世界ジオパークとは？わかりやすく解説

ユネスコ世界ジオパーク（ユネスコせかいジオパーク、英語: UNESCO Global Geopark、略称：UGGp、フランス語: Géoparcs mondiaux UNESCO）は2015年 11月17日、国際連合教育科学文化機関（ユネスコ）の加盟国195カ国の批准を経て設立した事業である^[1]^[2]。この事業の趣旨は国際的に価値のある地質遺産を保護し、そうした地質遺産がもたらした自然環境や地域の文化への理解を深め、科学研究や教育、地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することであり、ユネスコの国際地質科学ジオパーク計画（IGGP）の一事業として実施されている^[3]。

「ユネスコ世界ジオパーク」の前身である「世界ジオパーク」は、ユネスコの支援のもとに2004年に設立された「世界ジオパークネットワーク」（フランスのNGO）が審査・認定に関する業務を実施していたが、各国での世界ジオパークへの関心の高まりを受け、本事業をユネスコの正式事業化とすることが提案され、2015年の第38回ユネスコ総会において「ユネスコ世界ジオパーク」として、正式事業化が決定された^[3]。2015年以降の申請と指定のプロセスは、ユネスコ世界ジオパークの法令と運用ガイドラインによって定義されている^[4]。日本ジオパーク委員会はユネスコ世界ジオパーク事業のナショナル・コミッティ（登録審査業務に関する権限を持つ機関）として、日本ユネスコ国内委員会より正式に認証されている^[5]。

ユネスコ世界ジオパークの一覧

2025年4月の時点で、50か国の229カ所がユネスコ世界ジオパークとして認定されており^[6]、南極とオーストラレーシア以外の5つの大陸にユネスコ世界ジオパークがある。中国は49カ所で世界ジオパークの数が最も多い国であり^[7]^[8]、国をまたぐジオパークも4カ所がある^[9]。なお、イエローカード/レッドカード制により登録抹消されたこともある^[10]。

