宇宙人 宇宙人の概要

宇宙人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 06:48 UTC 版)

英語では「エイリアン: alien[5]」と称されるほか、中国語では「外星人: wàixīngrén[6]」とも称される。なお、一時期「EBEイーバ[注 1]」や「異星人(いせいじん)[7]」などと呼ばれたこともある。

歴史

月へ帰っていくかぐや姫(『竹取物語』1650年ごろの絵)

近世以前

人間の住む世界以外に生命が生息する世界が数多く存在するという考え方(多宇宙論)は近世以前からあり、地動説よりも古く、世界各地の神話に共通している。2世紀の風刺作家ルキアノスが書いた『本当の話』には、船に乗っていたルキアノスが竜巻に巻き上げられて月まで行った話が描かれている。月には人が住んでおり、太陽の住民と明けの明星の植民地化をめぐって戦争をしていたとしている。東晋干宝が著した『捜神記』には火星人の少年が登場し予言を行う逸話がある[注 2]

また、日本では10世紀半ばまでに成立したと考えられている『竹取物語』は主人公のかぐや姫が月の住民であるという話であり、中世アラビアの『千夜一夜物語』の「ブルキヤの冒険」も異世界譚の一種である[8]

近世

より科学的な地球外生命体の存在仮説は、太陽中心の太陽系への理解が深まり、さらに恒星間空間への理解が深まることで発展したもので、近世のことである。そして、それを題材とした文学作品が17世紀および18世紀に登場した。

ヘンリー・モアは古代ギリシアのデモクリトスの地球以外にも生命の生息する世界があるという考え方をテーマとして "Democritus Platonissans, or an Essay Upon the Infinity of Worlds" (1647) を著した[9]。その中で、「我々の世界での太陽は、余所にとっての星になる」という相対的価値観を提示し、モアは太陽系外の惑星にまで思索をめぐらせた。

17世紀には、ヨーロッパの教養ある人々にとっては地球外生命の可能性が常識となっていたが、『失楽園[10](1667) の中でジョン・ミルトンは、月面上の生命の可能性を天使がアダムに告げる場面で、注意深く仮定法を使っている。

ベルナール・フォントネルの『世界の多数性についての対話』でも同様に地球外生命について描いており、創造主の天地創造を否定するのではなく拡張した形となっている。この本は1686年に英語に翻訳された[11]。David Mallet は "The Excursion" (1728) の中で「1万の世界が燃え立ち広がる。それぞれに人の住む世界をひきつれ」と声高に描いている[12]ヴォルテールの『ミクロメガス』(1752) には土星シリウスから来た2人の巨大宇宙人が登場している。

SFにおける宇宙人

H・G・ウェルズは『宇宙戦争』(1898) で火星人が地球侵略にやってくる物語を描いた。ここから、単純に地球外生命との最初の出会いを描くファーストコンタクトものや、宇宙人による侵略を描くものが派生していった。

まず様々な火星人が登場する作品が次々と書かれた。エドガー・ライス・バローズ火星シリーズ (1912 - 41) を初めとして、スタンリイ・G・ワインボウムの『火星のオデッセイ』(1934)、レイモンド・Z・ガランの「火星人774号」(1934) などがある。さらにE・E・スミスの《レンズマン》シリーズ (1937 - 60) などのスペースオペラでは太陽系外の異星人も登場するようになった。A・E・ヴァン・ヴォークトの『宇宙船ビーグル号の冒険』(1950) では、凶悪な宇宙生命体をいくつも登場させている。

第二次世界大戦後、宇宙人の描き方が多様化していく。レイ・ブラッドベリの『火星年代記』(1950) は、火星人と地球人の出会いからの話を叙情的に描いた。ロバート・A・ハインラインの『人形つかい』(1951) では、寄生型宇宙人による侵略が描かれている。アーサー・C・クラークの『幼年期の終り』(1953) では、姿をなかなか見せない宇宙人によって地球が無抵抗で征服される。ハル・クレメントは、『20億の針』(1950) では他の生物の体内にもぐりこんで活動する流動体型の宇宙人、『重力の使命』(1954) では高重力に適応したムカデ型宇宙人を登場させた。ジャック・フィニイの『盗まれた街』(1955) では、人間に化けて徐々に侵略していく宇宙人が登場。フレッド・ホイルの『暗黒星雲』(1957) は、太陽系に突如出現した暗黒星雲が知的生命体だったという話である。ジェイムズ・ブリッシュの『悪魔の星』(1958) では、リチアという惑星の奇妙な姿の知的生物が登場する。ハインラインの『宇宙の戦士』(1959) では、意思疎通不可能な昆虫型宇宙人などと戦争を繰り広げる。スタニスワフ・レムは、ファーストコンタクトをテーマとした3作品『エデン』(1959)、『ソラリスの陽のもとに』(1961)、『砂漠の惑星』(1964) で、地球外生命体との意思疎通の困難さを描いた。

その後、未来史スペースオペラなどの形で、様々な異星人が描かれていった。ストルガツキー兄弟未来史 Noon Universe (1961 - 87)、ラリー・ニーヴンの《ノウンスペース》シリーズ(1964 -)、アーシュラ・K・ル=グウィンHainish Cycle (1964 - 2000)、フランク・ハーバートの《デューン》シリーズ (1965 - 85) と《ジャンプドア》シリーズ (1970 - 77)、C・J・チェリイアン・マキャフリイの諸作品、ブライアン・ステイブルフォードの《宇宙飛行士グレンジャーの冒険》シリーズ (1972 - 75) などがある。

