世界の白ワイン用ブドウ品種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:49 UTC 版)
「白ワイン」の記事における「世界の白ワイン用ブドウ品種」の解説
白ワインを開発するために、数多くの種類のブドウ品種が使用されている。そのうちいくつかは、マーケティング上の努力もあって、高い評価を得ている。特に、以下の3種は「3大白ワイン用ブドウ品種」 と呼ばれることがある。 シャルドネ :ブルゴーニュ原産の品種であり、当地では長きにわたって村名AOCやプルミエクリュ(1級畑)、グランクリュ(特急畑)等の名前で売られてきた。それとともに、新たな生産地にも拡がっており、ワインはブドウ品種名を付けて売られている。スパークリングワイン、スティルワインのどちらにも使われる。典型的には、他の白ワインと比較して、よりボディーがふくよかで豊かな柑橘類の風味がある。このワインとは、魚料理や家禽料理と合わせることが一般的である。それは、フランスから米国、オーストラリア、南アフリカ、日本に至るまで、非常に幅広い気候と地質をもった地域で高品質のワインが作れるため、世界中に分布が拡がっている。 ソーヴィニヨン・ブラン : フランス中央部からボルドーにかけてのブドウ園が発祥の地であり、南西部からロワール渓谷に広がっている。アングロサクソンの消費者に注目されたことで、この品種は米国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカでも栽培されるようになった。野菜やミネラルのアロマが特徴であり、やや平坦でフルーティーさには欠けている傾向にある。顕著な香りとしては、青リンゴ、ナシ、グースベリーなどの酸味のある青い果実から、メロン、マンゴー、ブラックカラントなどのトロピカルフルーツに至るまで様々である。一般的に、シーフード、家禽料理、サラダとペアリングされる。 リースリング : ドイツ、アルザス、スイスにまたがる地域発祥の品種である。収量を抑え、大陸性気候のもとで栽培すると、様々な土壌で高い品質のワインを作ることができる。この品種は他の白ワインと比較してはるかに軽く、典型的には青リンゴのアロマを有する。一般的にリースリングと相性が良いとされる料理は、魚、鶏肉、豚肉である。 シャルドネのブドウ ドイツのリースリングの成熟したブドウ ソーヴィニヨン・ブラン その他、代表的な品種には以下のようなものがある。 マスカット : 独特の香りを持つ品種群 (作家のピエール・ガレ によると150以上)である。典型的にはイタリアやオーストリアで栽培され、甘くてフルーティーな味わいである。食事と合わせず、ワインだけで飲むのが最高であるとされる。 シュナン・ブラン : フランスのロワール渓谷のブドウで、南アフリカでも栽培されている。土壌に応じて、非常にフルーティーなワインから時にはミネラル感の強いもの、辛口ワインから甘口ワインまで様々なワインを生む。長期熟成に向く品種であり、貴腐ワインにも出来る。 セミヨン : ボルドーのブドウ園発祥のブドウで、貴腐化しやすい性質があるため、ボルドーとベルジュラックの甘口ワインにおいては主要品種として使われる。イチジクのような香りの特徴を持ち、強いベリーのような風味を醸すためにソーヴィニヨン・ブランと組み合わせることも多い。 トレッビアーノ・ビアンコあるいはユニ・ブラン : イタリアのブドウ品種であり、中性的なワインになる。フランスでは通常、蒸留してコニャックやアルマニャックを生産するのに、この品種からなるワインが用いられる。 ヴィオニエ : フランスのローヌ渓谷のブドウで、2000年代からカリフォルニアに植えられている。非常にフルーティで複雑なワインを産む。 ミュスカデ:ムロン・ド・ブルゴーニュとも呼ばれ、ブルゴーニュ原産であるが、現在では専らロワール川下流域のナンテ地方で栽培される。澱と共に熟成させるシュル・リー製法が採用されることが多く、軽快な白ワインになる。 アリゴテ(英語版):ブルゴーニュで栽培されるが、ブーズロン村以外ではAOCに指定されていない。酸味が極めて強い品種であり、カクテルのキールに使われることも多い。 シルヴァーナー:ドイツで広く栽培される他、フランスのアルザス地方でもシルヴァネールの名前で栽培されている。スモーキーな香りがあるといわれる。 アルバリーニョ:スペインやポルトガルの西側の沿岸地域で栽培されている。柑橘類やヨードの香りを持つ、軽やかでドライなワインを生む。 シュナン・ブラン トレッビアーノ・ビアンコあるいはユニ・ブランB ミュスカデ種のワイン また、白ワイン用品種の中には、皮が薄く色づいているものもある。 ゲヴュルツトラミネール : このブドウはピンク色の皮を有すが、醸造されるワインは白である。典型的にはピンクの花とライチを想起させるアロマを持つ非常に芳香の強いブドウである。アルプスの至る所で栽培されている。フランスの品種トラミネールが香り豊かに変異した品種である(ドイツ語でgewürztは "スパイス"を意味する)。 ピノ・グリ あるいはピノ・グリージョ: イタリアのヴェネツィア地方に広範囲に植えられている。ブドウの色は、黄銅色からライトピンクまでのばらつきがある。イタリアでは、典型的に爽やかでフルーティーな風味を有し、多彩な食事とペアリングが可能である。対して、フランスのアルザス産のものはフルボディで複雑性を持つワインが多い。 ピノ・ノワール : 一般的には赤ワインの醸造に使われる黒ブドウであるが、シャンパンやイタリアのフランチャコルタ、スペインのカバのようなスパークリングワインでは白ワイン用に使われることがある。シャンパーニュではピノ・ノワールの変異種であるピノ・ムニエ(英語版)も使われる。 白ワイン生産用の品種であるゲヴュルツトラミネール。皮は薄いピンク色に色づいている 白やロゼのシャンパンに広くvinum francium使われている黒ブドウ品種のピノ・ムニエ 黒ブドウ品種のピノ・ノワール。シャンパンなどでは白ワイン用としても使われる。
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