ソングライター
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ソングライター(英:songwriter)は、ポピュラー音楽において、歌詞とメロディ(主旋律)の両方を同時に創作する者、あるいはコード進行(和声)や楽曲構成(楽式)といった音楽部分を創作する者を指す。厳密には、作詞だけを行う作詞家や、クラシック音楽における作曲家とは異なる。
トップラインやビートメイクといった制作手法が用いられる音楽のジャンル(ヒップホップ、コンテンポラリー・R&B、EDM等)では、前者をトップライナー、後者をビートメイカーと、それぞれ呼ばれることもある。
作詞・作曲家の歴史とその背景
ソングライターは自分で歌うため、もしくは他の人が歌うための曲(歌詞)を制作する。現代の文脈では、特にポピュラー音楽において自分で(一般的にメロディー・歌詞の両方を)作った曲を自分で歌う人のことをシンガーソングライターとして分けて呼ぶことが多い。しかし、このように自分が作った曲を自分で歌うことは数千年以上の歴史があり、例えば中世の吟遊詩人も自身の作った曲を歌っていたと考えられる。
一方、歌曲の多くは作家自身よりも他人が歌唱するために作られるが、フランツ・シューベルトはしばしばプライベートパーティで自分の曲を自分で歌っていたとされる。実際のところ、今日の人気のあるソングライターも、さまざまなアーティストによって自分の作品がレコーディングされたり、違った解釈で演奏されたりすることが少なくない。
また、現代のロックバンドの多くは一般的に1人か2人のソングライターがおり、多くはメンバーが担当している。その中でもボブ・ディラン、ビリー・ジョエル、ポール・マッカートニー、プリンスなどのソングライターは、作曲しながら自分で演奏して録音したり、もしくは複数の楽器をオーバーダビングと呼ばれる手法を用いて自分で演奏し制作したりする。この手法は、まず演奏部分を完成させ、試行錯誤を繰り返しながら、それに合った歌詞を組み立てることができるという利点がある。
しかし、今でも多くの曲もしくはその土台となる部分はソングライターによって一つの楽器のみでシンプルに作られており、この際、メロディーとコードの双方を比較的容易に弾くことができるギターやピアノといった楽器が作詞・作曲作業によく用いられる。
基本的に作るときの決め事はないが、以前の商業的なソングライターはラジオに流すことを想定して、とにかく人の耳を引き付けられるような曲や、ラジオのフォーマット(つまり時間的な制約)に合った曲を作ることが要求された。しかし、1960年代・1970年代のソングライターは自分の居場所を確立するためにそれらのルールから脱却し、新天地を探ると共にラジオから離れていった。
多くのソングライターがフリーで活動しているが、音楽出版社やレコード会社などに所属して活動するソングライターも存在する。特にカントリーミュージックの多くは音楽出版社と直接契約したソングライターによって作られることが多い。 ただ、フリーで活動しているソングライターの曲であっても、作者の許可無く(公衆の場で)演奏したりコピーしたりすることはできない。これは、フリーであってもソングライター自身が音楽出版社としての役割を果たすからであり、そこから著作権が発生するためである。演奏する許可を得たい場合には、演奏する権利を権利者(日本ではJASRACが一括管理している場合が多い)から購入するのが一般的である。 ソングライティングしたり出版したりして発生したロイヤルティーは(特に作った曲がヒットした場合は)重要な収入源となりうる。
また、ポピュラー音楽でのソングライターの多くは音楽プロデューサーとしても活動している。
参考文献
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- Rimler, Walter Not Fade Away Pierian Press (1984年) ISBN 0-87650-159-5
- Waterman, J. Douglas, Ed. Song: The World's Best Songwriters on Creating the Music That Moves Us Writer's Digest (2007年) ISBN 1-58297-424-1
関連項目
外部リンク
ソングライティング
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「キャロル (バンド)」の記事における「ソングライティング」の解説
