上部遊歩甲板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 04:51 UTC 版)
端艇甲板の下が車両甲板車両格納所の天井にあたる上部遊歩甲板で、船首部は揚錨機やキャプスタンを備えた露天の係船作業場になっており、揚錨機の後方には1層下の甲板部員居室区画と交通する階段室のコンパニオンが設置されていた。この船首部以外は全て甲板室になっており、その最前部は1等区画で、1等船室が8室あり、それらは上段寝台折りたたみ式の2段寝台を備え、1等の定員は39名であった。1等区画右舷後部には1等喫煙室が、同左舷後部には配膳室があり、これらの後方に隣接して、その幅が両舷の遊歩廊間にわたり、さらにその両側は遊歩廊に出窓状に張り出し、天井高さも全面3.35mと高く、その中央部には、さらに屋根状に突出したステンドグラス入りの天窓を持つ豪華な1、2等食堂が配置された。 その後方中央部は煙突直下、煙路の通るボイラー室囲壁があり、この左舷に2等喫煙室、右舷に前後をつなぐ廊下と、その右舷側には事務長室と客室係員詰所が配置され、これらの後方には両舷をつなぐ廊下が設けられた。これを隔てた後方中央部には機械室囲壁があり、その左舷と後ろ側には開放2段寝台で定員28名の2等寝台室が、右舷には上記の前後をつなぐ廊下の続きと、その右舷側には、2等トイレ・洗面所が設けられた。これらの後ろ側には、両舷遊歩廊をつなぐ屋根付き室外通路があり、これを隔てた後方には定員170名の畳敷きの2等雑居室が配置された。上部遊歩甲板の名称通り、甲板室全周は側面が開放の遊歩廊で、また配膳室、1等喫煙室、2等喫煙室、前後をつなぐ廊下、2等寝台室、2等雑居室には、食堂ほど立派ではないが、天窓を設け自然光採光が図られていた。
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上部遊歩甲板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 17:44 UTC 版)
車両甲板天井に相当するのが上部遊歩甲板で、最前部は露天の船首係船作業場となっており、その中央には揚錨機が設置されていた。当時の青函連絡船は、入港時には必ず右舷錨を投錨して、岸壁直前でのブレーキと右旋回の支点とし、出航時は、これを揚錨することで船首の右回頭力を得て、船首を右方向へ牽引する補助汽船の負担を減らしていた。その揚錨機を駆動するのが80kW巻線型交流誘導電動機で、揚錨機の回転軸とは直角の前後方向に回転軸を向け、揚錨機後ろ側の船体中心線上に設置されていた。揚錨機には錨鎖を巻き揚げる軸とは別に、これと平行な回転軸があり、この左右両端に糸巻き型のワ―ピングドラムが付き、着岸時には、岸壁とつないだ係船索を、途中甲板縁の滑車であるフェアリーダーで方向を変え、ここに巻き付け、適宜スリップさせつつ巻き込みながら、船体を岸壁に寄せていた。また、揚錨機から船体中心線上を船首方向へ伸びるシャフトが設置され、その先端には、回転軸が垂直の糸巻き型のキャプスタンも設置されていた。これらの後方には、下の船員室へ通じる階段室、倉庫、電動送風機室(サーモタンク室)が一体となった小さな甲板室があった。 上部遊歩甲板は、これら船首係船作業場以外の部分は主たる甲板室で占められ、甲板室にはその全周にわたる遊歩廊が設けられ、そのうち前方と両側面の船首側約8m以外は側面は開放されていた。前方の遊歩廊外壁には1層上の端艇甲板同様ガラス窓が設けられ、その外壁面は端艇甲板遊歩廊前面外壁と同一面で連なっていた。遊歩廊内側の甲板室最前部両側の角部屋2室は1段寝台2人部屋の1等特別室で、特に左舷側はトイレ・浴室を付属する豪華な部屋で、特1号室と通称された。しかし、これら特別室の外側には窓付き遊歩廊があるため、室内からの外部展望は必ずしも良好ではなかった。その後ろ、2本の廊下が平行に後方へ延び、その外側に5室ずつ計10室の2段寝台4人部屋の1等船室が並び、2本の廊下にはさまれた内側には、1等旅客共用のトイレ・洗面所、浴室、船舶給仕控室があった。 2本の廊下が終わると、そこは両舷にわたる広々とした1等出入口広間で、ソファーが置かれていた。その左舷船尾側壁面には木彫りレリーフの装飾が施されていた。この装飾のある壁面の後ろ側には甲板室幅の左舷側半分以上を占める1・2等食堂があり、食堂の右舷側を通る前後方向の通路兼用の1・2等喫煙室との仕切りにはガラス格子が用いられた。ただ、後述の煙路と3等船室からの脱出用階段がこの食堂と喫煙室の外壁面に設けられたため、舷側窓を十分に設置できなかった。喫煙室後方の通路右舷側には事務長室と主席事務掛室が配置され、通路はさらに船尾方向へ続いていたが、ここから後方は2等区画となった。通路左舷側の食堂の後方には配膳室が隣接し、その後方は定員30名の開放2段寝台の2等寝台室で、通路をはさんだ右舷側にはトイレ・洗面所、案内所が置かれ、その後方には両舷にわたる2等出入口広間が続いた。その後方は左舷に婦人用、右舷に男子用トイレ・洗面所があり、その間の通路を通り抜けると、定員194名のじゅうたん敷きの2等雑居室に達した。翔鳳丸型では乗下船時の雑踏を喫煙室や通路で対応していたが、本船ならびに同型船では、1等と2等それぞれに出入口広間が設置された。なお、上部遊歩甲板は1等船室区画以外は最上階のため、前方の1等出入口広間から食堂、喫煙室、通路、2等出入口広間、2等雑居室に至るまで、随所に天窓を設けて自然光採光が図られた。
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