三重奏曲 第1番とは? わかりやすく解説

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アルカン, シャルル=ヴァランタン:三重奏曲 第1番

英語表記/番号出版情報
アルカン, シャルルヴァランタン:三重奏曲 第1番Premier Trio Op.30作曲年:  年  出版年1841年  献呈先: M.James Odier

作品解説

執筆者: PTNA編集部

室内楽史おいて19世紀ハイドンモーツァルト活躍した18世紀比べ実り少な時期とされている。もちろん、ブラームスメンデルスゾーンシューマンといったドイツオーストリア作曲家室内楽作品比較認知度高く今日でも演奏される機会は多いが、フランス室内楽歴史的にもあまり認知されていないばかりか演奏されることはごくまれである。フェティスルイーズ・ファランクショパン(もっともショパンポーランド人だが)のものがわずかに知られているが、とりわけ1810年代生まれの大ピアニストたちの室内楽作品なかには急進的なピアニズム結びつき独特な色合い帯びた魅力的な室内楽少なくないアルカンのこのトリオや《協奏第二重奏曲》(c.1841)、チェロ・ソナタ(1857)は、いずれも冒険心溢れ興味深い19世紀室内楽作品一部をなしている。早くから室内楽活動をともにした友人チェリスト、ジェーム・オディエに献呈

第1楽章 ト短調 十分にゆったりと/Assez largement
第2楽章 ト短調 とても速く/Tr &egraves vite
第3楽章 ト長調 ゆっくりと/Lentement
第4楽章 ト短調 速く/Vite

第1楽章から第4楽章までがト長調、またはト短調書かれており、前作大胆な手法書かれ室内楽曲、《協奏大二重奏曲》とは趣向異にしている。
第1楽章開始の3小節間で主題提示するが、この3小節間に現れ3つの動機何度も変形され組み合わされ重ね合わせていく。この「重ね合わせの手法はすでに何人かの作曲家とりわけベルリオーズによって用いられていたが、アルカンはこれを更に押し進め複雑に、かつ自然な形で動機による伽藍築いた再現部第1主題第2主題重ねて再現するという方法は、この時代作品の中では珍しく興味深い。「重ね合わせ手法1847年大作大ソナタ 作品33》において標題観念結びつき表現法更なる段階へと進むことになる。

第二楽章は「Tres vite 極めて急速に」という速度表示で、ピッツィァートによる軽快歯切れ良い主題の提示で始まる。やがてなだらかな主題流れ作り冒頭主題対置される。この2つ要素交代しながら最後ピアノ急速なアルペッジョによるカデンツで終わる。しかし、最後主和音決し強く短くはならず息の長い和音で終わる。これは次の緩徐楽章へのつなぎを考慮してのことであろう。《大ソナタ 作品33》にも見られるように、楽章同士連結アルカン注意深い

第3楽章ハイドン緩徐楽章思わせる一方でユダヤ宗教的な雰囲気包まれ弦楽器ピアノ独奏対比される冒頭からヴァイオリンヴィオラ声部をも受け持ち、やがて主題トレモロによって誇張されるが、このときヴァイオリン重音によるトレモロ一連のフレーズ演奏することを強いられる。しかし、敢えて分厚い響きにすることで3人の奏者でより大きな弦楽アンサンブルのような響き現出し、独特の音響世界開拓しようとするアルカン熱意伝わってくる。

第4楽章ピアノは、すべてユニゾンで動く。ヴァイオリンチェロはむしろ伴奏を受け持つ傾向にある。1839年頃に出版された《3つの大練習曲》の第3曲の無窮動と同じ発想によっている。ショパン前奏曲ソナタユニゾンによって1曲を仕上げたが、こうした無窮動ピアノ書法一つ流儀として当時ピアニスト認識されていたようである。ユニゾンであるゆえに、ピアニストかなりの速度演奏しなければ和声感を響かせることが出来ないという点で演奏至難であるが、その推進力熱狂的である。
 この作品通してポイントとなるのは動機扱い響き開拓、それからユニゾンという着想まで、多く試みなされているという点であり、このトリオ魅力はそうしたアルカンほとばしる創作意欲研究心にある。




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