ア)てられましたかね』」

(11) (②の意から)

(イ) 座ぶとんを敷く。「どうぞおあてください

(ロ) 測るために物さしなどを物にあてがう

笠懸聞書(1792)「定木をあつるに中くほなる処定木ありにくき程に定木を中くほにたむる也」

(ハ) 剃刀(かみそり)で毛をそる。

文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉初「決してあたまに剃刀はあてぬがよい事で厶(ござ)る」

(12) 人に損をかけることをいう、芝居関係者言葉

[二] ある物や人などを、ある状態、用途方角などに対応させて用いる。また、ある役目作業などを指示する。

物事をある目的に使うようにあてはめる。物をある目的用途に使う。充当する。

南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「凡そに浄触を分つ〈略〉浄をは非時飲用に擬(アツ)」

平家13C前)八「羶肉(なまぐさきしし)・酪(らく)のつくりもって飢渇にあつ」

② うまく対応するようにする。また、対応するように分け配る。

落窪(10C後)三「経一部一日にあてて、九部なんはじめたりける」

③ ある役目仕事などを担当させる。

宇津保(970‐999頃)祭の使「かくて、その日御節供(せっく)、よき御庄ある国々受領(ずりゃう)にあてられたり」

④ 場所がある方角あるよう位置をとる。

平家13C前)七「山をうしろにし、山をまへにあつ」

(5) (「目をあてる」の形で用いる) ある物に視線を向ける。多く打消伴って用いる。

方丈記1212)「くさき香(か)世界にみち満ちて、変りゆくかたありさま、目もあてられぬこと多かり

(6) 何かをやらせたり、質問答えさせるために指名する。

彼岸過迄(1912)〈夏目漱石風呂の後「中(ア)てられさへすれば、必ず起立して訳をつけた」

(7) 郵便物送り先の人を指定する。

油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉一「出席の由を幹事へ宛(ア)てて申入れた」

[三] ねらいや望みその通り実現する。

① 矢や弾丸などをねらった所にうまくぶつける。命中させる。

源氏100114頃)若菜下を百(もも)たび射あてつべき舎人(とねり)どもの」

事実正しく推測したり計算したりする。また、正し答え考えつく

洒落本跖婦人伝(1753)「十露盤(そろばん)にあてて見れば」

物事うまくいかせる。事業商売興行などを予定どおり成功させる。

評判記役者口三味線(1699)京「どのしばゐにも、一あてづつあてる事、是藤十郎をまなぶにあらずや」

④ くじや懸賞催しで、当籤(とうせん)する。

*「佐久間ダム見学記について」について(1955)〈杉浦明平〉「バクチで当てることをのぞんではならぬ」


あたり【当・中】

〔名〕 (動詞「あたる(当)」の連用形名詞化

① 物や人にぶつかること。また、ぶつかり具合

浮世草子好色一代男(1682)六「大じんわざと酔狂して、あたりあらく踏立(ふみたて)」

② 物や人に触れ感じ感触

宇治拾遺(1221頃)三「近くよりて髪をさぐれば、氷をのしかけたらんやうに、ひややかにて、あたりめでたきこと、限りなし

③ 人に接す態度。しむけ。扱い

*虎寛本狂言朝比奈室町末‐近世初)「扨々ゑんま王あたりのあらい罪人じゃ」

自分痛い目にあわせた相手仕返しをすること。返報復讐(ふくしゅう)。

宇治拾遺(1221頃)五「さきに行綱に謀られたるあたりとぞいひける」

(5) はっきり言わないで、何かにかこつけて悪く言ったり、ひどく扱ったりすること。あてつけ