国	ジオパーク名	登録年
オーストリア	シュタイアーマルク・アイゼンヴルツェン	2004（2015）
中華人民共和国	黄山	2004（2015）
中華人民共和国	五大連池	2004（2015）
中華人民共和国	廬山	2004（2015）
中華人民共和国	雲台山	2004（2015）
中華人民共和国	嵩山	2004（2015）
中華人民共和国	張家界	2004（2015）
中華人民共和国	丹霞山	2004（2015）
中華人民共和国	石林	2004（2015）
フランス	オート・プロヴァンス	2004（2015）
フランス	リュベロン	2004（2015）
ドイツ	テラヴィータ	2004（2015）
ドイツ	ベルクシュトラーセ・オーデンヴァルト	2004（2015）
ドイツ	アイフェル火山	2004（2015）
ギリシャ	レスボス島	2004（2015）
ギリシャ	プシロリティス	2004（2015）
アイルランド	マーブル・アーチ洞窟	2004（2015）
イギリス	マーブル・アーチ洞窟	2004（2015）
アイルランド	銅の海岸	2004（2015）
イタリア	マドニーエ	2004（2015）
イギリス	北部ペナイン	2004（2015）
中華人民共和国	ヘシグテン	2005（2015）
中華人民共和国	雁蕩山	2005（2015）
中華人民共和国	泰寧	2005（2015）
中華人民共和国	興文	2005（2015）
チェコ	ボヘミアン・パラダイス	2005（2015）
ドイツ	ハルツ・ブラウンシュヴァイガーラント・オストファーレン	2005（2015）
ドイツ	シュヴァーベンアルプス山脈	2005（2015）
イタリア	ベイグア	2005（2015）
ルーマニア	ハツェグ	2005（2015）
イギリス	北部・西部ハイランド	2005（2015）
イギリス	フォレスト・ファウル	2005（2015）
ブラジル	アラリペ	2006（2015）
中華人民共和国	泰山	2006（2015）^{[注 1]}
中華人民共和国	王屋山・黛眉山	2006（2015）
中華人民共和国	伏牛山	2006（2015）^{[注 1]}
中華人民共和国	雷瓊	2006（2015）^{[注 2]}
中華人民共和国	房山	2006（2015）
中華人民共和国	鏡泊湖	2006（2015）
ノルウェー	ギア・ノルベジカ	2006（2015）
ポルトガル	ナチュルテジョ・ダ・メセタ・メリディオナル	2006（2015）
スペイン	ソブラルベ・ピリネオス	2006（2015）
スペイン	スッベティカ山脈	2006（2015）
スペイン	ガタ岬・ニハル	2006（2015）
クロアチア	パプク	2007（2015）
マレーシア	ランカウィ	2007（2015）
イギリス	イギリス・リビエラ	2007（2015）
中華人民共和国	龍虎山	2007（2015）
中華人民共和国	自貢	2007（2015）^{[注 2]}
イタリア	アダメロ・ブレンタ	2007（2015）
イタリア	ケレースの岩	2007（2015）^{[注 3]}
中華人民共和国	アルシャー砂漠	2009（2015）
中華人民共和国	秦嶺終南山	2009（2015）
ギリシャ	ケルモス・ブライコス	2009（2015）
日本	洞爺・有珠	2009（2015）
日本	雲仙火山	2009（2015）
日本	糸魚川	2009（2015）
ポルトガル	アロウカ	2009（2015）
イギリス	ゲオモーン	2009（2015）
イギリス	シェトランド	2009（2015）
カナダ	ストーンハンマー	2010（2015）
中華人民共和国	楽業・鳳山	2010（2015）
中華人民共和国	寧徳	2010（2015）
フィンランド	ロクア	2010（2015）
ギリシャ	ビコス・アオース	2010（2015）
ハンガリー	ノヴォフラド・ノーグラード	2010（2015）
スロバキア	ノヴォフラド・ノーグラード	2010（2015）
イタリア	チレント、ヴァッロ・ディ・ディアーノとアルブルニ	2010（2015）
イタリア	トスカーナ鉱山	2010（2015）
日本	山陰海岸	2010（2015）
大韓民国	済州島	2010（2015）
ノルウェー	マグマ	2010（2015）
スペイン	バスク海岸	2010（2015）
ベトナム	ドンバン・カルスト台地	2010（2015）
中華人民共和国	天柱山	2011（2015）
中華人民共和国	香港	2011（2015）
フランス	ボージュ山脈	2011（2015）
ドイツ	ムスカウアー・ファルテンボーゲン/ウク・ムジャコバ	2011（2015）
ポーランド	ムスカウアー・ファルテンボーゲン/ウク・ムジャコバ	2011（2015）
アイスランド	カトラ	2011（2015）
アイルランド	バレンとモハーの断崖	2011（2015）
イタリア	アルピ・アプアネ	2011（2015）
日本	室戸	2011（2015）
スペイン	ノルテ・デ・セビリア山地	2011（2015）
スペイン	ビリュエルカス・イボレス・ハラ	2011（2015）
中華人民共和国	三清山	2012（2015）^{[注 1]}
フランス	シャブレー	2012（2015）
ハンガリー	バコニ・バラトン	2012（2015）
インドネシア	バトゥール	2012（2015）
スペイン	中央カタルーニャ	2012（2015）
中華人民共和国	神農架	2013（2015）
中華人民共和国	延慶	2013（2015）
イタリア	セージア・ヴァル・グランデ	2013（2015）
日本	隠岐	2013（2015）
オランダ	デ・ホンツルフ	2013（2015）
ポルトガル	アソーレス	2013（2015）
スロベニア	イドリヤ	2013（2015）
オーストリア	カラヴァンケン山脈/カラヴァンケ山脈	2013（2015）
スロベニア	カラヴァンケン山脈/カラヴァンケ山脈	2013（2015）
トルコ	クラ・サリフリ	2013（2015）^{[注 4]}
ウルグアイ	グルタス・デル・パラシオ	2013（2015）
