特別支援教育に関する科目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 09:49 UTC 版)
「教職課程」の記事における「特別支援教育に関する科目」の解説
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別表1での一種免許状における単位修得上は、第一欄(特別支援教育の基礎理論)が2単位以上、第二欄は、「教育課程及び指導法」(いわゆる「教育課程等」と呼ばれる科目群)が1教育領域あたり2単位以上、「心理、生理及び病理」(いわゆる「心理等」と呼ばれる科目群)が1教育領域あたり1単位以上とされている(トータルとしては、前述の3単位以上に加えて、2つの科目群または「教育課程及び指導法」・「心理、生理及び病理」の双方を包括した「心理・教育課程等」と呼ばれる科目群のいずれかを含めた合計単位数が、視覚障害・聴覚障害の場合は8単位以上、知的障害・肢体不自由・病弱の場合は4単位以上となる)。第三欄は、「重複・LD等領域」(当該領域は、重複障害・言語障害・情緒障害・LD・ADHD・自閉症スペクトラムなどで構成)については「教育課程及び指導法」および「心理、生理及び病理」を包括して4単位以上(標準的には、重複2単位以上・LD等2単位以上となるが、必ずしもこれにこだわらない)、取得しない教育領域に関する「教育課程及び指導法」および「心理、生理及び病理」(いわゆる「心理等」又は「教育課程等」又は、「心理・教育課程等」のいずれかに該当する科目群)を包括して、各2単位以上(後者については、5領域すべて取得する場合は不要)で、かつトータルで5単位以上、第四欄(障害者教育実習)は、事前事後指導を含めて3単位以上、およびこれら4つの欄のすべてを包括のうえで合計26単位以上とされている(実際には、取得する領域により、必要な最低単位数はこれを上回るものと考えられる)。なお、専修免許状の申請に必要な「特別支援教育に関する科目」は、これらのカテゴリにとらわれず、大学院設定科目で24単位以上の習得(一種の要件に上乗せ)が必要。因みに、旧養護学校に相当する3領域の課程認定校での履修の場合、各領域の最低の法定単位数ぎりぎりの履修では第二欄で16単位以上の要件が満たせないため、知的障害領域の科目を各4単位にするなどして欄全体で16単位以上として充当する(そうすれば、肢体不自由・病弱は法定要件を満たす各2単位で済むため、都合16単位となる)。 「免許状に定められることとなる特別支援教育領域以外の領域」(第三欄)については、免許として取得しない(課程が認可されていないためにできない場合を含む)各教育領域(「中心となる領域」ではなく、「含む領域」であっても可能)と発達障害・重複障害に関する「教育課程及び指導法」および「心理、生理及び病理」に関する各科目の履修を要する。よって、5領域すべて取得する場合は、第三欄部分の履修については、発達障害・重複障害(いわゆる、「重複・LD等領域」)に関する「教育課程及び指導法」および「心理、生理及び病理」に関する各科目(例えば、発達障害に関する科目の場合、「教育課程及び指導法」および「心理、生理及び病理」を独立させずに、すべて包括した科目の履修によって対応可能)の履修のみでよい。 専修免許状については、大学院レベルの「特別支援教育に関する科目」を24単位以上修得し、特別支援学校教諭一種の免許状(又は、相当する法定単位以上の単位の修得)と修士の学位を基礎資格とすることで取得可能(「別表第一」を根拠とする)だが、一種免許状取得者の現職教員については、特別支援学校での職務経験と教育職員検定により、「別表第七」で取得も可能(ただし、1種から専修免許状への移行については、2010年代時点で、大学院科目等履修生として、大学院開講の特別支援教育に関する科目の15単位が修得可能な大学の講義を受講しなければ、現実的には不可能(当然、休職の検討も視野に入れねばならない)。2種から1種への移行であれば、旧養護学校相当の領域であれば、大学通信教育などでカバーが可能だが、視覚障害と聴覚障害については、国や県が現職教員向けに行う教育職員免許法認定講習を受講し、単位を修得すれば可能だが、年によっては、勤務する自治体などで行わない場合(あっても、必要な科目区分とは違うこともある)もあるので、実施されている遠方の地域での受講になる場合もある)。 