従来の製法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 02:01 UTC 版)
ベッセマー法が考案される以前、イギリスには銑鉄の脱炭を行う実用的製法がなかった。鋼はスウェーデンから輸入した炭素をほとんど含有しない錬鉄に逆に炭素を加えるという製法で生産されていた。この製法をセメンテーション法 (cementation process) と呼び、岩石製の箱に錬鉄の棒と炭を入れ、一週間程度まで熱し続ける。こうしてできた鋼をブリスター鋼 (blister steel) と呼ぶ。1トンの鋼を作るのに3トンもの貴重なコークスを燃やす必要があった。その鋼は1トンあたり50から60ポンドで売買された。ただし、この製法の中で最も難しく、最も労働力を要するのは、スウェーデンの精錬炉での錬鉄の生産工程である。 18世紀になると、ベンジャミン・ハンツマンがこの製法を改良し、るつぼ鋼 (crucible steel) の製法を確立した。その製法ではさらに3時間熱するため、コークスをさらに消費した。るつぼ鋼を作る場合、ブリスター鋼を細かく砕き、20kg程度を小さなるつぼに入れて溶かす。これによって高品質なるつぼ鋼ができるが、コストは増大する。ベッセマー法では同程度の品質の鋼を作るのに30分ほどしかかからず、コークスも銑鉄を溶かす最初の工程でしか必要としない。初期のベッセマー転炉でも、1トンの鋼を7ポンドのコストで製造できた。ただし、販売価格は1トンあたり40ポンド前後だった。
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