岸辺露伴 グッチへ行く
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「岸辺露伴は動かない」の記事における「岸辺露伴 グッチへ行く」の解説
『SPUR』2011年10月号の別冊付録である小冊子に掲載されたフルカラー16ページの短編作品。グッチ設立90周年を迎えるにあたり、その記念として『SPUR』編集部より「グッチの職人とものづくりの伝統をテーマに作品を描いてほしい」と荒木飛呂彦に依頼が舞い込み、同年が荒木の執筆30周年でもあることからその記念も兼ねて執筆が決定した。英題は『Kishibe Rohan meets Gucci.』。 『SPUR』からの依頼では『ジョジョの奇妙な冒険』とのコラボレーションについて特に指定を受けていなかったが、荒木は自身の判断で露伴を登場させることを決めたという(下記コメント参照)。 普通だと職人や工房を紹介するマンガで、こういうところで、こんな風に職人さんが働いているんだよとか、そういうものがSPUR編集部もグッチも欲しかったんだと思うんですね。でももう少しマンガのキャラクターと融合したいと思ったんです。ストーリーがあれば登場するのは誰でも良いという感じではなくて、ジョジョと融合したいなと。 — 荒木飛呂彦 なお、本短編に関する複数のインタビューで露伴がPart4劇中でグッチの時計を身に着けている点についても指摘を受けているが、荒木によればこれは自身の所有している時計をモデルにしただけで露伴が特にグッチを好んでいるという設定はなく、荒木自身も指摘を受けるまで忘れていたという。一方で下記の通り、グッチと露伴に偶然にも接点があったことについてコメントを残している。 何年も前に描いたシーンですが、露伴がグッチの時計をしていたのは、すでに露伴のセンスがもの選びに反映されていたということでしょう。だからグッチのオファーがあったのかもしれませんね。偶然か予知能力か。不思議な因縁を感じます。運命だったのかも — 荒木飛呂彦 本作はその特性上、グッチというブランドのヒストリーにいかに荒木飛呂彦的な要素を入れるかに重点を置いており、登場人物は全てグッチの服を身に着けている。また、ミラノでコレクションを見た『SPUR』編集者から「秋冬のグッチは色使いが荒木先生向き」と教えられたことから、1ページを丸々使用してカラーブロッキングされた背景に露伴とグッチの服を身にまとった通訳の女性がポーズをとる大胆な構成をいくつも用いるなど、掲載される『SPUR』がモード誌であることを強く意識した内容となっている。劇中に登場する衣服は全てフリーダ・ジャンニーニがデザインしたもの可能な限り正確に着せ、小物も全て荒木が実物を実際に手にした上で細部まで忠実に描かれているが、露伴のパンツやジャケットなど、衣服の色には漫画の配色に合わないとの理由から一部変更が行われているものも存在する。 発表を記念して2011年9月17日から10月6日までの間、東京のグッチ新宿において本作の原画と漫画に描かれたコレクションを展示する『岸辺露伴 新宿へ行く』展が開催された。 あらすじ 露伴は、祖母の形見のバッグに金目の物を入れると消えてしまう謎の現象を直してもらうために、イタリアのフィレンツェにあるグッチの工房を訪れる。グッチの職人は難色を示すが修理を引き受け、露伴は修理されたバッグを持って帰るが、後になってそのバッグに隠された秘密を知ることになる。 登場人物 岸辺 露伴(きしべ ろはん) 杜王町に住む人気漫画家。祖母の形見のバッグが起こす謎の現象を直してもらうために、フィレンツェにあるグッチの工房を訪れる。対象を本にして、記憶を読んだり命令したりできるスタンド「ヘブンズ・ドアー」を持つが、今作には登場しない。その理由について荒木飛呂彦は「バッグ自体がスタンドという設定だし、『ジョジョの奇妙な冒険』を知らない読者も多い女性誌なので、あえて今回は露伴のスタンドは描かなかった」と説明している。祖母は『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で描かれた人物。 通訳の女性 露伴がイタリアを旅行するにあたり、通訳として雇った女性。露伴とともにトスカーナを旅行し、フィレンツェのグッチの工房に同行した後露伴をワイナリーへと案内し、隙を見せた露伴の貴重品を全て持ち去った。なお、彼女が着ている衣装は全てグッチの2011-2012の秋冬新作を基に描かれている。 グッチの職人 グッチのレザー製品を担当する職人。丁寧な接客と厳密な説明を行うも、露伴からは「マニアックな説明はいらない」と返答される。露伴からバッグの修理を依頼され、そのバッグの成り立ちを説明するが露伴は聞く耳を持たなかったことから言われた通りにバッグを修理した。 用語 露伴の祖母のバッグ 露伴の祖母の形見である、ウェブをあしらった70年代製のボストンバッグ。グッチの職人によれば、かつて天才的な職人の一人が全世界に3個だけ特別に作ったものであるという。金目の物を入れて口を閉じるとそれが消えてしまうため、露伴はグッチの工房へ修理を依頼した。この現象はバッグに宿ったスタンド能力によるものであり、持ち主が危機に陥った時に消えた金品と等価の物を出して持ち主を助けるというものであったが、金品が消えないように修理されたことにより能力は消失した。 なお、構想時点では祖母の形見が財布となる予定だったのだが、グッチからの強い要請でバッグに変更されたという。
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