【おおすみ】(おおすみ)
- LST-4001 Osumi(2代)
海上自衛隊初の大型輸送艦(ジェーン海軍年鑑では「ドック型揚陸艦」と記述されている)。
姉妹艦に「しもきた(LST-4002)」「くにさき(LST-4003)」がある。
それまで海自が保有していた「おおすみ(初代)」型・「あつみ」型・「みうら」型のように、直接海岸に乗り上げるタイプ(ビーチング式)の輸送艦と違い、船内に搭載したエアクッション型揚陸艇(LCAC)やヘリコプターを利用して人員・資材を陸揚げする艦として設計された。
そのため、航行速度を大幅に改善することができ、一方ではより多くの海岸部への資材・人員の揚陸が可能になり、運用の幅を大いに広げることができた。
(ビーチング式揚陸艦が接岸できる海岸は地球上の全海岸線の15%程度、と言われている)
基準排水量は8,900tであるが、これは先進諸国の持つ揚陸艦としては標準的なもので、ようやく実用に堪える揚陸艦を装備したといえる。
船内に作られた330名分の宿泊設備や医療設備は、災害派遣などにも非常に有用である。
一方で、ヘリコプターの発着が可能な全通甲板を持っている(このことで就役当時、メディアは「空母にも転用可能では?」と誤報していた)が、航空機の格納庫や整備機材を持っておらず、ヘリ運用能力はない。
揚陸作戦に必要な指揮管制や通信の能力、人員も貧弱で、何より肝心のLCACが敵前上陸を前提に作られていないため、ジェーン年鑑の記述どおり「ドック型揚陸艦」とみるのが適切であろう。
全通甲板は物資の搭載やヘリコプターの発着を容易にするが、船体の設計の自由を多少奪ってしまうため、先進諸国が保有する同規模の揚陸艦に比べた場合、搭載能力がやや小さくなってしまったが、同艦が画期的な艦であることに変わりはない。
現在は上記の同型艦3隻で第1輸送隊(護衛艦隊直轄)を編成している。
【スペックデータ】
排水量
(基準/満載)8,900t/14,000t 全長 178m 全幅 25.8m 深さ 17.0m 喫水 6.0m 機関 三井 16V42M-Aディーゼルエンジン(27,000hp)×2基2軸推進 最大速力 22kt 乗員 135名 兵装 高性能20mm機関砲(CIWS)×2基 レーダー OPS-14C 対空レーダー
OPS-28D 水上レーダー
OPS-20 航海レーダー電子戦・対抗手段 Mk 36 SRBOCチャフ発射装置×4基 輸送能力 1号型エアクッション艇×2隻
普通科3個中隊330人
90式戦車×10輌または74式戦車×12輌
【同型艦】艦番号 艦名 主造船所 起工 進水 就役 所属艦隊 母港 LST-4001 おおすみ 三井造船
玉野営業所1995.12.6 1996.11.18 1998.3.11 第1輸送隊
(護衛艦隊直轄)呉 LST-4002 しもきた 三井造船
玉野営業所1999.11.30 2000.11.29 2002.3.12 第1輸送隊
(護衛艦隊直轄)呉 LST-4003 くにさき 日立造船
舞鶴工場2000.9.7 2001.12.13 2003.2.26 第1輸送隊
(護衛艦隊直轄)呉 - LST-4001 Osumi(初代)
1960年代、アメリカ海軍から貸与されたLST(戦車揚陸艦)。
米軍時代の艦名は「ダゲット・カウンティ(LST-689)」。
同時期に貸与された「しもきた(初代・米軍旧名"ヒルズデール・カウンティ")」及び「しれとこ(米軍旧名"ナンスモンド・カウンティ")」と共に第1輸送隊を編成、1965年に起きた伊豆大島大火の救援活動や1972年の沖縄諸島返還に伴う日銀から沖縄への日本円現金輸送などの重要任務で活躍した。
1974年、国産輸送艦の「あつみ」型就役に伴って自衛艦籍を抹消、アメリカへ返還後、スクラップとして処分された。
- JCG Osumi(PLH-03)
海上保安庁・「つがる」型巡視船の2番船。1979年就役。
現在は第十管区鹿児島海上保安部に所属している。
【スペックデータ】
排水量
(総排水量/常備排水量)3,221t/4,037t 全長 105.4m 全幅 14.6m 深さ 8.0m 機関 ディーゼルエンジン(15,600hp)×2基・2軸推進 最大速力 23kt 乗員 71名 兵装 40mm機関砲×1基、20mm機関砲×1基 搭載機 ベル212×1機 - 試験用人工衛星「おおすみ」。
1970年2月、東京大学宇宙航空研究所が「L-4S」ロケット第5号機により打ち上げた日本初の人工衛星。
名前は、発射地のあった鹿児島県・大隅半島に由来している。
この成功により、日本はソ連(ロシア)・アメリカ・フランスに続く世界で4番目の人工衛星打ち上げ国となったが、これらの国が弾道ミサイル開発からのスピンオフとして人工衛星に発展したのに対し、日本は大学の研究機関の主導により、純然たる民生技術として開発に着手されたことに特徴がある。
打ち上げから14~15時間後、搭載された電池の消耗により電波発信が止まって運用終了。
その後、スペースデブリとして33年間衛星軌道上にあったが、JAXA統合前の2003年8月、北アフリカ上空(エジプト・リビアの国境付近)で大気圏に突入して消滅した。
【性能諸元】
【軌道要素】
関連:ペンシルロケット ミューロケット まいど1号
固有名詞の分類
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