フレッド・セイバーヘーゲンの《バーサーカー》シリーズ (1967 - 2005) は、有機生命体を絶滅させることを使命としている機械生命体との戦いを描いたもので、同様のテーマはグレゴリー・ベンフォードの《銀河の中心》シリーズ (1976 - 1995) などにも見られる。

ジョン・ヴァーリイの《八世界》シリーズ (1977 - 98) は謎の地球外生命体によって人類がほぼ絶滅させられた後の世界を描いた。フレデリック・ポールの《ヒーチー年代記》(1977 - 90) では、高度な科学技術を発展させたヒーチー人や謎のエネルギー生物などが登場する。ダグラス・アダムズの『銀河ヒッチハイク・ガイド』から始まるシリーズ (1979 - 92) には様々な宇宙人が登場し、コミカルに描かれている。デイヴィッド・ブリン知性化シリーズ (1980 -) は、銀河系の知的生命体は別の知的生命体によって「知性化」されてきた歴史があり、地球人類だけが独自に進化を遂げたという設定である。ジェリー・パーネルラリー・ニーヴンの『降伏の儀式』(1985) は異星人による地球侵略を真っ向から扱った作品。スティーヴン・バクスターの《ジーリー》シリーズ (1991 - 02) では、地球は何度か異星人に征服されており、生きている巨大宇宙船なども登場する。

フェルミのパラドックス

はたしてこの宇宙に知的生命は存在するか――という疑問をめぐっては、物理学者エンリコ・フェルミによる「フェルミのパラドックス」がよく知られている。つまり、ドレイクの方程式のパラメータをある程度科学的に合理的なもので仮定すると、地球人と接触可能な地球外知的生命体がいると期待できるのに、実際には地球人はそのような地球外知的生命体と接触していないという矛盾があるということである。仮に宇宙人がいるとしたら、宇宙の137億年の歴史の中で人類より数万年あるいは数億年進んだ科学技術をもっている種族もいて、それらは地球を見つけて来訪するだけの時間と機会が充分にあった筈である。しかし、地球上には外宇宙から来た知的生命体の確実な証拠は一切見つかっていない。

この矛盾に対しては、様々な解釈・意見が挙げられている。そのひとつはドレイクの方程式のパラメーターの推定値である。信頼性の高い推定は大変困難であり、大量絶滅などの最近の地球生物の進化史の研究によると、これまで用いられてきた推定値は現実と比べると高すぎた可能性がある。地球生物の高度な進化、とりわけ人類の出現は、地球史上の稀有の幸運の積み重なりであって、生物は発生しても知的生物までに進化することはほぼ不可能といえるほど困難である。その意味で、われわれ人類を含め、地球上の生物進化は極めてまれな例と考えられる。宇宙における生命体は比較的多くあるがそれらは原始的なバクテリアのレベルであり、人類と接触できる高い文明を持つにいたった種族は文明的な接触が可能な距離にはいないという考えである。


注釈

  1. ^ : extra-terrestrial biological entities、地球外生命体。
  2. ^ 『捜神記』の現代日本語訳では「火星人」と訳した本もあるが、原漢文の少年のセリフ「我非人也,乃熒惑星也。」を直訳すると「私は人間ではない。実は火星である」となる。いわゆる「火星人」ではなく、「火星」という惑星そのものの化身、というほうが原文に近い。
  3. ^ 宇宙人を題材としたフィクションの中には、『トランスフォーマー ギャラクシーフォース』のように、これを逆手に取って「妖怪伝承の中には、宇宙人との遭遇体験が基になっているものがある」と描写したものが存在する。

出典

  1. ^ 小学館『デジタル大辞泉』. “宇宙人”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  2. ^ 三省堂大辞林』第3版. “宇宙人”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  3. ^ 横尾広光、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “宇宙人”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  4. ^ 日立デジタル平凡社世界大百科事典』第2版. “宇宙人”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  5. ^ エイリアン”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  6. ^ 中日辞典 第3版. “外星人”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年5月19日閲覧。
  7. ^ 異星人”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  8. ^ Irwin, Robert (2003). The Arabian Nights: A Companion. Tauris Parke Paperbacks. p. 204 & 209. ISBN 1860649831. 
  9. ^ Democritus (1647). Democritus Platonissans, or an Essay Upon the Infinity of Worlds 
  10. ^ Milton, John (1667). Paradise Lost. ISBN 0841422222 
  11. ^ Fontenelle, Bernard le Bovier de (1686). Conversations on the Plurality of Worlds. ISBN 0520071719 
  12. ^ Mallet, David (1728). The Excursion 
  13. ^ (日本語) ①昆虫型宇宙人が存在した!? - 古代の宇宙人「昆虫型宇宙人」 1/2, https://www.youtube.com/watch?v=BXUZFgxvnhM 2021年12月30日閲覧。 
  14. ^ (日本語) ②昆虫型宇宙人が存在した!? - 古代の宇宙人「昆虫型宇宙人」 2/2, https://www.youtube.com/watch?v=jC-tdOp43PE 2021年12月30日閲覧。 
  15. ^ https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/14/news079.html, https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/14/news079.html 
  16. ^ (日本語) ①特殊能力を持つ子どもは宇宙人の化身なのか!?「スターチャイルド」古代の宇宙人 1/2, https://www.youtube.com/watch?v=UO79XGTPs1g 2021年12月30日閲覧。 
  17. ^ (日本語) ②特殊能力を持つ子どもは宇宙人の化身なのか!?「スターチャイルド」古代の宇宙人 2/2, https://www.youtube.com/watch?v=RjSTJx1Nshw 2021年12月30日閲覧。 
  18. ^ 「宇宙人からの攻撃を想定したマニュアル」を内閣官房と防衛省に開示請求したらこうなった





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



宇宙人のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの宇宙人 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS