政治・思想的立場とは? わかりやすく解説

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政治・思想的立場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 07:46 UTC 版)

エリザベット・バダンテール」の記事における「政治・思想的立場」の解説

「BOOK」データベース紀伊國屋書店)によると、「フランスジェンダースタディーズ最高権威」されているが、フランス多様なフェミニズムにおけるバダンテールの相対的な位置づけ検証する必要があり、かつ、ジェンダー研究は彼女の幅広い研究一部にすぎない日本では彼女のジェンダー研究のみが取り上げられ多く歴史書著しているにもかかわらず、ほとんど邦訳されていない)。むしろ、フランスにおけるジェンダー研究エレーヌ・シクスー中心として創設されパリ第8大学の「女性学ジェンダー研究センター」、パリ第7大学リヨン第2大学ジェンダー研究者らが主導的な役割担っている。 『母性という神話』では女が持つとされる母性本能という概念批判し母性愛個々女性が子どもと関わりつづけるうちに生じうるもの、後から足されるものとする女性に対する暴力断固として糾弾せねばならないとしつつ、女性というジェンダーを「犠牲者化」するきらいのあるラディカル・フェミニズム批判し、とくにアンドレア・ドウォーキンキャサリン・マッキノンに対しては、「端すぎて女性笑いものにする」と強く反対している。 フランス男女同数制(パリテクォータ制参照に関してバダンテールは、「性差たしかに存在するが、それがもとで役割役職が決まるわけではない」とし、シルヴィアンヌ・アガサンスキー(フランス語版)やアントワネット・フークらを批判する男女同数制を支持する思想男女をその性差違いによって異な役割への割り当て正当化する言い換えれば男女に関するステレオタイプへの退行もたらす。 バダンテールとアガサンスキーらの違いは、シモーヌ・ド・ボーヴォワールに対して全面的にではなくとも、肯定的に評価する否定的に評価するかにも現れている。バダンテールは前者である。シルヴィアーヌ・アガサンスキーによればボーヴォワール見られる普遍主義性的差異否定し主体性的中立性という口実のもとに男性モデル特権化を隠蔽する」。バダンテールはアガサンスキーたちによるこの類い主張言及しボーヴォワールによる女性生物的側面相対化避妊中絶権利実現貢献したことは否めない反論するまた、第二の性』が女性性捉えていないのは事実であるとバダンテールは認めるが、いかに女性の性質を再定義するか、ジェンダー牢獄再現することなく性の二元性をどう主張すればいいのか、こうした理論上問題後回しにされたままの現状批判している。 バダンテールと英米フェミニスト根本的な違いは、普遍主義 / ライシテ政教分離)に基づくフランス社会共同体主義 / 文化多元主義に基づく英米社会違いに負うところが大きい。フランスの「パリテ賛成派フェミニストたちも、おおむねリベラル・フェミニズム延長線上に自らの立場置いていた」。この点で、共同体主義に基づく「イスラム左派」と呼ばれるフェミニズム活動家ロカヤ・ディアロ(フランス語版)やウーリア・ブテルジャ(フランス語版)とはほぼ対極にある。バダンテールは特にライシテについて徹底した姿勢貫いており、「ライシテなくしてフェミニズム存在しない」、「個人の自由女性の自由という問題は、ライックな国家絶対的中立性との関連において論じられなければならない」と主張するフランスでは1905年制定されライシテ法に基づいて2004年公立学校における「これみよがし」な宗教的標章等の着用禁止する法律制定されニカブブルカについても「尊厳及び男女平等侵害する過激な宗教実践フランス共和国価値反する」として2010年公共の場におけるこれらの着用禁止する法案可決されたが、バダンテールはこうした社会問題についても、たとえば、イスラム教徒女性向けコレクション発表したH&Mドルチェ&ガッバーナなどのブランドボイコット呼びかけるなど、その都度明確な立場表明している。同様に英米から抗議殺到したフランスブルキニ騒動についても、「女性何を着るのか、決め権利誰にもない」と主張するロンドン市長サディク・カーンとは逆に、バダンテールは、(一部地方自治体によるブルキニ禁止フランスにおける一連のテロ事件直後のことであったことは別としても)イスラム原理主義者らの女性対する「絶対的関心」と「(男女を)分けようという意思」のあらわれである以上、ブルキニ着用するということはこれに従うことであり、「女性に対して公共の場好きな服装をする権利与えた1905年ライシテ法に違反する」と主張している。この点では最近自著Laïcité, point !』を発表したマルレーヌ・シアパ男女平等担当副大臣も同様であり、とかく英米偏りがちなジェンダー研究フランスという歴史・文化政治・社会背景において検討する際に見落としてならないのがこうしたライシテ普遍主義視点である。 こうした彼女の姿勢についてイスラモフォビアだと非難する声も上がっているが、バダンテールは、「イスラモフォビアだと非難するのは、逆にイスラモフォビアだと非難されることを極度に恐れているからである。イスラム左派(のフェミニスト)は(相手イスラモフォビア烙印を押すことで)イスラム過激派武器提供しているのだ」と指摘している。 2013年に、彼女は未成年者割礼身体的完全性損なわせる行為見做し欧州評議会決議反対するCRIF(フランス語版請願書署名した

※この「政治・思想的立場」の解説は、「エリザベット・バダンテール」の解説の一部です。
「政治・思想的立場」を含む「エリザベット・バダンテール」の記事については、「エリザベット・バダンテール」の概要を参照ください。

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