寛容思想の展開とは? わかりやすく解説

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寛容思想の展開

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:54 UTC 版)

ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事における「寛容思想の展開」の解説

近世ヨーロッパでは宗教改革によって教会多元化進行し相次ぐ宗教戦争への反省のなかから寛容思想広がっていった。「国際法の父」と称されフーゴー・グローティウス人類最初契約なるものの存在想定し、その契約によって人間自然状態放棄したものとみなした。「自然権まずもって人間のもつ社会性由来し、たとえ神が存在しなくても自然権価値有している」と唱えるグローティウス考えは、ヴェストファーレン条約調印向けて大きな影響力をもった。 清教徒革命期フランス亡命したイングランドトマス・ホッブズ機械論的世界観先駆的哲学者一人であり、人工的国家論社会契約説唱えたホッブズによれば人間自然状態にあっては利己心自己防衛本能から「万人の万人に対する闘争」というべき戦争状態に陥り、そこにおける相互恐怖心から免れるために人為的ではあるが制限されることのない権力君主与えた主著リヴァイアサン』に示されたこの思想結果的に絶対主義擁護することにつながったが、「人間生存」はすべての義務先行する自然権であると説いて王権神授説明確に否定しロックルソーつらなる社会契約説嚆矢として大きな意味をもっている。キリスト教分裂その結果として生じた多様な意見は、世俗権力宗教権力分裂終止符打ったのであるオランダバールーフ・デ・スピノザは「思想の自由」を称賛し自著神学政治論英語版)』において「宗教的信仰実践敬虔さ外的形状は、平和と国家有用性に基づき定められる」と主張した同書ではまた、聖書歴史的に成立した文書である以上、その解釈歴史的になされるべきであるという考えもとづいて聖書解釈おこない近代聖書学成立に道をひらいた。スピノザユダヤ人共同体から追放されたが、無神論者疑いかけられながらも思索続けられたのもオランダならではのことであった。ただし、『神学政治論』は1670年禁書処分にされ、主著エチカ』も生前には出版されなかった。 ドイツでは、ザミュエル・フォン・プーフェンドルフグローティウスホッブズ影響受けた世俗的自然法論唱えたが、プーフェンドルフ自然状態については完全な闘争状態ではなく家族結合のような社会関係想定したプーフェンドルフ影響受けたクリスティアン・トマジウス多数著作著してライプツィヒ大学では自然法ドイツ語講じたため、後世クリスティアン・ヴォルフ並んでドイツ啓蒙主義の父」と称された。ライプツィヒ離れたトマジウスは、プロイセン公フリードリヒプロイセン王フリードリヒ1世)によって領内ハレ大学設立するよう命じられた。こうして1694年創設されハレ大学教派越えた学問研究中心となり、ドイツ啓蒙主義拠点となったルター派フィリップ・シュペーナーらは硬直化した教会内部から刷新するドイツ敬虔主義運動を開始していたが、シュペーナー多く敬虔主義者たちをハレ大学集めたため、ここでは初期啓蒙哲学敬虔主義合流がみられた。敬虔主義(ピエティスム)とは特定の教理遵守することではなく個人敬虔な内面的心情信仰本質をみるという立場であり、民衆教育慈善活動きわめて熱心に取り組んだフーゴー・グローティウス1583年-1645年トマス・ホッブズ1588年-1679年バールーフ・デ・スピノザ1632年-1677年ザミュエル・フォン・プーフェンドルフ1632年-1694年フィリップ・シュペーナー1635年-1705年クリスティアン・トマジウス1655年-1728年

※この「寛容思想の展開」の解説は、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の解説の一部です。
「寛容思想の展開」を含む「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事については、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の概要を参照ください。

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