大-公とは? わかりやすく解説

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たい‐こう【大公】

読み方:たいこう

ヨーロッパの君主一門男子をいう語。

ヨーロッパ小国の君主をいう語。その国を大公国という。「ルクセンブルク—」

[補説] 作品名別項。→大公


たいこう【大公】

読み方:たいこう

原題、(ドイツ)Erzherzogベートーベンピアノ三重奏曲第7番通称変ロ長調1811年の作。名称は、優雅堂々とした曲想であることと、ルドルフ大公献呈されたことにちなむ。大公トリオ


大公

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/10 10:22 UTC 版)

大公(たいこう)は、称号の一つ。ヨーロッパの称号のうち公爵と訳されるものよりさらに上の称号を訳すのに使われる。大公と訳される称号には、「grand duke」などいくつかある(以下、原義を示すのに便宜上原則として英語を用いる)[1]

grand duke

grand duke は、(king)の下、(duke)の上に位置する。王族の王以外のものや、分家の長が称することが多い。grand duke が元首となる国は大公国(grand duchy)。大公爵と訳すこともある。

歴史上の grand duke には、以下の例が挙げられる。

このうち現存するものは、ルクセンブルク大公国のルクセンブルク大公のみである。

grand duke / prince (露великий князь)

ヴェリーキー・クニャージモスクワ大公などの称号である。もとはキエフ大公にのみ用いられた。諸князь)の上に立つ者という位置づけである。

この場合の「公・大公」は当時の現地語で「князьクニャージ)」といい、英語ではprince、日本語では「公」と訳されているが、これは翻訳当時の都合であり、本来はむしろ「王」に相当するものであった。 キエフ・ルーシ時代には、すべての公の上に立つキエフ大公により派遣される一族によって各公国は治められていた。

その後、ロシア帝国時代にはツァーリ皇帝の下に置かれる爵位のひとつとして「大公」の称号が用いられた。従って、この両者はキエフ・ルーシ時代のものとはまったく性格の異なるものであるといえる。

英語ではgrand princeが直訳であるが、grand dukeと訳すことが多い。

なお、「大公国」という名称は必ずしも正式のものではない。

archduke (独Erzherzog)

Erzherzog英語archduke)は、オーストリアハプスブルク家の成員が使う称号である。オーストリア大公のほか、オーストリア=エステ大公と称する例もある。オーストリア公ルドルフ4世が自称したことに始まり、16世紀以後はハプスブルク家の全ての男子の成員が使用(女性形はErzherzogin)するようになった。

前ハプスブルク家当主の元オーストリア皇太子オットー・フォン・ハプスブルク、およびその息子で現当主のカール・ハプスブルク=ロートリンゲンも Erzherzog を称する。

prince

本来は、君主や諸侯一般を指す語であり、称号として用いられるときには「大公」と訳される場合がある。

フランス語圏・英語圏の prince は、フランス語の duc、英語の duke の上位の爵位として用いられる場合があり、その場合には、「公」とも訳される一方で「大公」とも訳される。たとえばモナコの君主(prince)は「大公」とも訳される。プリンス・オブ・ウェールズも「ウェールズ大公」と訳すことがある。

duke (仏duc; 独Herzog)

初期中世のドイツやフランスにおける(ラテン語の)dux(英duke、仏duc、独Herzog)に「大公」という訳を当てることもある。この時代の dux は後世と違い、主として各部族の長という意味合いを持っていた(部族大公制)。

しかし、権力のあり方としてはともかく、称号としては後の爵位としての dux の起源であり、実際に承継されている例もある。例えば初期中世のバイエルン大公(バイエルン人の部族長)やロートリンゲン大公(ロートリンゲン地方のフランク人の部族長)は、後世ではバイエルンやロートリンゲン(ロレーヌ)の領主の称号となり、近世の文脈であれば「バイエルン公」や「ロートリンゲン公(ロレーヌ公)」と訳されるのが通常である。

