第二の性とは? わかりやすく解説

だいにのせい【第二の性】

読み方:だいにのせい

原題、(フランス)Le Deuxième Sexe》ボーボワール女性論2巻1949年刊。女性男性主体社会によって二次的客体的にされた存在であるととらえ、女性主体性獲得による解放実存主義立場から説く


第二の性

作者阿刀田高

収載図書花あらし
出版社新潮社
刊行年月2001.2

収載図書花あらし
出版社新潮社
刊行年月2003.6
シリーズ名新潮文庫


第二の性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/18 09:52 UTC 版)

第二の性』(だいにのせい、仏語: Le Deuxième Sexe)は、1949年6月に刊行された、フランスの実存主義者シモーヌ・ド・ボーヴォワールの著作(ISBN:0-679-72451-6 、OCLC:20905133)。

女性への待遇について歴史を通して考察した作品であり、フェミニズムの代表的作品とされることも多い。

女性ともう一方の性

ボーヴォワールは本著中で、女性とは、歴史的に「もう一方の」、つまり「通常の」男性から逸脱した性として定義されてきたと主張している[1]。 ボーヴォワールは、自身について書いた後に『第二の性』に取り組んだ。彼女が最初に書いたのは、自身が女性であることだったが、女性について定義する必要を感じて本著を執筆した。

ジェンダーとセックス

ボーヴォワールの「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という理論[2]は、「セックス」と「ジェンダー」の相違を示しているとジュディス・バトラーは指摘している。バトラーによれば、「ジェンダー」とは「徐々に獲得していった」アイデンティティの一面だと示唆している。また、本著はジェンダーに対する根本的な理解を潜在的にもたらしたのだという[3]

翻訳の問題

トリル・モイの指摘によれば、現在の『第二の性』の英訳には誤りがあるという[4]哲学概念についての微妙な語彙がしばしば誤訳され、本文も大幅に削られている[5]

英語の出版権を持つのはAlfred A. Knopf, Incである。 モイによれば、出版者は英語の文章に問題があることに気づいていたが、彼らは長く、新しく翻訳する必要はないと主張していたという[4]。 著者ボーヴォワール自身も1985年のインタビューで、新しい翻訳を次のようにはっきりと希望している。「私は『第二の性』の新しい翻訳、つまりもっとずっと正確で、妥協のない正確な翻訳を切望している[6]

出版社はその後、これらの要望を受け入れて新しい翻訳を依頼。2009年にコンスタンス・ボーデとシーラ・マロヴァニー=シュヴァリエ[7]による新英訳がなされる。


訴訟

1950年、訴訟の対象となった。ボーヴォワールは同著中で、ベル・エポック期の代表的な美女で知られ、当時大変に著名なバレエダンサークルチザンヌで数々のゴシップの対象となっていたクレオ・ド・メロードを取り上げた上で「貴族を騙った高級娼婦」と記述した。クレオは貴族の末裔である、と称していたことに異議を唱えた内容である。それに対してクレオは、名誉毀損として裁判を起こした。

裁判はクレオの勝訴という結果に終わり、ボーヴォワールには賠償が命じられた。ただし、この賠償金は「フラン・サンボリック」といって額面のみで実際には支払わなくてもよい性質のものであった。

実際のクレオについて、本当に貴族の出であったのかは謎のままである。

邦訳

  • 生島遼一訳『ボーヴォワール著作集:第6巻 第二の性*』、『ボーヴォワール著作集:第7巻 第二の性**』、京都:人文書院、1966年。
  • 『第二の性』を原文で読み直す会訳『第二の性 決定版』全3巻、新潮文庫、2001年
  • 『第二の性』を原文で読み直す会訳『第二の性 決定版』全3巻、河出文庫、2023年(新潮文庫〔2001年〕版の復刊)

脚注

  1. ^ シモーヌ・ド・ボーヴォワール、『 Force of Circumstances 』。リチャード・ハワード英訳。(ペンギン社、1968年)
  2. ^ シモーヌ・ド・ボーヴォワール『第二の性』(Vintage Books, 1973年), 301ページ
  3. ^ ジュディス・バトラー, 『シモーヌ・ド・ボーヴォワールの《第二の性》に見るセックスとジェンダー』、Yale French Studies , No. 72 (1986年), 35 - 49ページ.
  4. ^ a b トリル・モイ, 'While we wait: The English translation of The Second Sex' in Signs: Journal of Women in Culture and Society vol. 27, no 4 (2002年), 1005–1035ページ.
  5. ^ マーガレット・シモンズ, 'The Silencing of Simone de Beauvoir: Guess What's Missing from The Second Sex' in Beauvoir and The Second Sex (1999年), 61-71ページ
  6. ^ マーガレット・シモンズ, 'Beauvoir Interview (1985年)' in Beauvoir and The Second Sex (1999年), 93-94ページ
  7. ^ コンスタンス・ボーデ、シーラ・マロヴァニー=シュヴァリエ訳, 'The Second Sex’, Vintage books, 2009年

参照

外部リンク


第二の性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 06:42 UTC 版)

オメガバース」の記事における「第二の性」の解説

第二の性の身体的特徴男性女性陰茎子宮陰茎子宮アルファY N Y / N Y ベータY N N Y オメガY Y N Y オメガバースにおいて、キャラクター男女といった性別のうえに「アルファ」(英語: Alpha)、「ベータ」(英語: Beta)、「オメガ」(英語: Omega)の3つ分類される「第二の性」(英語: secondary gender)を持つ。オメガバースが「A/B/O」とも呼ばれるのはこのためである。オメガバースにおいては性別6つ存在することになるが、多く作品ではアルファ男性オメガ男性の関係が描かれている。 アルファフィクション中のヒエラルキーのなかで最高位位置づけられ、身体的な性に関わらず他者妊娠させることが出来る。アルファはさかり(英語版のような習性や、亀頭球付き陰茎を持つ。2014は、アルファであれば女性であってもこのような陰茎を持つとしているが、阿部 & 石橋 (2020)は、アルファ女性陰茎持っているかは作品によって異なるとしている。 ベータ一般的な人間であり、ヒエラルキーのなかではアルファに次ぐ。フィクションにおいてベータ一般的にはアルファオメガペアにされることはなく、物語の筋から排除されることが多いが、なかにはアルファオメガの「仲裁人」といったキャラクターとして登場するものもある。 オメガフィクション中のヒエラルキーのなかで最下層位置づけられ、性別関わらず妊娠することが可能である。オメガ発情期持っており、アルファ発情させるフェロモン発するいくつかの作品においてはアルファオメガ中間位置するデルタ」や「ガンマ」も登場する

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