教育領域追加について 特別支援学校の免許状における、領域追加の申請には、教育職員検定によるものとそうでないものとがある(申請書類や申請方法、取得単位の流用可否といった点の細かいところが違うだけで、根拠規定自体は同一)。なお、特別支援学校の免許状(ここでは、旧・盲学校、聾学校及び養護学校の免許状は含まない)に新たに追加する領域の科目が第3欄に含まれているはずだが、履修指導の際に、第2欄に流用して流用可能な単位を減免する事が認められる場合がある。ただし、その結果として、第3欄の単位数が、法定単位の5単位を割った場合は、「重複・LD等」ないしは、他に拾得していない領域の「心理・教育課程等」科目の履修により、欄に入る単位数を5単位以上にする必要がある。「重複・LD等」だけで5単位以上を充足している場合は、無論、どの領域の追加であっても、科目を改めて履修する必要はない。 なお、流用可能な場合、「中心となる教育領域」が、追加したい教育領域となっていることが前提であり、「含む領域」となっている場合は、第2欄への流用は不可となる。 教育職員検定を利用しない方法 なお、新教育領域追加(施行規則第5条2の第3項を根拠とした規定)を行う場合、第二欄で追加する領域について、いずれの領域についても、「教育課程及び指導法」が2単位以上、「心理、生理及び病理」が1単位以上とされている(トータルでは、「心理・教育課程等」と呼ばれる科目群を含めて、教育職員検定を利用しない場合は、視覚障害・聴覚障害が8単位以上、知的障害・肢体不自由・病弱は4単位以上とされる)。 新教育領域の追加については、旧盲学校免許状・旧聾学校免許状・旧養護学校免許状をすべて所有している場合はできない(する必然性もない)が、いずれか一つがない状態で追加する場合は、現行の特別支援学校免許状の「新教育領域の追加」扱いと同様となり、旧免許状と差替えで受ける形となる。 教育職員検定を利用して免許状を授与される場合 上述の内容と一部重複するが、第2欄で追加すべき単位数は、追加する領域に関して、原則、「教育課程及び指導法」が2単位以上、「心理、生理及び病理」が1単位以上とされていることは変わらないが、旧養護学校相当の3領域に関しては、欄を充足するための合計単位が2単位以上となっているため、「教育課程及び指導法」の単位数は、1単位以上に減免される(その代わり、「心理・教育課程等」の科目の単位では法定単位を充足できなくなるため、2単位を超えた部分で拾得したものとみなされる)。視覚障害と聴覚障害は、「教育課程及び指導法」が2単位以上、「心理、生理及び病理」が1単位以上は、変わらないが、欄を充足すべき単位数は、検定を使わない場合から半減となり、4単位以上となる。 なお、特別支援学校免許状に対しての領域追加の場合、第3欄に入っていた、今回領域追加する科目を流用したことによって、第3欄に入れるべき単位数が5単位を割った場合は、「重複・LD等」ないしは、今回も領域追加しない領域の科目を別途履修し、5単位以上充足させる必要がある。「重複・LD等」だけで5単位以上を充足できている場合は、第3欄の科目を追加する必要はない。 教育職員検定を利用して、既存の免許状を基礎免許状として免許状を授与される場合 因みに、教員経験(特別支援学校の勤務経験の有無は問わない)にて免許状授与される場合は、教育職員検定を利用した「別表第七」にて、2種免許状を授与されることができる(これを、1種または専修に移行する場合は、同じく教育職員検定による「別表第七」を根拠として、特別支援教育に関する科目の修得を行う必要があるが、変更の場合は、特別支援学校の教員経験かつ、最低免許状に含まれる領域を扱う学校での勤務(併置校の場合は、当の教師本人が担任している学級などが扱う領域での年数経験となり、扱っている複数の領域のうちの2以上の領域すべてに対してではない)の経験があることが条件となる)。これについても、原則は都道府県教育委員会(教育庁)での履修指導を下に課程認定大学での単位修得が必要となるが、放送大学の単位や教育職員免許法認定講習の受講により充当することが可能(余談だが、放送大学の単位のみを利用する場合、「知的障害者に関する教育領域」と「肢体不自由者に関する教育領域」の2つしかカバーできない。また、「重複・LD等」の領域が必要な場合に充当する単位を修得する事はできる)。「別表第一」による変更の場合は、施行規則第十条六の第1項の規定が適用されるため、下級の免許と共通の単位については修得済みと看做されて、不足分の単位履修を行う、といった方法を取ることができる。 