学群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/28 07:48 UTC 版)
学群(がくぐん)は、学部に替わる大学の学士課程教育の基本となる組織である。典型的には、いくつかの学士課程を担う「学類」により構成され、学生は学群・学類に所属する一方、教員は学群とは別に研究の基本組織である「学系」に所属する。
概要
学群・学類・学系制度を最初に導入したのは、1973年に開学した筑波大学であった[1]。筑波大学は、旧東京教育大学の筑波研究学園都市への移転に伴って、従前の大学と全く異なる教育研究の仕組みを持つ新構想大学として新たに設置された大学である[2]が、それまでの大学が学部・学科・講座により構成され、教育と研究が一体化されていたのに対し、教育組織と研究組織を機能的に分離するため、学士課程の学生が所属する学群・学類と、教員が所属する学系を、教育研究の基本組織とした[3]。
最初に筑波大学で導入された学群は、第一・第二・第三・医学専門・体育専門・芸術専門の6学群であったが、ナンバーを付された学群は、それぞれ人文・社会・自然の幅広い学問分野を含み、基礎科学・応用科学・工学という教育目標の観点から一つの学群とされた[4]が、一般的にはわかりにくいことから、2007年、現在の関連する学問分野別の学群に再編された。
国立大学法人化[5]後の2004年に福島大学、2005年に桜美林大学が、学部を改組し学群を設置して以降、いくつかの大学が学群制を導入した[1]。これらの大学では、特定の学問分野に特化した特徴を持つ「学部」とは違い、より広範囲な学問分野に基づく学士課程を展開する構成単位として使用されることが多い。
但し、この後学群を導入した大学の中には、教員も学群に所属し、教育と研究の組織を分離していない大学もあり、学群のあり方は多様になっている。
また、日本工業大学では、学群は、学部内のいくつかの学科を束ねたものとして設置された。
なお、和洋女子大学や日本工業大学のように、学群制度を導入したものの、学部制度へ戻した大学もある。
同様の構成単位用語に「学域」「学環」「学院」などがある。なお、「学院」は東京工業大学のみで採用されている方式であるが、学校そのものを意味する「学院」とは異なるほか、学部と大学院研究科を統合したものであるため、学部・学群・学域・学環とはニュアンスがかなり異なっている。
学群制を採用する大学・大学校一覧
- 国立
- 筑波大学 - 人文・文化学群, 社会・国際学群, 人間学群, 生命環境学群, 理工学群, 情報学群, 医学群, 体育専門学群, 芸術専門学群
- 福島大学 - 人文社会学群, 理工学群, 農学群
- 公立
- 宮城大学 - 事業構想学群, 看護学群, 食産業学群
- 高知工科大学 - システム工学群, 環境理工学群, 情報学群, 経済・マネジメント学群
- 北九州市立大学 - 地域創生学群
- 名桜大学 - 国際学群
- 私立
- 桜美林大学 - リベラルアーツ学群, ビジネスマネジメント学群, 健康福祉学群, 芸術文化学群, グローバル・コミュニケーション学群
- 札幌大学 - 地域共創学群
- 酪農学園大学 - 農食環境学群, 獣医学群
- 駒沢女子大学 - 人間総合学群
- 姫路獨協大学 - 人間社会学群
- 尚絅学院大学 - 人文社会学群/心理・教育学群/健康栄養学群
- 省庁大学校
- 防衛大学校 - 応用科学群, 電気情報学群, システム工学群, 人文社会科学群
学群制を採用していたことがある大学・大学校一覧
- 私立
- 和洋女子大学 - 2008年より人文学部を人文学群に、家政学部を家政学群に改称することで制度導入をするも、2018年に再度学部に改称した。
- 日本工業大学 - 2009年に旧工学部の中の下部構成単位として機械システム学群, 電子情報メディア学群, 建築デザイン学群[6]を置く制度を導入するも、2017年に学部改組する際に廃止した。
脚注
- ^ a b “大学で増殖する造語、「学群」「学域」「学環」って?|ライフコラム|NIKKEI STYLE”. 2018年3月26日閲覧。
- ^ 文部科学省「学制120年史」第3編教育・学術・文化・スポーツの進展と新たな展開第5章高等教育第3節大学(学部)の整備 1新構想大学の整備
- ^ 旧国立学校設置法第7条の2
- ^ 浜林正夫・畠山英高編著『筑波大学』p.175
- ^ 国立大学法人化に伴い、国立学校設置法は廃止された。
- ^ これらの学群の中に専攻・コースに相当する「学科」がある。
参考文献
- 文部科学省「学制120年史」第3編教育・学術・文化・スポーツの進展と新たな展開第5章高等教育
第1節高等教育の改革と進展 2新構想大学の設置 第3節大学(学部)の整備 1新構想大学の整備
- 浜林正夫・畠山英高編著『筑波大学』、青木書店、1979年
関連項目
学群
