デジタルチューナー搭載レコーダー(ハイビジョンレコーダー)
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「DVDレコーダー」の記事における「デジタルチューナー搭載レコーダー(ハイビジョンレコーダー)」の解説
2003年12月に地上デジタルテレビジョン放送が始まり、放送地域が拡大していくと共に地上/BS/CSデジタルチューナーを搭載したDVDレコーダーが普及を続けている。これをハイビジョンレコーダーと呼ぶ。ただしハイビジョンを録画できる録画機器はDVDレコーダーには限らず、HDDのみへの録画機器(HDDレコーダー)もハイビジョン対応機はハイビジョンレコーダーに含まれる。DVD録画機能を持つ「ハイビジョンレコーダー」は元々、DVDにハイビジョンを記録できるレコーダーという意味で使われ始めたわけではない。ただし2007年以降、AVCREC方式やHD Rec方式を採用することでDVDにハイビジョンを記録できる「ハイビジョンレコーダー」(松下電器産業の「ハイビジョンディーガ」や東芝の「VARDIA」など)も発売された(後述)。またそれを機に、従来は不可能だったカムコーダで撮影されたAVCHD記録のDVDも再生可能になった。 HDDのみのレコーダーも含めたハイビジョンレコーダーはデジタル放送が最初からMPEG-2 TSのファイルとして放送波に載せられて送られてくることから、アナログ放送レコーダーが録画機側でMPEG-2(MPEG-2 PS)に変換して記録するのと異なりMPEG-2 TSをそのまま記録する方式を採っている。従ってDR/TSモードを利用することによってHDDには全てのデジタル放送を放送局から送出されたままの状態で劣化なく記録できる。 しかし、ハイビジョンをDVDメディアに記録する際はDVDビデオ(DVD-Video)規格はMPEG-2 PS以外の記録には対応していない(MPEG-2 TSやMPEG-2 PSによる圧縮では容量が不足する)ためアナログ放送程度の解像度へのダウンコンバートを余儀なくされる。ただし、メーカーの製品カタログではそうしたDVDであってもHDMIで接続しアップコンバートすることでハイビジョンで放送された元の映像により近い画質での再生が可能とされている。2007年11月以降には、パナソニックや東芝からDVDメディアにハイビジョン記録できる製品が登場した(後述、「MPEG-4 AVCエンコーダの搭載」参照)。 デジタル放送とアナログ放送では音声の仕組みが若干異なることによる煩雑なコンバート処理を避けるために、2006年初頭現在は放送波やMPEG-2 TSの録画データからは一つの音声ストリームしか取り出せずステレオ二ヶ国語放送などを二ヶ国語としてコンバート出来ない製品がほとんどである。デジタル放送で行なわれている二ヶ国語放送のうち、第一音声信号以外を用いて行なわれている二ヶ国語放送の場合は二ヶ国語の同時録画が出来ない。つまり、内蔵チューナー受信のデジタル放送のデュアルステレオ番組をDVDに録画できない。(外部入力に別チューナーを接続して録画する場合はもともと不可能である) 以上のことにより、例えば、デジタル地上波放送の開始以後のサイマル放送が行なわれている放送局において、二ヶ国語番組がアナログ放送では副音声付放送、デジタル放送ではデュアルステレオで行なわれている場合には、アナログ放送受信の場合は二ヶ国語DVD録画が可能で、デジタル放送受信の場合は二ヶ国語のDVD録画が出来ない、という現象が発生している。なお、アナログ放送とデジタル放送の双方が副音声付放送(デジタル放送では二重音声放送と呼ばれる)で行なわれている放送局の場合は、両方とも二ヶ国語DVD録画が可能になる。 ハイビジョンDVDレコーダーは第3世代光ディスク普及までの過渡的な製品ではあったが、DVDレコーダー自体の普及が成熟・収束しきっていない現状もあり、高付加価値・高価格で2006 - 2007年の各社の主力製品になっていた。なお現時点で録画データをHD画質でをムーブ出来るのはi.LINK接続したD-VHS機とBlu-ray Disc/HD DVDレコーダー、一部のDVDレコーダー、HDDレコーダーだけである。 ハイビジョンレコーダーには、既存のDVD-Videoの再生映像をハイビジョン映像信号にアップコンバート(ただし走査線を補完するなどして若干の補正を加えた信号フォーマットの変換なので、SD映像がHD映像に変わるわけではない)する機能を持つものも多い。D端子またはHDMI端子を搭載したハイビジョン対応テレビまたはモニター(ハイビジョンブラウン管テレビや薄型テレビなど)と組み合わせればより高画質で鑑賞でき、またその機能をパソコンなどで行なう映像編集で活用すればSDで撮影された過去の貴重な映像資産をHD素材として用いることも可能。ただしコピーガードが施されている市販DVDは著作権保護のため、ハイビジョン画質での出力についてはHDCPで暗号化された出力しか許可されていない(これに対して一時期は消費者のみならずメーカーからも批判的な声が大きく、三菱電機はHDMI搭載機種を発売しない方針を取っていた)。 ハイビジョン放送を快適に扱うには大容量のHDDが必要でHDD容量アップの需要を加速させたが、2005年に1TB(1000GB)に到達してからは一段落した感がある。これには後述するMPEG-4 AVCエンコーダの搭載で実質的な録画可能時間が長くなったことも関係がある。 2004年4月より始まったコピー制御(B-CASカードの使用)によりデジタル放送は自由にコピーすることができず、HDDからDVDに移すとHDDにある元の映像は消去されてしまう。機器のエラーなどにより移動に失敗すると元の映像まで失われてしまうといった苦情がメーカーに多く寄せられ、総務省がコピー制御の是非を2004年9月以降審議している。DVDレコーダーとコピー制御の関係について、詳しくは後述。 アナログテレビ放送終了まで5年を切った2006年末期からデジタルチューナー非搭載機の生産を打ち切るメーカーが相次ぎ2007年末までに東芝を最後に大手メーカーの製品は全機種生産終了し、BSアナログチューナーは録画機から廃止された。2009年夏にはパナソニックが「DMR-XE1」、「DMR-XE100」を「地上アナログチューナー廃止DVDレコーダー第一号」として発売していた。 但し2010年当時発売中の最新モデルでも地上アナログチューナー廃止には至っていなかった。理由は「地デジ中継局整備が2010年時点で未完了のため」であった。
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