特別支給金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 10:21 UTC 版)
業務災害・通勤災害に遭った労働者が労災保険の各種給付と同時に、各種特別支給金を申請する場合が多いが、基本的には労災保険の各種給付とは別枠の制度である。したがって、事業主からの費用徴収は行わず(不正受給者からの費用徴収は、不当利得として民事上の手続きにより返還を求めることになる)、損害賠償との調整も、社会保険との併給調整も行わない(特別支給金支給規則に、労災保険法を準用する規定がない)。前払一時金を受給しても、特別支給金は支給停止されない。特別支給金の申請は原則として保険給付の請求と同時に、所轄労働基準監督署長に対して行い、支給事務も労働基準監督署長が行う。申請は支給要件を満たすこととなった日の翌日から5年以内(休業特別支給金のみ2年以内)に行わなければならない。なお特別支給金の決定に不服があっても、不服申立てをすることはできない。 交通事故等の第三者行為を原因として業務災害・通勤災害を被った場合に特別支給金の給付を受けても、支給元(政府)は加害者への損害賠償請求権を代位取得することはない。このことはつまり、賠償、自動車保険(自賠責、人身傷害、対人保険)、示談、訴訟上の解決等により、損害の補填を受けた場合であってもなお、社会復帰促進等事業の特別支給金を受ける事ができることを意味する(一部例外あり)。例として、交通事故により第三者行為として通勤災害を被り、自動車保険(自賠責、人身傷害、対人保険)からの休業補償を、休業損害額の満額(100%)の支払いを受けた場合であっても、社会復帰促進等事業の休業特別支給金を申請する事によって、休業の4日目相当分から、給付基礎日額の20%(合計で休業損害額の120%)の給付を受ける事ができる。なおこの場合、労災保険からの休業補償給付等は受けることができない。対人保険の過失相殺により休業損害額の100%未満を受領した場合は、まず休業補償給付の支給調整により損害額が100%に満ちるまで(ただし最大60%)の休業補償給付を受けて、加えて休業特別支給金20%が支給調整なしに支給されることになる。
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