本来の言語ではこのような名称による区別を行ってはおらず、あくまで日本において研究者により訳語が統一されていないということに過ぎない。また、研究者によっては初期中世に限定せずに用いることもあり、また「太公」の訳語を用いる者もいる[2](ただし、この語は漢語では別の意味を有する)。この意味で用いられる「大公」についてはを参照。

the Great

「偉大な公」の意味で「大公」を用いることがある(ユーグ大公シュテファン大公など)。偉大な王という意味の「大王」、偉大な皇帝という意味の「大帝」と同義であり、例えば英語なら、この場合の大公も、大王も大帝もひっくるめて「The Great」と呼ばれており、区別されない。日本語訳の際に公か王か皇帝かで区別されるのである。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 新村出編『広辞苑 第六版』(岩波書店2011年)1677頁および松村明編『大辞林 第三版』(三省堂2006年)1503頁参照。
  2. ^ 大仏次郎の小説「詩人」ではロシア帝国セルゲイ・アレクサンドロヴィチ大公を「セルゲイ太公」と呼んでいる。ただし、これは上述の великий князь の訳である。

参考文献

文献資料


大公

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 13:27 UTC 版)

フランク王国」の記事における「大公」の解説

フランク地方支配において伯と並び重要な存在として大公(太公dux)がいた。「アレマン人の大公」や「バイエルン人の大公」と呼ばれるこれらの大公は、形式上フランク王国官職位であり、フランク王により任免が行われた。この地位は大公(dux)という称号が完全に一般化するまではしばしば侯(marchio)とも呼ばれた。彼らは軍指揮官として王国軍一翼を担うとともに特定地域における行政上の権限掌握していた。支配地域すべてのの上位に立つこの大公がどのような存在であるかについては長い議論が行われている。統一的な国家体制存在しなかったフランク王国の他の地位同じく、大公(dux)の性質時代的地域的な差異大きいものであった考えられている。 ラテン語史料表れる大公(dux)位を、ゲルマン古来部族の中から現れ固有の命令権者(ヘリツォーゴ、Herizogo, 独:Herzog)とするか、またはフランク王国による支配のためにメロヴィング朝の王によって任命され官職保有者として現れものとするかについては長い議論が行われている。前者見解支持する研究者によれば部族的軍隊王権基盤置いた「大公」の支配領域フランク王国によって征服されたあとも、「国家内国家」的な性格喪失しなかったとされる。しかし、現代の研究ではこのような「大公」位を各部族による自生的制度見なす見解否定的にとらえられている。これらの大公位は、たとえばアレマン人領域ではクローヴィス1世による征服のあと、旧来の王(rex)に代わって大公(dux)が任命されており、バイエルン大公もまたテウデベルト1世によるザルツブルクおよびイン川上流一帯軍事的制圧直後歴史登場するためである。 しかし、どのような起源を持つにせよ、またフランク王従属していたにせよ、バイエルンやアレマンネンの大公はその支配域内において地元部族的紐帯支えられ強大な権限保有することになった。大公は領内において国王代表し、伯権力の上に立つとともに最高位の軍指揮官であり、裁判官であり、教会の長であった。またバイエルンアギロルフィング家のようなこれを世襲する一族は、法律上貴族層からも卓越した存在として扱われ大公領分割相続することができた。この意味において大公領における大公の存在「王」そのものであり、同時代史料中にはバイエルン大公を王(rex)と呼んでいるものも存在する。大公はフランク王対す軍役貢納を果たす以外は、独自の内政・外交政策推し進めることも可能であり、これゆえにフランク王衝突繰り返した。彼らはきわめて曖昧な誓約によってかろうじてフランク王と結びついていたにすぎなかった。このためフランク王の側ではたとえばカール1世によるバイエルン大公タシロ3世英語版)の廃位のように、大公権力掣肘が常に試みられた。

※この「大公」の解説は、「フランク王国」の解説の一部です。
「大公」を含む「フランク王国」の記事については、「フランク王国」の概要を参照ください。

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