揖保川とは? わかりやすく解説

揖保川

安全で緑濃い地域伝承流れ目指し
兵庫県西部位置する揖保川は、兵庫県一宮町無山に源を発し途中引原川栗栖川林田川等を合わせながら山崎町新宮町龍野市等を貫流し河口付近中川分脈して瀬戸内海播磨灘に注ぐ流域面積約810km2幹川流路延長約70kmの河川です。

播磨灘にそそぐ揖保川
播磨灘にそそぐ揖保川

河川概要
水系揖保川水系
河川名揖保川
幹川流路延長70km
流域面積810km2
流域内人20万人
流域関係都県兵庫県

揖保川流域図
○拡大図
2.地域の中の揖保川
"古くから舟運による経済交流生まれ地場産業発達した経緯や、住民による治水畳堤)など地域社会との繋がり大き河川です。下流では「揖保川河川防災ステーション」が設置されており、平常時住民との交流の場として利用されています。"

清流はぐくむ地場産業

揖保川は豊かな清流により流域うるおし数々産業育ててます。
中でも特筆すべきものには「素麺そうめん)」と「醤油しょうゆ)」があります
品質良い播州小麦赤穂(あこう)の塩、それに揖保川がもたらす伏流水。さらに瀬戸内海気候少な風土は、素麺づくりの条件総て備えてます。
揖保川の舟運
醤油もまた揖保川流域伏流水なくしては語れません。醤油がこの地に根付いたのは素麺より古く16世紀後半天正年間伝えられています。龍野醤油は「うすくち」と呼ばれ、色の薄いことが特徴で、関西懐石料理などにはかかせません。揖保川の伏流水含まれる鉄分少ないことがこの「うすくち醤油」を生み出したといわれています。

これら地場産業育てたものに揖保川の舟運ありました赤穂からの塩など材料搬入製品大阪京都などの大消費地送り出すのにも舟運大きな役割果たしました

畳堤
畳堤
鉄道道路輸送発達により舟運絶えましたが、今でも住民の川への思いは大変強いものがあります。それを象徴するのが「畳堤(たたみてい)」です。
この畳堤当初コンクリートの壁で洪水を防ぐこととしいましたが、「普段、揖保川の景観見えるようにしてほしい」という住民からの強い要望によりコンクリートだけをつくり、洪水時には家庭から畳を供出してはめ込むことで氾濫を防ぐという、全国でも珍しい堤防です。最近は洋間増加などで、家庭の畳も少なくなったり寸法が合わなくなってきたいるため、龍野市では防災倉庫に畳を備蓄するなどして防災備えてます。

畳はめ込み状況
はめ込み状況
3.揖保川の自然環境
"河口部干潟ひろがりトビハゼ貴重な植生多数見られます。また全国ワースト3の水質浄化事業等により清流としてよみがえり40年ぶりに遡上見られました。"

貴重な干潟、よみがえる清流

オヤニラミ
生物生息状況平成2年から実施している「河川水辺の国勢調査」では、約60種の魚類確認されており、上流部で「レッドデータブック」の希少種であるオヤニラミ河口部では「兵庫県レッドデータブック」に記載があるトビハゼなどが生息してます。鳥類植物も非常に豊かで、鳥類92種が確認されており、植物602種に上っております
カジカガエル
両生類は虫類は、ともに7種の生息確認されており、カジカガエル兵庫県版のレッドデータブック掲載されています。昆虫類では778種が確認されており、整備された「とんぼ池」「わんど」ではナツアカネシオカラトンボイトトンボ飛び交う姿を見ることが出来ます

干潟とヨシ群落
整備されたとんぼ池
整備されたとんぼ池

揖保川の河口部周辺ではフクドアイアシ、ナガミノオニシバなどの貴重な植物多く見られます。これらは感潮域の泥湿地干潟)という全国でも減少危惧されている環境で、優先する植物そのもの絶滅危惧種であり揖保川の自然を特徴づける存在だけでなく、近畿でも有数規模特異性をもつ塩沼えんしょう植物群落群として極めて重要なものです。このような環境によりミサゴ貴重種)などの鳥類トビハゼイドミミズハゼ(以上、貴重種)などの魚類エサ場などに利用しているほか、多く昆虫底生動物生息してます。

かつて揖保川下流水質全国でもワースト3にも入る汚れのひどい川でしたが、「清流ルネッサンス21」と名付けられ浄化事業下水道整備などにより劇的に改善し近畿でも有数清流取り戻しました
揖保川はアユ釣りメッカとして全国的に知られ上流部では30cmを越える「尺アユ」が釣り上げられています。下流部水質改善により平成9年には約40年ぶりに天然アユ遡上確認されました。
4.揖保川の主な災害

播磨暴れ川

近年主な洪水
近年の主な洪水
揖保川における洪水平安末期長元元年1038年)から記録見え始めます
以後江戸期通じて主に河口周辺甚大な洪水被害記録されています。

近代明治から大正期における揖保川の水害は、記録に残るものだけで20回に及びますその中で明治25年7月23日水害では、下流部一帯被害集中し最大浸水深が約3mにも達した記録されており、死者6名、被害家屋10,793戸に及ぶ大被害でした。

 昭和45年8月台風10号
昭和45年8月台風10号

昭和に入って、揖保川改修契機となった昭和16年8月15日洪水をはじめ、戦後最大流量もたらした昭和45年8月洪水流域において未曾有の降雨量記録し大被害もたらした昭和51年9月洪水などが著名な洪水として挙げられます。
 昭和51年9月 洪水被害 昭和51年9月 洪水被害
 昭和51年9月 洪水被害

(注:この情報2008年2月現在のものです)




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