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多接合型太陽電池 多接合型(スタック型、積層型、タンデム型などとも呼ばれる)太陽電池とは、利用波長の異なる太陽電池を複数積み重ねた太陽電池である。 特徴 太陽光のエネルギーをより無駄なく利用することで変換効率の向上が図れる。 材料の組み合わせによっては、温度特性や必要な資源量を削減するなどの効果も得られる。 原理 多接合型太陽電池の概念図:各波長の光子のエネルギーを効率良く利用する。 太陽光のスペクトルは紫外線から赤外線まで幅広く分布するが、短波長(紫外、紫、青)の光になるほど光子は大きなエネルギーを持ち、より大きな禁制帯幅を超えてキャリアを励起できる。この短波長側の光に対応した禁制帯幅を持つ単接合太陽電池を用いれば、より大きな電圧を得ることが出来、短波長域の光のエネルギーをより効率良く利用できる。しかし禁制帯幅を拡げすぎれば、より長波長の光は素通りして利用されず、出力電流が減少する。 即ちpn接合が1つだけの単接合太陽電池においては、禁制帯幅より大きなエネルギーの光子のエネルギーの一部が無駄になり、禁制帯幅より小さなエネルギーの光子のエネルギーは利用できない。このような兼ね合いから、単接合の太陽電池では禁制帯幅 1.3~1.4 eV付近が最も高い変換効率が得られる。単接合の場合、変換効率の限界は約30%とされる。2005年現在の記録はAM1.5G,1sunにおいて25.1%、AM1.5、255suns(集光セル)において27.6%である。 ここで、禁制帯幅の異なる複数のpn接合素子を積層し、光の入射側の素子から順に短波長の光を利用して発電し、より長波長の光はより下層の素子で利用する。こうすれば各波長域の光子のエネルギーをより無駄なく取り出すことが出来(より高い電圧が得られる)、かつより長波長まで含めたより多くの光子を利用できる(より多くの電流が得られる)。変換効率は最終的に取り出せる電力(電圧×電流)で決まるため、単接合の場合に比べてより高い効率が得られる。 理論的には無限に接合を増やせば約86%の変換効率になると計算されるが、実際には上層の素子を通過する際の光の損失や素子間の電流の整合の問題で、それより低くなる。2012年現在の記録は3接合セルで得られている(下記)。4接合、5接合のセルも研究されている。 応用 GaInP/GaAs/Geの3接合セルで30%を超える効率が得られ、主に宇宙用に用いられている。2012年5月の時点で、シャープがInGaP、GaAs、InGaAsの集光型化合物3接合セルで43.5%を達成している。 民生品では、微結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層したものや、通常のa-Siと禁制帯幅の異なるa-SiCやa-SiGeを積層したものなどが開発・実用化されている。アモルファスシリコンは禁制帯幅が広く、利用波長域が結晶シリコンと異なるため、同一元素同士でも多接合太陽電池を形成できる。このようにすることで効率だけでなく、温度・光強度に対する特性や最終的な資源の消費量の面でも優れた製品が市販されている(温度の影響も参照)。 温度の影響 太陽電池モジュールは条件によっては日光によって温度が60~80℃にも達することがあるが、太陽電池では温度が上昇することで出力が低下する現象が見られることがある。これは高温において禁制帯幅(シリコンでは1.2eV)が減少することで出力電圧が低下するためである。エネルギーギャップの大きいアモルファスシリコンや一部化合物系の太陽電池では電圧低下の影響が少ないため、モジュールが高温になる地域では有利になる。一方、高温になると光吸収係数が大きくなることで電流が増加する効果も発生するが、結晶シリコンでは通常この効果は小さい。このほか、上部に2枚以上の偏光板を回転させて日光量を調節し温度抑制あるいは出力調整をする方法がある。 温度係数は結晶シリコンにおいては通常-0.45%/℃前後であり、これは70℃において基準温度(25℃)に対して約2割の出力低下になる。 アモルファスシリコンにおいては禁制帯幅が1.75eVと大きいため、温度による効率低下は少ない。アモルファスシリコンを結晶シリコン等と積層することで、変換効率を単結晶シリコン並の20%前後にしつつ、温度係数を-0.2~-0.3%/℃程度(70℃においても1割程度の出力低下)に抑えることが出来、内外の企業によって実用化されている。 GaAs(禁制帯幅1.4eV)では温度係数は-0.2~-0.3%/℃である。 CIS系など一部の太陽電池では、ある程度温度が上がることで光や放射線による劣化がアニーリング効果によって回復する性質がある。 人工衛星用など宇宙用の太陽電池モジュールでは、使用時の温度が-100℃~+120℃程度の範囲で軌道周回に伴って頻繁に変化するのに対応して、熱サイクルによる疲労などに配慮した製品が用いられる。 アモルファスシリコンの光劣化 アモルファスシリコンは強い光の照射によってシリコンのダングリングボンドが増加し、導電率が劣化する性質を持つ。これはステブラー・ロンスキー(Staebler-Wronski)効果と呼ばれ、欠陥密度の増加によって素子内でのキャリアの移動を阻害し、太陽電池の性能の劣化を招く。これに対しては、下記のような対策が取られる。 アモルファスシリコンの製膜工程を改良し、関連する不純物(水素、窒素など)の含有量を最適化する 光閉じ込めを利用して膜厚を薄くする。これによって空乏層内の電場が大きくなり、キャリアの移動が阻害されにくくなる。 多接合化して光の利用効率を高めると共に、個々の空乏層を薄くする。 紫外線が特に問題になる場合は、モジュールの保護層(ガラスやEVA樹脂)で遮断する。 こうした対策技術の開発により、現在は屋外用にも長寿命のものが実用化されている。 なお、光照射によって増加した欠陥密度は、光照射が続くと飽和する。また、熱が加わることで時間と共に減少する。一般に屋外用の製品においては、使用開始時に性能が数% - 10数%程度低下する現象(初期劣化)が見られるが、その後は安定する。カタログ性能値には初期劣化後の値が用いられる。 薄膜太陽電池 従来の太陽電池が単結晶、多結晶、あるいはシリコンや化合物系半導体を問わずインゴットからワイヤソー等で切り出していたため、材料の無駄が少なくなかった。そのため、毛細管現象を利用して坩堝から帯状のシリコンを引き上げたりアモルファス半導体やCIS系半導体等の薄膜太陽電池の開発が行われてきた。近年では基板上に結晶を成長させて剥がす方法も実用化の域に達しつつある。従来は変換効率において従来の製法による物と比較して劣るものが少なくなかったが、近年はプロセスの改良により改善されつつある。
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ジェイムズ・クック 『クック 太平洋探検 (1) - (6) 』 増田義郎訳、岩波書店〈岩波文庫〉、2005年。
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「ジェームズ・ウルフ」の記事における「その他参考資料」の解説
Stephen Brumwell, Paths of Glory: The Life and Death of General James Wolfe (2006) Frank McLynn, 1759: The Year Britain Became Master of the World (2004) Fred Anderson, Crucible of War : The Seven Years' War and the Fate of Empire in British North America, 1754-1766 (2001) 篠原由起夫 『フォールオブケベック—ウルフ将軍、最後の戦い』、文芸社、2005年。
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