上郷文庫とは? わかりやすく解説

上郷文庫(1923-1936)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/13 00:42 UTC 版)

飯田市立上郷図書館」の記事における「上郷文庫(1923-1936)」の解説

1923年大正12年10月10日上郷青年会運営する私立図書館として、上郷文庫が上郷小学校西館の1教室借用して開館した文庫になった教室30畳の北向きで、床板軋み270冊の蔵書1つ書棚にすべて収まってしまうものだったが、青年らは自らの文庫誇りとした。開館農閑期10 - 4月)は毎月1日11日21日農繁期5 - 9月)は毎月1日16日で、貸出冊数は3冊、貸出期間は次の貸出日までであった。なお貸し出し村民であれば誰でも可能であったが、1回3銭と有料で、延滞する倍額になった。この貸出料は本の修繕利用された。閉架式採用しており、文庫廊下書名記した木札ずらりと並べ貸出希望者は木札窓口差し出して本を借りた。この木札群は蔵書目録役割果たし来館者は蔵書一目確認できた。図書館職員青年会新設され図書部の部員12人が担当した図書部員無報酬貸出新刊書購入受け入れ木札作成統計処理、目録作成などの図書館業務こなしたので、青年会部会の中で最も大変な役回りであった。 翌1924年大正13年)には上郷教師による2日間に及ぶ経済学講義雑誌解放』の記者による「マルクス経済学大要」と題した3日間の講習会開催した同年度の予算216円、1927年昭和2年)度は224であった1927年昭和2年)度の購入図書青年運動反映し共産主義革命社会運動に関するものが主で、普通選挙プロレタリア文学に関する本も多かったこのように高度な本が中心の上郷文庫に対し、各集落文庫気軽に読める本を所蔵する図書館として維持された。同年度の貸出冊数は1,174冊、利用者数は1,058人であったこの頃青年会幹部らは自由青年連盟Liberal Younger's League、LYL)に加入しカール・マルクスの『資本論』を学習する会を開催農村疲弊小作農団結などを訴えていた。一方、上郷文庫に補助金拠出していた上郷村当局青年会左傾化危惧し1924年大正13年)には青年会計画した文庫補助金半分に削る決定をした。さらに同年3月17日には下伊那郡のLYLとその関係者およそ200人を一斉に取り調べる「LYL事件」が発生7月17日にはLYLの機関誌第一線第1号発禁)を販売したとして、青年会幹部4人が罰金刑処された。追い打ちをかけるように、当局方向転換をしなければ翌年補助金出さない通告し青年会保守派会長選出し右寄り団体転換した購入図書日本主義国家主義著者の本や農業書が増加するなどの変化見られた。その裏ではひそかに社会運動社会主義学習続け青年会員がおり、右翼にも左翼にも関わらない一派存在するなど、上郷青年会さまざまな思想を持つ者が寄り集まる組織となった1927年昭和2年7月18日、上郷文庫は信用組合謄写版室へと移転した移転先は8畳に縮小し青年会運営では購入できる図書の数も限られることから、前・図書部長青年会副会長就任した木下英人中心に御大典記念事業として村立図書館建設する5か年計画立案した表向き図書館建設であったが、裏では建設費を出させて図書館経営実務青年会掌握し自前活動拠点を得ることを画策しのである青年会としても年200円の積立金着実に積み増し1932年昭和7年)には目標の1,000円に達した。そこで青年会1934年昭和9年2月13日に「会館設立実行委員会」を設置して図書館建設検討入り1935年昭和10年1月12日新年総会の席で図書館設立趣意書年内建設完了期する決議文採択趣意書計画書を添えた建議書を当局提出した建議書では当初村立移行計画をやめて青年会運営によることが記されており、思想統制が進む中で自由な図書館活動維持する方針転換したその後村立か青年会立で右往左往することになるが、結局青年会立で決着し設計指名競争入札進んだものの地鎮祭が行われたのは10月29日で、年内完工不可となっていた。施工地元上郷村大工請け負ったが、青年会員も勤労奉仕した。

※この「上郷文庫(1923-1936)」の解説は、「飯田市立上郷図書館」の解説の一部です。
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