給付基礎日額
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 04:27 UTC 版)
年金額等の算定には、あらかじめ定められた算式によって決定される「給付基礎日額」を用いる(第8条)。給付基礎日額は、原則として労働基準法第12条でいう平均賃金に相当する額とされ、同様の方法で計算する。算定すべき事由の発生した日とは、事故発生日又は疾病の発生が診断により確定した日とされる。なお平均賃金の算定については1円未満の端数を切り捨てるが、給付基礎日額の算定では1円未満の端数を1円に切り上げる(第8条の5)。この方法で算定することが適当でない場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額とする。 年金給付基礎日額の年齢階層別の最低〜最高限度額(令和元年8月改定)年齢階層区分最低〜最高限度額20歳未満 4,977円〜13,330円 20歳以上25歳未満 5,538円〜13,330円 25歳以上30歳未満 6,046円〜14,144円 30歳以上35歳未満 6,469円〜17,089円 35歳以上40歳未満 6,777円〜19,303円 40歳以上45歳未満 7,025円〜21,216円 45歳以上50歳未満 7,080円〜23,245円 50歳以上55歳未満 6,989円〜25,480円 55歳以上60歳未満 6,537円〜25,492円 60歳以上65歳未満 5,310円〜20,493円 65歳以上70歳未満 3,970円〜14,967円 70歳以上 3,970円〜13,330円 平均賃金相当額が自動変更対象額に満たない場合は、自動変更対象額が最低保障され(規則第9条)、給付基礎日額がこの金額を下回ることはない(平均賃金相当額が自動変更対象額に満たない場合でも、スライド改定額が自動変更対象額以上となる場合は、平均賃金相当額が給付基礎日額となる)。被災時の事情により給付基礎日額が極端に低い場合を是正し、補償の実効性を確保することが狙いである。自動変更対象額は毎年8月に、毎月勤労統計の調査結果による年度の平均給与額に従って改定され(10円未満四捨五入)、令和元年8月改定では3,970円となっている(令和元年年7月31日厚生労働省告示69号)。この改定は完全自動賃金スライドであるため、変動率がわずかであっても変動に応じて毎年改定される。 年齢階層別の最低限度額・最高限度額が定められている(第8条の2〜8条の4)。支給事由が生じた日の属する四半期の初日における年齢により、療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日について支給される休業(補償)給付、年金たる保険給付(当初から)の計算では、給付基礎日額はこの範囲内(スライド改定が行われた場合は改定後の給付基礎日額について)に収まる(一時金には適用されない)。被災時の年齢による不均衡の是正等が狙いである。最低限度額・最高限度額は毎年8月に、前年の賃金構造基本統計の調査結果に基づき改定され、賃金の変動率とは関係なく毎年定められる。 四半期ごとの平均給与額に10%以上の増減があった場合には、その翌々四半期の初日以降に支給される休業(補償)給付については、給付基礎日額にスライド率が乗じられ、改定された額となる(休業給付日額のスライド制、第8条の2)。 算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以後の分として支給する年金たる保険給付については、給付基礎日額に当該支給月の属する年度の前年度(4〜7月は前々年度)の平均給与額を算定事由発生日の属する年度の平均給与額で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額を給付基礎日額とする(年金給付基礎日額のスライド制、第8条の3)。 特別加入者については3,500〜25,000円の間の16階級で特別加入者の希望額を考慮して所轄都道府県労働局長が定める。変更を希望する場合は、3月2日〜3月31日の間に申請することで、翌年度より変更される(給付基礎日額変更申請書を提出する前に災害が発生している場合は、当年度の給付基礎日額変更は認められない)。なお家内労働者及びその補助者は、下限が2,000円となる特別適用額がある。特別加入者には年齢階層別の最低限度額・最高限度額は適用されない。 私傷病休業者、じん肺患者、船員には特例が設けられている。
※この「給付基礎日額」の解説は、「労働者災害補償保険」の解説の一部です。
「給付基礎日額」を含む「労働者災害補償保険」の記事については、「労働者災害補償保険」の概要を参照ください。
- 給付基礎日額のページへのリンク