批評・異説とは? わかりやすく解説

批評・異説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 08:11 UTC 版)

中間小説」の記事における「批評・異説」の解説

伊藤整小説論では、まず文壇の中でのみ評価される従来純文学作家作品世間受け入れられ形態風俗小説または中間小説であると言い19世紀ヨーロッパディケンズバルザックなどに近い方向性しながら、しかし「通俗化への性急さと、大量生産的な競争意識によって悪く使われている」という現状認識もし(「現代文学可能性改造1950年1月号)、さらに当時文学全体における市民からの遊離性について「中間小説文学精神ダラク批評」するだけでは解決できない述べている(「中間小説近代性中央公論1950年3月号)。 1955年北原武夫は『文學界』で「中間小説実用文学」と題し中間小説の場は文学実人生の間にあるという説を唱える中村光夫1950年の「風俗小説論」などで、当時風俗小説流行を、「「文学」の理念解体喪失歴史」「リアリズム技法の、たんなる職人的技術への「風化」の過程」など、近代日本文学歪みとして弾劾したが、1957年の「中間小説論」では、「中間小説問題難しさは、それが小説俗化堕落であることは間違いないとしても(略)読者要求は、少なくとも私小説読者くらべれば自然で健康だということです」「中間小説生んだ現代社会が、処女地が鍬を待つように、新し芸術出現望んでいるのです」という認識示した瀬沼茂樹1959年に「文学によって人生真相知りたいという要求」から芸術小説求められるが、「芸術小説はそうざらにできるものではないので、その代用品として人生知恵教え中間小説赴くのである」と述べるが、「通俗小説中間小説は、極めてありふれた月並なもの、あるいは出来あがった知識あたえてくれるだけであろう」、また石川達三井上靖について「人間性これまでになかった面をしめしている時代であるから、そこから人間性秘密に切りこんでいこうとする」点で成功しているか疑問で、「ある種通俗性・常識性をもったストオリ・テエラアにとどまるところがある」と評した社会派推理小説台頭して高い評価を得るようになった1961年に、伊藤整松本清張プロレタリア文学果たせなかったことを成し遂げた絶賛し、こういった高評価純文学論争火種となった。その松本清張1958 年に「小説に「中間は」無い」と題して、「(文学には)純文学通俗文学の二つしかない。(略)内容的にはそのどっちか属する」、また「小説面白すぎると批評家けいべつを買うようだ」といった立場表している。一方で小説現代』『オール讀物』に作品発表していた五木寛之は「自分作品を、いわゆる中間小説とも大衆文学とも思ってはいない。私は純文学対応するエンターテインメント>、つまり<読み物>を書いたつもりである」(短篇集さらばモスクワ愚連隊』(1967年)の後記)と述べている。 1960年代ブームについて郷原宏は、現実からの救済として大衆小説求めていた読者の、戦後の経済成長による嗜好変化結果であり、さらに管理社会のへの反抗として1970年代以降西村寿行などのヒーローもの冒険小説望まれたとしている。 吉行淳之介の定義では「中間小説とは、その原稿料新聞小説文芸雑誌小説との中間ののであるとされる。また中間小説かどうか挿絵が付くかどうかであるとも言われ挿絵小説呼び名もあった。 戦後すぐの頃に多く出版されカストリ雑誌は、エロ・グロ中心にしていたが、柴田錬三郎有馬頼義始めその後著名となった作家作品発表している。また1946年創刊の『ロマンス』や、織田作之助絶筆恐るべき女」を連載したリベラル』、1949年永井荷風四畳半襖の下張」を初め掲載したブラック』など、一流作家作品掲載する雑誌もあり、これらを中間小説誌の「プロトタイプ」と呼ぶこともある。

※この「批評・異説」の解説は、「中間小説」の解説の一部です。
「批評・異説」を含む「中間小説」の記事については、「中間小説」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「批評・異説」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「批評・異説」の関連用語

批評・異説のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



批評・異説のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの中間小説 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS