三重奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:三重奏曲 ト長調 | Trio G-Dur WoO 37 | 作曲年: 1786年 出版年: 1888年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel |
ブラームス:三重奏曲 イ短調 | Trio für Klavier, Klarinette und Violoncello a-Moll Op.114 | 作曲年: 1891年 出版年: 1892年 |
ベートーヴェン:三重奏曲 変ホ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:三重奏曲 変ホ長調 | Trio für Klavier, Klarinette und Violoncello Es-Dur Op.38 | 作曲年: 1802-03年 出版年: 1805年 初版出版地/出版社: Bureau d'art et d'industrie |
作品解説
Op. 38 管楽八重奏曲 Op. 20の作曲家自身による編曲
ベートーヴェンのOp. 20は当時から評判で、多数の編曲版が書かれたことがその人気の高さを物語る。当作品は作曲家の自作編曲で、高音楽器にはヴァイオリンかクラリネットのどちらかを選べるようになっている。なお第3楽章のメヌエット部の冒頭主題はソナチネOp. 49, No. 2と同じである。
編成の縮小に伴う原曲声部の処理は概ね次の通り。ピアノ・パートは、原曲の大部分で主旋律を担うヴァイオリンを含め、主に原曲の弦楽器を担う。チェロは原曲のチェロ・パートではなく、中音域のヴィオラや低音管楽器の声部進行となることが多い。また編成の大きい八重奏稿では楽器やパート数が変わることで音色が多彩に変化していたが、三重奏稿では多くの箇所で、ピアノの伴奏音形の変化が原曲の音色の多様性を賄っている(例:第1楽章61小節~)。
形式に関する大きな変更は、スケルツオ楽章のトリオにおいて、原曲では反復記号による繰返しが編曲では楽器間で声部を交換して書き下ろされていることのみである。但し細部の変更は多く、以下の点が注目される。
M. シュウェイジャーがベートーヴェンの自作編曲の特徴とする、原曲以上の勢いの増大、動機の活用、後続要素の先取は、Op. 38にも見られる。例えば第1楽章第244小節からはチェロが新たに主題動機を奏し、主旋律と動機を呼応する。第2楽章第27小節のクラリネット/ヴァイオリンとチェロの刺繍音形は、推進力を増すと共に第28小節の主旋律の2度進行を先取している。
原曲のコンセプトに影響する変更も見られる。強弱法の変更のほか、例えば第1楽章では伴奏音形や和声リズムに手が加わり、音楽が、呈示部はより躍動的に、再現部では静的になっている所が目立つ(例:主要主題第26小節の低音変化が原曲より早いこと、副主題第73小節以降と第204小節以降の伴奏リズムの変化などに注目)。
このように、ベートーヴェンの他の自作編曲と同じく、原曲にない新たな工夫が凝らされ、編曲に当たって原曲の内容が再度練り直されたと思われる。
重奏
(三重奏曲 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 03:58 UTC 版)
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重奏(じゅうそう)は、複数のパートからなるアンサンブルの一種で、各パートは一人の演奏者で受け持つものを指す。独奏とはアンサンブルではなく演奏者が一人で楽曲を演奏することを指す。室内楽(しつないがく、英語: chamber music、ドイツ語: Kammermusik、イタリア語: musica da camera)[注釈 1] とはこれらの音楽、これらのための楽曲を指す[注釈 2]。
これに対して、合奏とは同一パートを2人以上の演奏者が受け持つアンサンブルを指す。また、伴奏を伴う場合には、伴奏も重奏の中に数え入れるのが一般的である。
独奏は、通常伴奏を伴うものも含まれるが、ピアノなどによる伴奏を伴う独奏を二重奏と呼ぶことも多い。重奏はまた重唱の対語でもあるが、伴奏に関して用語の用法が若干異なる。
重奏の形態
重奏の形態は様々なものが考えられるが、主なものは次の通りである。
現在ではほぼすべての弦楽器、管楽器などにピアノとの二重奏曲があるといってもよい。
- ピアノ四重奏
- (ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- 弦楽四重奏
- (第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- フルート四重奏
- (フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、または4本のフルートだけの形態がある)
- オーボエ四重奏
- (オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- サクソフォーン四重奏
- (ソプラノサクソフォーン、アルトサクソフォーン、テナーサクソフォーン、バリトンサクソフォーン)
- (アルトサクソフォーン2、テナーサクソフォーン、バリトンサクソフォーン)
- 金管四重奏
- トランペット四重奏
- ホルン四重奏
- トロンボーン四重奏
- (テナートロンボーン3、バストロンボーン)
- (テナートロンボーン4)
- ユーフォニアム(バリトン)・テューバ四重奏
- (ユーフォニアム(バリトン)2、テューバ2)
- 弦楽五重奏
- (第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、第1ヴィオラ、第2ヴィオラ、チェロ)
- (第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、第1チェロ、第2チェロ)
- 金管五重奏
- (トランペット2、ホルン、トロンボーン、テューバ)
- (トランペット2、トロンボーン3)
- (トランペット2、ホルン、トロンボーン2)
- (トランペット2、トロンボーン2、テューバ)
- (Bbコルネット2、Ebテナーホーン、ユーフォニアム、バス)
- 木管五重奏
- (フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)
- ピアノ五重奏
- (ピアノ、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- (ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
- オーボエ五重奏
- (オーボエ、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- クラリネット五重奏
- (クラリネット、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- (クラリネット5、うちバスクラリネット0〜1)
- 六重奏(セクステット、Sextet)
- 弦楽六重奏
- (ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ2)
- ピアノ六重奏
- (ピアノ、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
- (ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ2、チェロ、コントラバス)
- (ピアノ、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)
- 金管六重奏
- (トランペット2、ホルン、トロンボーン2、テューバ)
- (トランペット2、ホルン2、トロンボーン、テューバ)
- (トランペット2、ホルン、トロンボーン、ユーフォニアム、テューバ)
- (トランペット3、トロンボーン3)
- その他の六重奏曲
- 金管七重奏
- (トランペット3、トロンボーン3、テューバ)
- 弦楽八重奏、複弦楽四重奏
- (弦楽四重奏×2)
- 木管八重奏
- (オーボエ2、クラリネット2、ホルン2、ファゴット2)
- 金管八重奏
- (トランペット3、ホルン、トロンボーン2、ユーフォニアム、テューバ)
- (トランペット2、ホルン2、トロンボーン2、ユーフォニアム、テューバ)
- (トランペット2、トロンボーン2)×2
- (トランペット2、ホルン、トロンボーン)×2
- 九重奏(ノネット、Nonet)
- 九重奏
- (ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)
- 木管九重奏
- (オーボエ2、クラリネット2、ホルン2、ファゴット2、コントラバス)
- 金管九重奏
- (トランペット3、ホルン2、トロンボーン3、テューバ)
- 十重奏(デクテット、Dectet)
- 管楽十重奏(ダブルクインテット)
- (フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、トランペット2、ホルン2、トロンボーン、チューバ)
- 金管十重奏
- (トランペット4、ホルン、トロンボーン4、テューバ)……フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル編成
- (トランペット4、ホルン2、トロンボーン3、テューバ)……ジャーマン・ブラス編成
- (トランペット2、ホルン、トロンボーン、テューバ)×2 ……金管五重奏×2
- (Ebソプラノ・コルネット、Bbコルネット、フリューゲルホーン、Ebテナーホーン、Bbバリトンホーン、ユーフォニアム、トロンボーン、バス・トロンボーン、Ebバス、Bbバス)
- (Ebソプラノ・コルネット、Bbコルネット2、フリューゲルホーン、Ebテナーホーン、Bbバリトンホーン、ユーフォニアム、トロンボーン、バス・トロンボーン、バス)
脚注
注釈
- ^ このchamberは宮廷内の広間を意味する。日本では、チェィンバー・オーケストラ(chamber orchestra)は室内オーケストラと訳され、「Kammersänger」は宮廷歌手と訳されることが多い。
- ^ ピアノ以外の独奏は室内楽に含んで考えることがある。
関連項目
三重奏曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:55 UTC 版)
「アントニン・ドヴォルザーク」の記事における「三重奏曲」の解説
ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 作品21、B.51 作曲1875年、初演1877年プラハ ピアノ三重奏曲第2番 変ロ長調 作品26、B.56 作曲1876年、初演1879年トゥルノフ ピアノ三重奏曲第3番 ヘ短調 作品65、B.130 1883年2月から3月にかけて作曲され、同年秋に改訂されている。初演は1883年10月27日、ボヘミアの町ムラダー・ボレスラフにて、作曲者のピアノ、フェルディナント・ラハナーのヴァイオリン、アロイス・ネルーダのチェロで行われた。ハンスリックにウィーンへ来るよう誘われ、オペラ作曲家としての栄光とチェコへの愛国心の葛藤に悩まされた時期の作品で、比較的荒々しい表現が目立つ作品となっている。 ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 作品90、B.166 「ドゥムキー」 1890年11月から翌91年の2月にかけての作品で、1891年4月21日に作曲者のピアノ、ラハナーのヴァイオリン、ハヌシュ・ヴィハーンのチェロで初演された。「ドゥムキー」とはウクライナの民謡形式の一つ「ドゥムカ」の複数形だが、チェコ語で同じ「ドゥムカ」という言葉があり、「回想」あるいは「瞑想」を意味する。ドヴォルザークの作品が民謡としての「ドゥムカ」の形式を必ずしも踏襲していないことから、後者の意味で使っているという説もあるが、定かではない。この作品は6つの楽章からなるが、ソナタ形式の楽章が一つもなく、調性の統一も見られない上に、全曲を統一する主題や動機もないという、多楽章作品としては特異な形式の作品である。 弦楽三重奏曲 ハ長調 作品74、B.148 作曲年1887年、初演1887年プラハ、ヴァイオリン2・ヴィオラ1 ミニアチュア (Drobnosti) 作品75a, B. 149 作曲年1887年、初演1938年プラハ、ヴァイオリン2・ヴィオラ1 ガヴォット (Gavota) ト短調 B.164 作曲1890年、3本のヴァイオリンのための作品。
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