ジョニーと矢沢の作詞・作曲コンビは、ビートルズのレノン=マッカートニーに例えられた。矢沢の作り出す比類なきメロディラインとジョニーの神経の細かいところから醸し出す知性、矢沢の"動"とジョニーの"静"がぶつかりあい火花を散らすところからキャロルの爆発的エネルギーは生み出された。矢沢のメロディは、その後数多く誕生してくるキャロル・フォロワーたちの、初期ビートルズ作品の特徴を表面的に真似ただけの"マージーサウンド"とは一線を画しており、現在の"矢沢節"が伺える強烈なオリジナリティを発揮していた。当時はフォーク界ではシンガーソングライターが脚光を浴びつつあったが、ロック界では"日本語ロック論争"が収拾しておらず、まだ日本語オリジナルのロックは一般的でなかった。小学6年生の時に慶大の学祭で初めてキャロルを観たという横山剣は、ステージングの衝撃は勿論、外国の翻訳曲と思っていた曲がレコードを買って、キャロルのオリジナル曲と分かって驚いたと話している。大友康平は 矢沢永吉さんのキャロルが出て来て日本のロックシーンは変わりました。デビュー曲の『ルイジアンナ』がラジオから流れた瞬間、日本語でもロックはいけるんだと震えました。当時はめちゃめちゃなミキシングだと批判されていたけど、今聞くとすごく新しいし、昔はドラムの音が前面にくるサウンドがなかったので革命的でしたね — 大友康平、「70年代の唄に会いに行く: 日本がいちばん輝いていた時代」 と述べている。 日本語はロックのリズムにのりにくいといわれてきて、ワルツにならのりやすい言葉などといわれてきたが、ロックにものせられることをキャロルが示した。アメリカの軽快なロックンロールに日本のポップス・センスを加えたキャロルの日本語オリジナルは、それまでの"日本語ロック論争"を完全に無意味なものにした。意味よりも語感を重視した日本語と英語のチャンポン詞は、さらに日本語を英語風に発音する矢沢の唱法で一種独特な和製ロックソングへと昇華されているが、この手法の考案こそが後のJ-POP隆盛へと至る発火点であるとも論じられる。日本語によるロックの確立がキャロル最大の功績といえる。 はっぴいえんどのギタリスト・鈴木茂は、 キャロルはいろんな意味で好対称だった。彼らが明るいサウンドで、僕達は暗い。彼らは解り易いものでアルバムを作り上げ、僕らは解りづらい。いろんな意味でちょっと違うなあってとこはあったけど、でも彼らには持ち得ない、何かインテリジェンスのあるっていうか、そういう面があった所が救いだったかな。それ以外は全て、わあ、いいなあって — 鈴木茂、『定本はっぴいえんど』 などと述べている 「FMステーション」元編集長・恩藏茂は はっぴいえんどは岡林信康的なフォークの枠から出られずに苦しんでいたように思えた。メッセージ性を帯びた歌詞が、どうしても字あまりになってロックのリズムに溶け込まないきらいがあった。メンバーがそれぞれの能力を存分に発揮し始めたのは解散後のこと。はっぴいえんどが必ずしも成功したとはいえない日本語ロックに一つの答えを出したのがキャロルとダウン・タウン・ブギウギ・バンド、サザンオールスターズだった。メッセージ性を帯びた詞をビートにのせるのではなく、ビートにのる詞だけを、ときには脈絡なく繋ぎ合わせるやり方を、彼らは選んだ。字あまりの部分には適当な英語、オーイェーとかベイビーとか単純な言葉を入れる。キャロルはロックの歌詞に意味などいらない、と居直ることによって、徹底した思想性のなさで成功した — 恩藏茂、『FM雑誌と僕らの80年代』 などと論じている。キャロルは、はっぴいえんどとは異なる手法の日本語ロックで成功した。 1975年の『ヤング・インパルス』(TVK)で放送された「ヒストリー・オブ・キャロル」という番組で「英語日本語の入り混じった、まさに無国籍のロックンロールは瞬く間に若者の心を捉えた」と紹介された。こうしたキャロルの日本語英語チャンポン歌詞の誕生については、デビュー曲「ルイジアンナ」は、最初は全編英語詞であったが、レコードが発売される直前になって、レコード会社から、英語詞では売れないから歌詞を日本語にしてほしい、との要請を受け日本語に変更したのが切っ掛け。ジョニーは矢沢に「オレの曲に英語で詞をつけてよ」と頼まれ、初めて作詞を手掛けた。この製作課程で最初のジョニーの100%英語歌詞を矢沢が「こんなのやりきれない」「ここ日本語に直してくれないか?」とジョニーに言うから、急遽直したが、また矢沢が「どうしてもこの部分は日本語が乗らないな。じゃあ、やさしい英語でもいいから残しておこう」とできたのが、あのチャンポン詞」「あの時代、作詞のできる俺を永ちゃんは離せなかったと思う」などとジョニーは話している。矢沢は「あれを日本で発明したのはジョニー大倉だから、勲一等出さなきゃいけないと思うよ」「そこからヒントを得た作詞家がボロ儲けしてるんだから」と話したという。
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