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組織単位概要リベラルアーツ学群 「学問の壁を超え多様な知識に触れることで、高度な専門知識を備えるだけでなく幅広い視野を持つ人材を養成する。33の専攻プログラムと750以上の科目を用意し、学問の全領域を横断して、自由に学べる環境が整っている。しっかりとした教養を身につけ高度な専門分野を学びながら、総合的で深い思考力や柔軟で正確広範な発想、豊かな人間性陶冶が自然と身についていく」とされている。 ビジネスマネジメント学群 ビジネスマネジメント学類とアビエーションマネージメント学類の2つからなる。ビジネスマネジメント学類のみ他学群生のマイナー専攻登録可。 ビジネスマネジメント学類 ビジネスプログラム 観光・ホスピタリティ・エンターテイメントビジネス科目群、流通・マーケティング科目群、国際金融ビジネス科目群、ICTビジネス科目群 マネジメントプログラム 経営戦略・管理科目群、会計財務科目群、経済・法律科目群、情報・環境科目群 アビエーションマネジメント学類 エアライン・ビジネスコースとエアライン・ホスピタリティコースの2コースからなるが、各専攻には人数制限があり、専攻希望者は第2セメスター(1年次秋学期)に選抜試験がある。他学群生履修可の科目も多いが専攻はメジャーのみでマイナーはない。 エアライン・ビジネスコース エアライン・ホスピタリティコース フライト・オペレーション(パイロット養成)コース 2020年4月の航空・マネジメント学群新設により同学群に移管された。 健康福祉学群 健康科学専修 精神保健福祉専修 精神保健福祉コースと実践心理コースの2コース制で、精神保健福祉コースはマイナーがなくメジャーのみ。 社会福祉専修 保育専修 メジャーのみでマイナーはない。 芸術文化学群(総合文化学群より改称) 2000年に劇作家、演出家でもある平田オリザ、文学座の坂口芳貞らを中心に設立された桜美林大学文学部総合文化学科を母体とし、その後総合文化学群に改組、演劇専攻、造形専攻、音楽専攻の3種類に分類されるがリベラルアーツの精神を提唱し、内部での区別はないに等しく、全ての科目を選択することが可能とした。芸術文化学群に変更後は演劇専修、音楽専修、造形デザイン専修、映画専修の4種類に分類されるが、引き続きリベラルアーツの精神を提唱し、専修内でコース分けをしていないほか、専修を越えた履修によって芸術分野全体を視野に入れた学びが可能。演劇専修の活動としては、学生演劇の枠を超え、一般の観客の鑑賞にも堪えうる高いレベルの作品の上演を目指す桜美林大学パフォーミングアーツプログラム【OPAP】がある。上演は主にPFC内のプルヌスホールにて毎年行われ、年に一度、舞台芸術祭として毎年「GALA Obirin」が開催されている。2013年に玉川大学、多摩美術大学、 桐朋学園芸術短期大学、日本大学の5大学で東京演劇大学連盟を発足。以下の3専修何れも他学群生はマイナー登録不可だが、代わりとしてカルチャー管理コースへの登録が可能。尚、カルチャー管理コースはマイナーのみでありメジャーはなく、また履修ガイドに僅かに記載があるのみで学群のホームページ等では案内されていない。 演劇・ダンス専修 音楽専修 ビジュアル・アーツ専修 従来の映像専修及び造形デザイン専修を統合し2017年より新設。 グローバル・コミュニケーション学群 国際社会で活躍するには欠かせない「語学」。学んだ外国語を実践しながら、価値観や慣習の違いを肌で感じ、地球規模の視野を獲得する「留学」。 更に留学から帰国した後に、「グローバル・スタディーズ」科目やグループプロジェクトなどを通じて外国人留学生と切磋琢磨しながら培う「リーダーシップ」。 グローバル・コミュニケーション学群の4年間のカリキュラムには、グローバル人材に必要なものが凝縮されている。英語専修、中国語専修、日本語専修があるが、自分が母語としている言語専修は原則として選択出来ない。 英語特別専修 「英語の桜美林」として評価の⾼い、建学以来培ってきた教育ノウハウが教育のベースの専修。その上に、英語のみでの授業(ダイレクト・メソッド)や最先端の教育メソッドの導⼊、授業外学習の充実など、グローバル・コミュニケーション学群独⾃の環境を構築。英語圏で英語を母語とする学生は選択不可。 中国語特別専修 中国語を母語とする学生は選択不可。 日本語特別専修 日本語を母語とする学生は選択不可。 グローバル教養専修 英語・中国語・日本語それぞれの修得に関して豊富なリソースとノウハウがある桜美林大学ならではの専修であり、上記3専修を更に発展させた専修という位置付けになっている。入学時には選択不可で、上記3専修何れかで所定の履修要件を満たした場合のみ履修が可能となる。 教育探究学群 高校のカリキュラムである「探究」科目に合わせて設置される学群。2023年4月新設予定。主に淵野辺プラネットキャンパスを使用するとしている。
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