新型コロナウイルスとアマビエ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:42 UTC 版)
「アマビエ」の記事における「新型コロナウイルスとアマビエ」の解説
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年に入って世界的なパンデミックと化した。2月下旬には、日本でも北海道や東京都を中心に、防疫対策として人の物理的交流も経済活動も大幅な自粛を余儀なくされた。イベントの休止や学校の休校措置なども始まり、そのような鬱屈した社会情勢にあった同年2月27日、「疫病退散にご利益があるというアマビエの力を借りよう」「コロナウイルス対策としてアマビエのイラストをみんなで描こう」との発想から妖怪掛け軸専門店「大蛇堂」が、アマビエ解説と共にイラストレーション作品をTwitterに投稿したところ、この考えに賛同した多くのTwitter利用者がハッシュタグ「アマビエ」「アマビエチャレンジ」「アマビエ祭り」などを付けてアマビエを自己流にアレンジした作品(イラスト、漫画、動画、ぬいぐるみ、あみぐるみ、刺繍、フィギュア、スタンプ、こいのぼり、その他小物など)を次々に投稿するという動きが起こった。多数の作品がTwitterに投稿され、それらがリツイートされる動きは3月に入っても大きくなってゆき、5日には著作権フリーのイラスト素材サイト「いらすとや」にも「アマビエ」のイラスト素材が登場した。漫画家のトキワセイイチが漫画『アマビエが来る』をTwitterに投稿したのは6日で、これにも大きな反響があった。原資料であるアマビエの瓦版を所蔵する京都大学附属図書館からは6日に投稿があり、数日のうちに5,000を超える「いいね!」が寄せられた。ソーシャル分析ツール「ForSight(フォーサイト)」でキーワード「アマビエ」を含むツイートを調べると、2月は日に10件程度であったものが、3月1日は162件と微増し、3日になって4,737件と急増、そして、7日には38,646件と爆発的に増えていることが分かる。 アマビコやアマビエを研究に取り上げている長野栄俊は、ウェブサイト『ふーぽ』のコラム(2020年3月11日)で、こうした創作活動を行う人々たちのあいだでのアマビエイラストのブームについて言及しており、2020年3月の流行に際してのアマビエは、元々存在していた「予言」の要素についての言及が人々の間で取り沙汰されている点が全く見られず、より単純な護符としての特徴のみが拡散していると分析している。 2020年4月に緊急事態宣言が発令されて以後は、3月時点に較べて社会全体への自粛要請がさらに進んだが、3月以降アマビエがテレビ番組や新聞といったマスコミでも報道され、一挙に世間に広く知られる「護符」的な存在としてニュースとなった。その結果、これまでみられたソーシャルメディア内での個々人による「創作でのアマビエ」の範囲だけではなく、マスメディアを通じてアマビエを題材にした創作物ブームの存在を知った各地の様々な事業者が「新型コロナウイルスの終息」をうたってアマビエのかたちを模した商品を販売したり、商品のラベルデザインに採用したりするようにもなった(和菓子、洋菓子、パン、酒類、清涼飲料水など)。また、4月7日からは厚生労働省が新型コロナウイルス感染症のWeb向け対策啓発の広報アイコンとしてアマビエのイラストを用い始めた。このイラストは、2020年6月19日から厚生労働省が配信を開始した「COCOA」の起動画面にも全く同じものが用いられている。2020年5月2日からは、大阪市のヘソプロダクションが「アマビエ疫病退散プロジェクト」と題した企画商品の販売、2020年のこいのぼりシーズンには、静岡県沼津市のオフィスグルーが運営するオリジナルこいのぼり製作チーム「ミセスミシン」がアマビエ型のこいのぼり「アマビエのぼり」を製作している。 劇場公演中止などから芸能関係でも上記のような注目のあがったアマビエを新作の素材として用いる例がみられ、アマビエを題材に用いて物語を仕立てた人形浄瑠璃や新作能、『三番叟』見立ての舞踊なども制作されている。 交通機関でもアマビエを掲出して病魔退散を祈願する動きがあり、能勢電鉄や関東鉄道がアマビエをヘッドマークに施した車両を運行した他、日本航空が整備士らの企画で同年9月3日からボーイング767-300ER型機(登録記号JA613J)の機体下部にアマビエのイラストを施した特別塗装機「JALアマビエJET」を運航している。 アマビエを題材にした楽曲として「AMABIEの歌」、「疫病退散ソング」が作られた。 2020年の「新語・流行語大賞」にてTOP10入りを果たしている。
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