評判記難波鉦1680)四「あたりのことばはさしあたるといふ事で、うらみことなどあてていふ事」

(6) 隠れた事情理由。いわく。

洒落本通言総籬(1787)二「まづでへ一チこの紋所も気にくわねへ。此きものの裾もようのあたりもはくじょう仕てしまへ」

(7) 物事行なうときの目当て手がかり。心あたり。→当たりが付く・当たりを付ける

洒落本五大力(1802)三「『源様はどうなさったへ』『源様とはへ』『夫さ源五兵衛事よ』ト少し当りをいってみる

(8) 矢や弾丸や玉などが、ねらった所に命中すること。

浮世草子本朝桜陰比事(1689)二「私近年弓のけいこを仕り、当(アタ)りこまかに罷成などを討留(ゐとめ)申候事たびたびにて御座候

(9) 物事うまくいくこと。

(イ) 事が思いどおりうまくいくこと。商売興行などが成功すること。

浮世草子新色五巻書(1698)五「殊に二月よりの替狂言傾城浅間嶽と云ふは〈略〉百廿日のあたりは近年めづらしいと、都人も脳(なづき)をさげぬ」

(ロ) 作物などの出来がよいこと。

仰臥漫録(1901‐02)〈正岡子規〉一「蕎麦の花もそろそろ咲出し候田の出来申分なく秋蚕珍しき当りに候」

(10) みごとな答。真実をついた言葉

咄本昨日は今日の物語(1614‐24頃)上「しゃうじ一大事味噌御座候味噌わるければ、生じのしたてはならぬと申た。さてさて是ほどなるあたりは、達磨(だるま)もいかが」

(11) くじや懸賞などで、選ばれること。また、あたりくじ

俳諧宗因七百韵(1677)「さし出す順のこふしの手をひろけ さてこそつきのあたりじやみたか」

(12) 飲食物暑気などが、からだに障ること。多く食当たり」「暑気当たり」などと、熟し用いられる。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「五つ月過れば何をたべてもあたりは致さぬけれど、鱝(あかゑい)などは決しておあげなさいますな」

(13) 果物などのいたんだ部分

滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「あたりのあるなら五つか、ズットはづめば、西瓜安売三十八文でも遣らんならん

(14) 能楽で、文句と拍子との取り方また、謡の修飾的な節(ふし)で、呼気を短く中断させ、突きあたるようにうたうもの。謡本では、ゴマ節に「ア」を添えて示す。

(15) 囲碁で、次の一手相手の石が取れる状態。また、その状態にする一着。「両当たり」「当たりをかける」

雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉下「盤上に石を下すバチバチ。『サア当りだ』『一寸お待ち下さい』『生死の界(さかひ)になって、俟(ま)って堪るものか』」

(16) 釣りで、がえさにさわること。また、えさを引く時、手や竿などに伝わる感じ

自然と人生1900)〈徳富蘆花湘南雑筆(あぢ)はあたりが軟(やはらか)で」

(17) 猟師が山で自分行き先仲間知らせるため、立ち木の皮をむいて印をつけておくもの。長野県一部でいう。

(18) 野球で、打撃調子また、打った球の飛び具合。「当たりが出る」「鋭い当たり」

胡桃割り(1948)〈永井龍男〉「打者は、その新しい球の、第一球打った。よい当りであった」

(19)単位を示す語の下に付けて接尾語のように用いる) 割当ての意を示す。…についての割合平均

遣唐船(1936)〈高木卓〉四「唐朝からの年費絹二十五匹にしたところで月当り二匹やそこらでは、成程物価一般には安かったらうが」


あた・る【当・中】

1 〔自ラ五(四)

