信仰の性格とは? わかりやすく解説

信仰の性格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:18 UTC 版)

伊勢神宮」の記事における「信仰の性格」の解説

このように伊勢神宮長い期間を通じて膨大な数の人々参宮してきたが、その要因一つとして伊勢神宮神道最高神天皇祖神でもある天照大御神祀るという性格から、「国家総鎮守」として信仰されたことが挙げられる古くから、伊勢信仰において神宮が「国家総鎮守」として信仰されてきたことを示す例としては、例え中世において、源義宗伊勢神宮領地寄進する当たって「是れ大日本国はすべて皇大神宮豊受宮御領たる故なり」との文言寄進状載せて両宮日本全体の神と認識していることや、『吾妻鑑』に見え源頼朝寄進状にも「公私御祈祷のため」という文言見えて「私」とともに「公(=国家)」も神宮祈願対象となっていることが挙げられる。この意識農民層においても同様であったらしく、中世百姓書いた起請文に、天照大御神称して日本国主」「日本鎮守と書かれたものが見つかっている。また、仏教勢力においても、重源が「天照大御神我が朝の本主此の国祖宗なり」と述べたり無住が『沙石集』の中で「我が国仏法ひとえに大神宮ご加護によれり。当社本朝諸神父母におわすなり」と述べたほか、安房国出身日蓮は『新尼御前御返事』で「安房国東條辺国なれども日本国中心のごとし。其故は天照太神跡を垂れ給へり」として安房国東郷荘に神宮御厨があることを理由に、この地は辺境であるものの日本中心に等しいと述べている。このように仏僧においても伊勢神宮日本主神であり、仏教をも伊勢神宮により鎮護されているとみなす考え方広まっている。元寇後は、伊勢神宮神風起こした信仰され、一層国家鎮守神としての側面強調された。室町時代中期辞典壒嚢鈔』には「和国は生を受くる人、大神宮参詣すべき事勿論…」と記されており、国家鎮守神である大神宮には国民は必ず詣るべきとする観念広がっている。伊勢信仰本格化する江戸時代においても、当時伊勢参宮者の間で広く流通していた市販伊勢神宮携帯用ガイドブックである『伊勢参宮細見大全』では、皇大神宮を、その皇室との関係性説明した上で天下第一宗廟」や「日本第一宗廟」と表現している。また、同書の「参宮大意」の項目には「内外両宮四海太平国家安全を守り万民百姓はその恩恵を蒙っているのだから、その霊地を踏み、神の広前拝して神の御恵にこたえるべき」という旨が書かれ国家全体を守る神としての側面強調しており、外宮祭神については「君臣二祖」と表現され天皇国民両方にとっての祖神であると観念されている。伊勢神宮国家としての側面明治時代以降強調されたが、神宮を「国家総鎮守」とみなす信仰自体中世以来存在するもので、伊勢信仰支え一つ要因となった他方で、人々伊勢神宮国家総鎮守としてだけでなく、豊作出世病気平癒などの、個人的な現世利益もたらす神として信仰する側面有していた。上述通り伊勢神宮中世には私幣禁断風潮弱まって個人祈願多く行われるようになっており、夢窓疎石の『夢中問答集』には神宮神官度会家行が「世のつね、幣帛捧げ法楽をなすことは皆これ名利望み祈り奉らむがため」と参詣人々現状話した記録があり、記録に残る足利将軍神宮への祈願内容も、病気平癒安産祈願など私的な内容である。今神明飛神明などと称された、室町時代盛んになる京都洛中への伊勢神宮の勧請においても、神明勧請怨霊悪霊鎮魂祓い求めて勧請であった江戸時代参宮ガイドブックである『新撰 伊勢道中細見記』には「夫れ伊勢参宮家内安全所願成就を祈らんための参宮なり」と冒頭記され庶民私的祈願を行う神宮であると記されている。農村田植え歌においても、天照大御神豊穣もたらす神として歌うものが各地残されており、五穀豊作の神、あるいは全般的な幸福をもたらす神としても、伊勢神宮庶民から信仰受けていた。また、伊勢太神宮神異記』には障害持った人や病の人、貧しい人などが伊勢神宮参拝することで障害治癒したり病を克服する霊験譚が多く集められていることからも、伊勢神宮人々救済する神として信仰されていたと考えられるまた、伊勢神宮人々からしばしば霊的な聖地として信仰され神宮訪れた人は霊的な力を身につける信仰されることもあった。腹が痛む時には伊勢参り経験者に跨いでもらうと良いとか、伊勢参りから帰ってきた者は「御位」が上がるからと平常では使わない入り口から入ることになっているなどの風習各地にあり、成人儀礼として成人となった者が伊勢参宮を行う風習多くあったことも、少年から成人へと再生する聖域として伊勢意識されていたことを示している。

※この「信仰の性格」の解説は、「伊勢神宮」の解説の一部です。
「信仰の性格」を含む「伊勢神宮」の記事については、「伊勢神宮」の概要を参照ください。

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