上記と一部内容が重複するが、「重複・LD等」領域は、実際には細分化されており、重複障害領域、LD領域、ADHD領域、言語障害領域、情緒障害領域(かつて当該領域に含まれていた自閉症を含む)などの小領域に分かれている。このため、別表7などで免許状を取得する例や、施行規則第五条二の第3項を根拠とした領域追加を行う例の一部などで、第三欄の単位を充足する必要がある場合、「重複・LD等」の細分化された領域について、単位不足となる例もある。 下表は、2006年法改正に基づく、2007年以降入学者に適用される、「視覚障害者に関する教育」を除く4教育領域の免許状の課程の講義科目を実施する例で提示する(第二欄、第三欄のカッコ内は、各科目で扱う中心となる教育領域で、科目により他の教育領域の内容が「含まれる」ものも存在する)。 特別支援教育に関する科目内容に含めることが必要な事項授業科目の名称の例(括弧内は、免許状に定める主たる教育領域の略称)特別支援教育の基礎理論に関する科目(第一欄) 心身に障害のある幼児、児童又は生徒についての教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想 心身に障害のある幼児、児童又は生徒についての教育に係る社会的、制度的又は経営的事項 障害者教育総論 特別支援教育領域に関する科目(第二欄) 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の心理、生理及び病理に関する科目(通称・「心理等」科目) 聴覚障害者の心理(聴) 聴覚障害者の生理・病理(聴) 知的障害者の心理(知) 知的障害者の生理・病理(知) 肢体不自由者の心理、生理・病理(肢) 病弱者の心理、生理・病理(病) 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(通称・「教育課程等」科目) 聴覚障害教育(聴) 知的障害教育(知) 肢体不自由教育(肢) 病弱教育(病) 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の心理、生理及び病理に関する科目 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(通称・「心理・教育課程等」科目) 病弱教育総論(病) 免許状に定められることとなる特別支援教育領域以外の領域に関する科目(第三欄) 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の心理、生理及び病理に関する科目(通称・「心理等」科目) - 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(通称・「教育課程等」科目) - 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の心理、生理及び病理に関する科目 心身に障害のある幼児、児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(通称・「心理・教育課程等」科目) 発達障害教育総論(重複・LD等。うち、「言語・情緒・LD・ADHD」領域) 発達障害者の心理(重複・LD等。うち、「言語・情緒・LD・ADHD」領域) 重複障害教育総論(重複・LD等。うち、「重複・言語」領域) 自閉症教育総論(重複・LD等。うち、「重複・情緒」領域) コミュニケーション障害教育(重複・LD等。うち、「重複・言語・情緒・LD・ADHD」領域) 視覚障害教育総論(視) 言語障害教育(重複・LD等。うち、「言語」領域) 心身に障害のある幼児、児童及び生徒についての実習(第四欄) 障害者教育実習の事前・事後指導 特別支援学校の教育実習事前・事後指導 障害者教育実習 特別支援学校教育実習 なお、専修免許状の授与用件は、一種の要件の最低単位数と修士の学位を有し、大学院で開講される科目相当で、なおかつ上表の各項目あるいは「大学の加える特別支援教育に関する科目」のいずれかから24単位充足することでなされる。 ただし、変更の際、免許状で規定されていない教育領域が課程認定されている大学院で単位を履修しても、規定されていない領域を含めた上進はできないため、必要な場合は、1種免許状の領域追加を先だって行う必要がある(単位習得自体は、同時に行うことは可能)。
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