オーストリア	アルプス鉱石	2014（2015）
カナダ	タンブラー山脈	2014（2015）
中華人民共和国	崑崙山	2014（2015）
中華人民共和国	大理蒼山	2014（2015）
デンマーク	オズシェッレズ	2014（2015）
フランス	モン・ダルデシュ	2014（2015）
日本	阿蘇	2014（2015）
モロッコ	ムグーン山	2014（2015）
ポルトガル	騎士の地	2014（2015）
スペイン	エル・イエロ	2014（2015）
スペイン	モリナとアルト・タホ	2014（2015）
中華人民共和国	敦煌	2015（2015）
中華人民共和国	織金洞	2015（2015）
キプロス	トロードス	2015（2015）
ギリシャ	シテイア	2015（2015）
アイスランド	レイキャネス	2015（2015）
インドネシア	セウ山脈	2015（2015）
イタリア	ポリーノ	2015（2015）
日本	アポイ岳	2015（2015）
スペイン	ランサローテとチニホ群島	2015（2015）
中華人民共和国	アルシャン	2017
中華人民共和国	コクトカイ	2017
フランス	コス・デュ・ケルシー	2017
イラン	ゲシュム島	2017
メキシコ	イダルゴ州コマルカ・ミネラ	2017
メキシコ	オアハカ州ミフテカ・アルタ	2017
大韓民国	青松	2017
スペイン	ラス・ロラス	2017
ベルギー	ファムンヌ＝アルデンヌ	2018
カナダ	ペルセ	2018
中華人民共和国	光霧山・諾水河	2018
中華人民共和国	黄岡大別山	2018
フランス	ボジョレー	2018
インドネシア	チレトゥフ・パラブハンラトゥ	2018
インドネシア	リンジャニ・ロンボク	2018
日本	伊豆半島	2018
大韓民国	無等山	2018
スペイン	起源	2018^{[注 5]}
タンザニア	ンゴロンゴロ・レンガイ	2018
タイ	サトゥーン	2018
ベトナム	ノンヌオク・カオバン	2018
チリ	キュトラルクラ	2019
中華人民共和国	九華山	2019
中華人民共和国	沂蒙山	2019
クロアチア	ヴィス諸島	2019
エクアドル	インバブーラ	2019
ノルウェー	トロルフィエール	2019
ペルー	コルカとアンダグア火山群	2019
スペイン	コウレル山脈	2019
カナダ	ファンディ・クリフ	2020
カナダ	ディスカバリー	2020
中華人民共和国	湘西	2020
中華人民共和国	張掖	2020
フィンランド	ラウハンブオリ・ヘメーンカンガス	2020
インドネシア	トバカルデラ	2020
ニカラグア	ココ川	2020
ポルトガル	エストレーラ	2020
大韓民国	漢灘江	2020
ロシア	ヤンガン・タウ	2020
セルビア	ジェルダプ	2020
スペイン	グラナダ	2020
スペイン	マエストラズゴ	2020
イギリス	ブラック・カントリー	2020
ベトナム	ダクノン	2020
デンマーク	西ユトランド	2021
フィンランド	サイマー	2021
ドイツ	テューリンゲン・インゼルス山＝ドライ・グライヒェン	2021
ギリシャ	グレベナ・コザニ	2021
インドネシア	ブリトゥン	2021
イタリア	アスプロモンテ	2021
イタリア	マイェッラ	2021
ポーランド	シフィエントクシスキェ山地	2021
ブラジル	セリドー	2022
ブラジル	南部渓谷回廊	2022
フィンランド	サルパウセルカ	2022
ドイツ	リース	2022
ギリシャ	ケファロニア・イタキ	2022
ルクセンブルク	ミュレルタル	2022
ルーマニア	ブザウ地方	2022
スウェーデン	テーブルマウンテン	2022
ブラジル	カサパーヴァ	2023
ブラジル	クアルタ・コロニア	2023
ギリシャ	ラヴレオティキ	2023
インドネシア	イジェン	2023
インドネシア	マロス・パンクップ	2023
インドネシア	ムランギン・ジャンビ	2023
インドネシア	ラジャ・アンパット	2023
イラン	アラス	2023
イラン	タバス	2023
日本	白山・手取川	2023
マレーシア	キナバル	2023
ニュージーランド	ワイタキ・ホワイトストーン	2023
ノルウェー	スンホルドラン	2023
フィリピン	ボホール島	2023
大韓民国	全北西海岸	2023
スペイン	オルテガル岬	2023
タイ	コーラート	2023
イギリス	モーン・ガリオン・ストロングフォード	2023
アイルランド	モーン・ガリオン・ストロングフォード	2023
ベルギー	スヘルデ三角州	2024
オランダ	スヘルデ三角州	2024
ブラジル	ウベラーバ	2024
中華人民共和国	恩施大峡谷・騰龍洞	2024
中華人民共和国	臨夏	2024
中華人民共和国	龍岩	2024
中華人民共和国	長白山	2024
中華人民共和国	武功山	2024
中華人民共和国	興義	2024
クロアチア	ビオコヴォ・イモツキ湖群	2024
デンマーク	南フュン諸島	2024
フィンランド	衝突クレーター湖・ラッパヤルヴィ	2024
フランス	アルモリック	2024
フランス	ノルマンディー・メーヌ	2024
ギリシャ	メテオラ・ピリ	2024
ハンガリー	ビュック地域	2024
ポーランド	死火山の国	2024
ポルトガル	オエステ	2024
スペイン	カラトラバ火山群・シウダーレアル	2024
中華人民共和国	カンブラ	2025
中華人民共和国	雲陽	2025
朝鮮民主主義人民共和国	白頭山	2025
エクアドル	ナポ・スマコ	2025
エクアドル	トゥングラワ火山	2025
インドネシア	ケブメン	2025
インドネシア	メラトゥス	2025
イタリア	ムルジェ	2025
ノルウェー	フィヨルド海岸	2025
大韓民国	丹陽	2025
大韓民国	慶北東海岸	2025
サウジアラビア	北リヤド	2025
サウジアラビア	サルマ	2025
スペイン	ケブラダ海岸	2025
イギリス	アラン	2025
ベトナム	ランソン	2025

