鳥羽の火祭りとは? わかりやすく解説

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鳥羽の火祭り

名称: 鳥羽の火祭り
ふりがな とばのひまつり
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 鳥羽
指定年月日 2004.02.16(平成16.02.16)
都道府県(列記): 愛知県
市区町村(列記): 幡豆郡幡豆町鳥羽
代表都道府県 愛知県
備考 2月2日曜日
解説文: 鳥羽の火祭りは、愛知県幡豆【はず】郡幡豆町【はずちょう】の鳥羽地区行われている正月行事で、地区内を二分し燃え盛るスズミ呼ばれる大松明おおたいまつ】の中から「神木【しんぎ】」と「十二縄【じゅうになわ】」を取り出して神前供える速さ競い、その勝敗松明燃え具合などで作柄や一年の吉凶などを占う行事である。行事は旧鳥羽村村社である神明社境内行われ古く旧暦一月七日行われていたが、昭和四十五年からは二月第二日曜日行われることとなった
 祭り神明社脇を流れ鳥羽川を境に、東側九番組、一〇番組を「乾地【かんち】」、西側一一番組一二番組を「福地【ふくち】」とし、地区二分して行われる行事は、神明社氏子の中から選ばれ九人の宮係(宮役)とそのうち一人務める宮総代中心となって執行され行事の参加者忌み罹っていない男性限られる
 乾地、福地若者からそれぞれ一人ずつ神男【しんおとこ】が選ばれ祭り中心的な役割務める。神男は、前年祭り当日決められかつては二五歳の厄男の中からくじ引きで選ばれていたが、現在では宮総代依頼するようになり、年齢原則扱いとなった。神男は、現在では祭り前の三日かつては七日神社籠もり自分煮炊きした料理食べて精進潔斎をする。神男は他に、スズミ材料集めミソギ先導役を務めたり、祭り当日スズミ燃え具合煽る役を務める。前年の神男をソエボウと言い、神男の補佐役となる。このほか、神男経験者中心とした鳥羽の火祭り保存会結成されており、後継者の育成などに当たっている。
 鳥羽地区若者出身集落ごとに分かれて奉仕人となる燃え盛るスズミ崩し、その中から「神木」や「十二縄」を取り出す役である。奉仕人は青年上であれば特段年齢制限等はない。このほか、スズミ点火するヒツケ役がある。なお、神男、ソエボウ、奉仕人は神社の幟の古布作ったネコという衣装を着る。
 スズミは、周囲青竹製の簀で巻いて開き形の円筒状に作り頭部飾りという束で飾り付けたもので、高さは一六尺(約五メートル)とし、最大径は約四メートルくらいになる。乾地、福地それぞれ一基ずつ作られる材料氏子前日までに一戸一荷ずつを用意し神明社境内に乾地、福地ごとに保存する
 スズミ中に入れ神木地元アベマキと呼ぶトチノキ枝付きのものである真っ直ぐに立ち、これを囲むように周囲付いた木を選ぶ。簀に作る青竹は笹付きのまま六〇本、他に結縄用の藤蔓大小多数燃えスズミ揺すって燃焼助けるために使用するユスリボウ用の長さメートルほどの黒松一本降りかかる火の粉を払うのに使用するハライボウという付きモチノキ多数藁縄多数などを準備する
 以外の材料は神男と宮係がそれぞれ二組ずつ用意する
  スズミの形ができあがると、根元一年月数を表す「十二縄」を巻く。「十二縄」は、藁縄二本一組にし、平年一二巻き閏年一三巻きとする。なお、ユスリボウも平年一二尺、閏年一三尺の長さとし、先端尖らせ作られる最後にスズミには、取手とするためのショイフジを付ける。
 スズミ完成すると、公平性期すために神男が社頭で籤を引いてスズミ取り分決める。作り手違ったスズミ当たった場合には、「神木」や「十二縄」を取り出しすいようにショイフジの位置調整したりする。
 スズミ頭部御幣刺しそれぞれの氏子たちの手であらかじめ神男が掘っておいた穴に運んで立て最後に神男とソエボウによってスズミ間隔調整化粧などが施されるこの間境内とその周辺には氏子たちの手によって幟と提灯台が建てられ火祭り準備終了する
 祭り当日祭り参加者午後二時ころに社務所集合し、晒の下帯白足袋鉢巻付けた姿に身を調え、神男を先頭に宮係の先導隊列組んで浜に行きミソギをする。海中でのミソギは、福地の神男が御幣付けた竹棹を海に投げ入れ、これを乾地の神男が拾って終わる。その後ミソギ一行は再び隊列組んで神明社戻り境内祀られてある稲荷大明神御幣竹を奉じた後、いったん帰宅して夕方祭り備える。
 夕刻氏子総代ヒツケ役を自宅迎えに行くその後神明社拝殿にて神男らのお祓いが行われ、拝殿脇に控えているネコ姿の奉仕人を塩で清めた後、ヒツケ役を先頭スズミに向かう。スズミの前で神官によるお祓いが行われ、最後の塩が撒かれた後、神男がヒツケ役によってきりだされた火を用いてスズミ点火する

