洞爺丸事件後の対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/09 00:43 UTC 版)
「羊蹄丸 (初代)」の記事における「洞爺丸事件後の対策」の解説
非常時に救命艇を迅速かつ容易に降下できる重力型ボートダビットへ交換するとともに、救命艇も木製から軽金属製に交換した。また下部遊歩甲板舷側の大型角窓を水密丸窓へ交換してこの部分を予備浮力とし、車両甲板下第二甲板の3等雑居室から上部遊歩甲板への脱出経路を直線化したほか、車両甲板上の石炭積込口を含む開口部の敷居の高さを61cm以上に嵩上げのうえ、鋼製の防水蓋や防水扉を設置し、さらに車両甲板下区画への換気口を閉鎖して電動換気とし、車両甲板上に大量の海水が侵入しても、車両甲板下の機械室やボイラー室へ流れ込まないようにした。また主発電機故障時の推進補機、主要航海通信機器、非常灯の電源確保のため、蒸気タービン駆動200kVAの補助発電機1台を機械室に設置した。この電源は主発電機とは並列運転できず、通常は出入港時のみ無負荷運転して非常事態に備えた。 洞爺丸型4隻では操舵機に交流電源駆動の電動油圧式が採用されたが、交流電源故障時には動力操舵不能となるため、蓄電池を電源とする非常用直流電動機を追加設置し、交流電源故障時にはこれで操舵機の油圧ポンプを駆動して動力操舵を継続できるようにした。また車両甲板下、ポンプ室(3等雑居室直下)・ボイラー室・機械室・車軸室の間の水密隔壁を交通する3ヵ所の水密辷戸は新造時は全て交流電動機直接駆動方式であったが、1955年(昭和30年)5月11日の宇高連絡船の紫雲丸事件後の同船の対応にならい、うち1ヵ所を直流電動機直接駆動方式に改造した。なお、これらの改良工事は沈没を免れた洞爺丸型3隻全てで行われたが、洞爺丸喪失後、国鉄では、羊蹄丸(初代)、摩周丸(初代)、大雪丸(初代)の3隻をもって「羊蹄丸型」と呼称していた。
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