[一] 人、物が、他の人、物に接触する。ぶつかる。

勢いよくぶつかる。

古今(905‐914)物名四五七「かぢにあたる浪のしづくを春なればいかがさきちる花とみざらむ〈兼覧王〉」

源氏100114頃)須磨雨のあし、あたる所通りぬべくはらめき落つ

軽く触れる。さわる。くっつく。

浜松中納言(11C中)四「すべり入てさぐり給へば、息の通ふけしきもなく、かひななどもひややかにあたる」

物事や人の言葉などによって、はっと気づく思い当たる

徒然草1331頃)四一「かほどのことわり誰か思ひよらざらんなれども折からの、思ひかけぬ心地して、胸にあたりけるにや」

④ 光がある範囲照りそそぐ。

更級日記(1059頃)「荒れたる板屋の隙(ひま)より月の洩り来て、ちごの顔にあたりたるが」

(5) 光、風、矢などを身にうける。身をさらす。

古今(905‐914)春上・八春の日の光にあたる我なれどかしらの雪となるぞわびしき〈文屋康秀〉」

徒然草1331頃)一七「風にあたり湿に臥して」

(6) 暖をとる。あたたまる

草根集(1473頃)一一「出ん日や袖さへかねん炭竈焼火にあたる小野山人

(7) ある状況時期直接対する。ある物事出くわす

古今(905‐914)雑下・九六二・詞書「田むらの御時に事あたりて津の国の須磨といふ所にこもり侍りけるに」

源氏100114頃)須磨「かく思ひかけぬ罪にあたり侍るも」

(8) 人に接する。待遇する。良く扱う場合にも用いたが、ひどく扱う場合用いることが多くなる。「あたりちらす

今昔1120頃か)三「其の人為に太子、懃(ねむごろ)に当り給ふ有れども思知たる心无(な)し」

*隆信集(1204頃)物名「つらしとて我さへつらくあたるまに人の恨も残しつるかな」

(9) 物事探りを入れる交渉する。また、比べ確かめる。

玉塵抄(1563)一八「牧がそこをあたっていましめて荑を送たり」

西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛一二東京中のかもじ屋へあたりて、〈略〉、結ってもらったんだから」

(10) 飲食物暑気寒気、毒などが体調に害を与える。

大智度論天安二年点(858)「故に失命毒薬に中(アタラ)ず」

浄瑠璃心中重井筒(1707)中「此ごろ酒があたって

(11) 果物などがいたむ。腐る。

(12) (「当たっている」という形で) 野球で、ヒットがよく打てる状態である。

(13) 釣りで、釣り針のえさに食いついた手ごたえがある。

落語佃島1900)〈初代三遊亭金馬〉「其方(そっち)の浮標(うき)は、モウ当ッてゐますぜ」

[二] 関係、状態、時期方角能力役目などがちょうどあてはまる。相当する。

① ちょうどそういう関係、順位資格価値である。そういう状態に相当する。

源氏100114頃)東屋中にあたるなん、姫君とて、守いとかなしうし給ふなるときこゆ」

平家13C前)四「やにはに八人きりふせ九人にあたるかたきが甲(かぶと)の鉢にあまりに強う打あてて」

② ちょうどその時期である。その日時に相当する。「卒業するにあたり

源氏100114頃)澪標五月五日にぞ五十日(いか)にはあたるらむと」

③ ちょうどその方角にある。その方向に面する

蜻蛉(974頃)下「車の後(しり)のかたにあたりたる人の家の門より」

源氏100114頃)賢木「ことに建てられたる御堂西の対にあたりて」

同じくらいの力で張り合う対抗する。匹敵する。

書紀720神武即位前(北野本訓)「皇師(みいくさ)の威(いきほひ)を望見(おせ)るに、不敢敵(えアタルまじきこと)を懼(お)ぢて」

源氏100114頃)若菜下「師とすべき人もなくてなむ好み習ひしかど、猶あがりての人にはあたるべくもあらじをや」

(5) 仕事役目など引き受け行なう担当する。割り当てられる。従事する。

承応狭衣物語(1069‐77頃か)三「乗るべき車は〈略〉めでたうして参らすべきよし、受領どものあたりて、我も我もと心を尽したる」

栄花(1028‐92頃)歌合女房装束、裳、唐衣、表著(うはぎ)、童の装束など人々あたり」

(6)(二)①の意で、特に否定的表現の中で用いる) ある事をする必要がある

わかれ道(1896)〈樋口一葉〉中「其様(そん)な処へ帰るに当(アタ)るものか」

[三] ねらいや望みぴったり合う

① 矢や弾丸などがねらった所にぶつかる。命中する。

大鏡(12C前)五「『道長がいへよりみかど、きさき立ち給ふべきものならば、この矢あたれ』と仰せらるるに、おなじものを中心にはあたるものかは

真理規範などに合う。正しくあてはまる。

徒然草1331頃)一九三「くらき人の、人をはかりて、その智を知れりと思はん、さらにあたるべからず

③ 言ったり考えたりしたことが事実ぴったり合う予想どおりになる。的中する。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「両方から指を出して数が当(アタ)ったら勝で能ささうな物だ」

