第二甲板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 17:44 UTC 版)
車両甲板下の船体は船体線図流用元のH型船同様、8枚の水密隔壁で、船首側から、船首タンク、錨鎖庫、第1船艙、第2船艙、第3船艙、ボイラー室、機械室、車軸室、船尾タンク9区画に分けられていた。このうち第1船艙の第二甲板は船客掛と調理員の居住区に充てられ、第2船艙の第二甲板と、第3船艙の第二甲板にはそれぞれ畳敷きの3等雑居室を設け、前部3等雑居室、中部3等雑居室と呼称された。機関室(ボイラー室、機械室)後方の車軸室第二甲板にも同様に3等雑居室を設け、後部3等雑居室と呼称された。なおW型船・H型船同様、第3船艙両舷にはヒーリングタンクが置かれたが、船内軌道2線のため片舷160.7トンと小容量となり、タンク頂部を第二甲板の高さに収め、中部3等雑居室を両舷側まで拡げることができた。しかし、この床下の船艙部分には70kWかご型交流誘導電動機駆動渦巻ポンプ使用のヒーリング装置が設置され、ポンプ室とされたが、後ろ隣のボイラー室との間の隔壁に沿って、その一部が車両甲板下まで吹き抜け構造となり、その囲壁のため、中部3等雑居室は船尾側の壁が四角く突出したコの字型平面となった。3等船室が下部遊歩甲板にも新設されたとはいえ、主力は依然車両甲板下のこの三つの雑居室であった。 中部3等雑居室の下のポンプ室から、後ろ隣のボイラー室、その後ろの機械室、さらにその後ろの車軸室、これら4区画の間の3枚の水密隔壁には、第二甲板の1層下の船艙レベルの高さで通り抜けできるよう、水密辷戸(すべりど)が設置された。これらの水密辷戸は通常は開放されており、船体損傷等で浸水した場合、浸水が他区画へ拡大しないよう閉鎖された。これらの開閉には車両甲板左舷の水密辷戸動力室に設置された3馬力交流電動機による、交流電動機直接駆動方式が用いられた。その動力伝達方法は、電動機の回転出力がまずウォームギアで減速され、電動機駆動時のみ接続状態となるマグネットクラッチ、駆動軸回転方向変更時はしばらく空転して起動時の過負荷を防止する過負荷防止継手を経て、回転ロッドで動力室外へ出た後、 自在継手や傘歯車で方向を変えながら船内を進み、水密辷戸に達し、辷戸表面の上下に水平方向に取り付けられた2条のラックギアを駆動して辷戸を開閉するものであった。これら水密辷戸は、操舵室からの電動一括開閉、各動力室からの電動開閉と手動開閉、辷戸現場での電動開閉と手動開閉が可能であった。
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