特別攻撃隊について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 08:39 UTC 版)
栄光ある祖国日本の代表的攻撃隊とも謂ふべき陸軍特別攻撃隊に選ばれ身の光栄之に過ぐるものなきを痛感致して居ります空の特攻隊のパイロットは一器械に過ぎぬと一友人が云った事は確かです 操縦桿を採る器械 人格もなく感情もなく勿論理性もなく、只敵の航空母艦に向って吸ひつく磁石の中の鉄の一分子に過ぎぬのです 理性を以て考へたなら実に考へられぬ事で強ひて考ふれば彼等が云ふ如く自殺者とでも云ひませうか 精神の国、日本に於てのみ見られる事だと思ひます こんな精神状態で征ったなら勿論死んでも何にもならないかも知れません 故に最初に述べた如く特別攻撃隊に選ばれた事を光栄に思って居る次第です — 『所感』上原良司 特攻出撃前に故郷に帰郷した際、上原は幼なじみの親友に「上官が手をあげざるをえないような状況をつくっているのだ。」などと特攻の志願を強制されたようなことを語ったとされているが、託された状況は出典ごとに異なり一定しないものの、軍の検閲無しで陸軍報道班員高木に託された上記『所感』に書いている通り、上原は特攻隊員に選ばれたことについては光栄であったと感じており、また『所感』の最後は「心中満足で一杯です」で締められている。これは、祖国日本の「国家主義」に痛烈な批判を向ける理性的側面を持ちながらも、特攻隊員に選ばれたことを光栄として「この上は只、日本の自由独立の為、喜んで命を捧げます。」と特攻出撃命令に抗さずに素直に死に赴くといった、上原の人間らしい苦悩に満ちた二面性を表しているが、上原の『所感』を含めた遺書は、その精緻で無謬な思想に相応しい内容を求められ、字句の削除などの恣意的編集が行われ、本来上原の持つ二面性を希薄にした上で、『きけ わだつみのこえ』などの書籍に掲載されてきたという指摘もある。
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