物事がうまくゆく。事業商売興行などが成功したり、果物穀物などがよく実ったりする。

散木奇歌集(1128頃)恋上「とかりするさつをのゆつるうちたえてあたらぬ恋に病(やま)ふ頃哉」

洒落本傾城買指南所(1778)「近年は、するほどの事あたらぬ事なく、天地(あめつち)も動す勢なりしに」

(5) くじや懸賞催しなどで、選ばれる

日葡辞書(1603‐04)「クジガ ataru(アタル)」

2 〔他ラ五(四)〕 (髪やひげを)剃(そ)る。東京商家などで「剃(す)る」というのをきらっていう語。

玄武朱雀(1898)〈泉鏡花〉七「私が行く処に床屋があるんだ。〈略〉名人といって可いんだね。其代(そのかはり)余程折がよくないとあたっちゃくれないが」


読み方:あたり

  1. 窃盗ニヨリタル賍物ノ意外ニ多額ナル場合。〔第三類 犯罪行為
  2. 窃盗によりて得たる贓物が意外に多額なる場合。「大当り」の意。
  3. 窃盗収獲予想上のこと。〔一般犯罪
  4. 掏り取っ金品予想上の場合。〔掏摸

分類 掏摸犯罪


読み方:あて

  1. 掏摸ニ用ユル器械ノコトヲ云フ。〔第二類 金銭器具物品之部・東京府
  2. 掏摸器械ノコトヲ云フ。〔第二類 金銭器具物品之部・茨城県
  3. 剃刀掏摸常習犯人ガ所持セル小形刃物ノ類。〔第六類 器具食物
  4. 門戸其他ノ場所ニ施シタル錠前破壊ノ用ニ使用器具。〔第六類 器具食物
  5. 鑿-(関東地方)。〔第六類 器具食物
  6. 掏摸常習犯人が所持する小形の刄物の類をいふ。〔犯罪語〕
  7. 〔隠〕小さな物のこと。犯罪語。
  8. 肴。
  9. 掏摸常習者がいつも所持してゐる小形の刀物の類をいふ。
  10. 安全剃刀其他小形の刀類を云ふ。〔掏摸犯人所持品〕。
  11. 鑿。一般犯罪使用する刃物、及兇器等を云ひ又転じて強盗犯人、持兇器窃盗犯人等を云ふ。〔関東地方
  12. 鋭利刃物弘前 掏摸仲間
  13. 忍込み用の刃物。〔一般犯罪
  14. かみそり。〔掏摸
  15. 安全剃刀の刃又は鋭利刃物江戸時代髪床屋では剃ることを「当る」といつた。それから剃刀限らず鋭利刃物含めて「あて」と略称。〔す〕 ②盗犯侵入に際して使う器具。もとは鋭利刃物を意味したが、盗犯侵入の際使う器具一切いうようになつた。〔盗〕

分類 す/盗/犯罪ルンペン大阪掏摸掏摸仲間掏摸犯人所持品東京府犯罪犯罪語、茨城県関東地方


読み方:あて

  1. あてごと賭博の略。
隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

当/當

名字 読み方
当/當あたり→とう
当/當とう→あたり
名字辞典では、珍しい名字を中心に扱っているため、一般的な名字の読み方とは異なる場合がございます。

読み方
あたり

出典:『Wiktionary』 (2021/08/12 00:35 UTC 版)

発音(?)


出典:『Wiktionary』 (2021/08/11 13:29 UTC 版)

発音(?)

接頭辞 

  1. 主題になっている人物組織物品など。
  2. (古)現在の

熟語



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