脚注

[脚注の使い方]

注釈

^ ^a ^b ^c 2019年に拡大登録。
^ ^a ^b 2017年に登録範囲拡大。
^ 新しい申請による。一回目の登録は2004年。
^ 旧名は「クラ火山」。2020年に拡張登録・改名。
^ 旧称「コンカ・デ・トレンプ・モンセック」。

出典

^ “UNESCO Press release: UNESCO gives Global Geoparks a new label”. UNESCO (UNESCO). (2015年11月17日) 2020年1月7日閲覧。
^ “Global Geoparks become UNESCO Sites” (2015年11月18日). 2021年3月1日閲覧。
^ ^a ^b “ユネスコ世界ジオパーク：文部科学省”. 文部科学省ホームページ. 2021年3月1日閲覧。
^ “Statutes and Operational Guidelines of the UNESCO Global Geoparks”. UNESCO Global Geoparks. 2020年1月7日閲覧。
^ “日本ジオパーク委員会”. jgc.geopark.jp. 2021年3月1日閲覧。
^ “UNESCO names 16 new Global Geoparks”. UNESCO (2025年4月17日). 2025年4月19日閲覧。
^ “UNESCO names 18 new Geoparks”. UNESCO (2024年3月27日). 2024年3月30日閲覧。
^ “Distribution of GGN Members_Global Network of National Geoparks”. www.globalgeopark.org. 2021年3月8日閲覧。
^ “List of UNESCO Global Geoparks and Regional Networks”. UNESCO. 2023年5月24日閲覧。
^ “Revalidation Process of UNESCO Global Geoparks”. UNESCO. 2020年1月7日閲覧。

外部リンク

List of UNESCO Global Geoparks (UGGp)

[:0-11] 2019年に拡大登録。

[:1-12] 2017年に登録範囲拡大。

[13] 新しい申請による。一回目の登録は2004年。

[14] 旧名は「クラ火山」。2020年に拡張登録・改名。

[15] 旧称「コンカ・デ・トレンプ・モンセック」。

[2015_Press_release-1] “UNESCO Press release: UNESCO gives Global Geoparks a new label”. UNESCO (UNESCO). (2015年11月17日) 2020年1月7日閲覧。

[2] “Global Geoparks become UNESCO Sites” (2015年11月18日). 2021年3月1日閲覧。

[:0-3] “ユネスコ世界ジオパーク：文部科学省”. 文部科学省ホームページ. 2021年3月1日閲覧。

[Statutes_and_Operational_Guidelines_of_the_UNESCO_Global_Geoparks-4] “Statutes and Operational Guidelines of the UNESCO Global Geoparks”. UNESCO Global Geoparks. 2020年1月7日閲覧。

[5] “日本ジオパーク委員会”. jgc.geopark.jp. 2021年3月1日閲覧。

[6] “UNESCO names 16 new Global Geoparks”. UNESCO (2025年4月17日). 2025年4月19日閲覧。

[:3-7] “UNESCO names 18 new Geoparks”. UNESCO (2024年3月27日). 2024年3月30日閲覧。

[:1-8] “Distribution of GGN Members_Global Network of National Geoparks”. www.globalgeopark.org. 2021年3月8日閲覧。

[:2-9] “List of UNESCO Global Geoparks and Regional Networks”. UNESCO. 2023年5月24日閲覧。

[10] “Revalidation Process of UNESCO Global Geoparks”. UNESCO. 2020年1月7日閲覧。

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[5]

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[注 1]

[注 2]

[注 3]

[注 4]

[注 5]


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