鳥羽の火祭り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/23 07:53 UTC 版)

鳥羽の火祭り
Toba Fire Festival
火がついた「すずみ」に飛び込む「ネコ」と呼ばれる奉仕者
イベントの種類 祭り
正式名称 鳥羽大篝火
開催時期 2月第2日曜日
初回開催 大同年間(806年 - 810年)
会場 鳥羽神明社
愛知県西尾市鳥羽町西迫89)
主催 鳥羽火祭り保存会
公式サイト
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鳥羽の火祭り(とばのひまつり)は、毎年2月第2日曜日に愛知県西尾市鳥羽町の鳥羽神明社にて行われる火祭り)である。

概要

鳥羽神明社の境内

祭りの起源は定かではないが、約1200年前の大同年間(806年 - 810年)に始まったとされる[1][2]

長いあいだ、旧暦の1月7日に行われていたが、1970年から2月の第2日曜日に行われるようになった[1]

2004年2月16日、国の重要無形民俗文化財に指定された[3]

祭りでは鳥羽神明社の西を流れる水路(宮西川)を境に鳥羽地区を東西に分け、西を「福地(ふくじ)」、東を「乾地(かんじ)」と呼ぶ。それぞれの地区から1人ずつ選ばれた原則25歳の厄年の男性「神男(しんおとこ)」が、祭りの中心を務める[1]。前年の神男は「添え棒」といい、その年の神男を補佐し、指導する[1]

本番当日の朝、神男は身を清めるため、氷水でみそぎを行う。さらに午後、神男と他の奉仕者はふんどし姿で三河湾に入り、みそぎを行う[4]

祭りのシンボルは「すずみ」と呼ばれる5メートルの造形物で、2基つくられる。すずみを1基つくるにはススキが2トン、青竹が60本必要とされる。すずみを突き刺す「ゆすり棒」は松の木からつくられる[4]。「すずみ」2基に火がつけられ、神男と、かぶる頭巾の形から「ネコ」と呼ばれる奉仕者が「すずみ」の中に飛び込んで神木と十二縄を競って取り出す[5]。その勝敗により、その年の天候と豊凶や作物の出来具合を占う[2]

西尾市立一色学びの館には鳥羽の火祭りに関する常設展示がある。

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b c d 『広報 NISHIO』2017年2月1日号, pp. 2–5.
  2. ^ a b 鳥羽神明社 鳥羽の火祭り
  3. ^ 鳥羽の火祭り”. 国指定文化財等データベース. 2025年2月8日閲覧。
  4. ^ a b 東西の神男が炎に立ち向かう!天下の奇祭「鳥羽の火祭り」に密着 愛知・西尾市”. 中京テレビ (2024年2月26日). 2025年2月6日閲覧。
  5. ^ Aichi Now ~天下の奇祭 鳥羽の火祭り~

参考文献

関連項目

外部リンク


鳥羽の火祭り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:44 UTC 版)

西尾市」の記事における「鳥羽の火祭り」の解説

毎年2月2日曜日鳥羽神明社行われる火祭り。竹やカヤ作ったすずみ」と呼ばれる、高さ5メートルの2本の松明燃やし中心にある「神木」と「十二縄」を取り出す速さ競うすずみの燃え方で1年天候豊凶を占う。2004年2月6日、国の重要無形民俗文化財指定された。

※この「鳥羽の火祭り」の解説は、「西尾市」の解説の一部です。
「鳥羽の火祭り」を含む「西尾市」の記事については、「西尾市」の概要を参照ください。

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