グリーゼ832cとは? わかりやすく解説

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グリーゼ832c

英語:Gliese 832c

グリーゼ近傍恒星カタログ収載される恒星グリーゼ832」の第3惑星地球型惑星である。「c」惑星内側か数えた順序を示す記号

グリーゼ832cを含むグリーゼ832惑星系は、つる座方向地球から約16光年ほどの距離にあるとされる恒星のように発光しない惑星観測難しい。16光年という距離は宇宙観測スケールにおいては至近距離のうちだが、グリーゼ832cは2014年になって初め観測された。

グリーゼ832cは、地球よりは大きいが地球によく似た組成を持つ「スーパーアース」であり、かつ、恒星グリーゼ832)から近すぎず遠すぎないハビタブルゾーン」に位置している。そのため、生命存在しうる環境実現されている可能性があると期待されている。

グリーゼ832cは地球の数倍程度大きさがあるため、濃密な大気による高圧高温世界となっている可能性もあるとされるこうした環境地球よりもむしろ金星に近い。グリーゼ832cをスーパービーナス(Super-Venus)と報じているメディアもある。

関連サイト
Gliese 832c: Life-Roasting 'Super-Venus' Discovered - Discovery News Jun 30, 2014

グリーゼ832c

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/09 13:31 UTC 版)

グリーゼ832c
Gliese 832 c
グリーゼ832cの想像図
星座 つる座
分類 太陽系外惑星
スーパーアース
発見
発見年 2014年[1]
発見者 Robert A. Wittenmyer et al.[2]
発見方法 ドップラー分光法[1]
現況 偽陽性として撤回[3]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 0.163 ± 0.06 au[2]
離心率 (e) 0.18 ± 0.13[2]
公転周期 (P) 35.68 ± 0.03 [2]
近点引数 (ω) 80+280
−80
°[2]
昇交点黄経 (Ω) 246+114
−246
°[2]
準振幅 (K) 1.62+0.94
−0.92
m/s[2]
グリーゼ832の惑星
位置
元期:J2000.0[4]
赤経 (RA, α)  21h 33m 33.9751191976s[4]
赤緯 (Dec, δ) −49° 00′ 32.399427028″[4]
赤方偏移 0.000044[4]
視線速度 (Rv) 13.164 km/s[4]
固有運動 (μ) 赤経: -45.917 ミリ秒/[4]
赤緯: -816.875 ミリ秒/年[4]
年周視差 (π) 201.3252 ± 0.0237ミリ秒[4]
(誤差0%)
距離 16.2 ± 0.002 光年[注 1]
(4.9671 ± 0.0006 パーセク[注 1]
物理的性質
半径 1.2 - 2.2 R[5]
質量 ≥5.40 ± 0.95 M[2]
表面温度 ≈ 253 K(≈ -20 [5]
他のカタログでの名称
HD 204961 c、HIP 106440 c、LHS 3865 c、CD-49 13515 c
Template (ノート 解説) ■Project

グリーゼ832c英語: Gliese 832 c)は、地球から見てつる座の方向に約16光年離れた位置にあるグリーゼ832公転していると考えられていた太陽系外惑星である。2014年オーストラリアニューサウスウェールズ大学の研究チームによるドップラー分光法での観測から発見されたが[2]2022年にその存在を否定する研究結果が公表され[6]、現在では確認済みの太陽系外惑星としては扱われていない[1][3]

特徴

グリーゼ832cは下限質量が地球の5.4倍のスーパーアース規模の惑星であると考えられ[2]半径は不明であるが、プエルトリコ大学アレシボ校の Planetary Habitability Laboratory は地球の1.2倍から2.2倍であると推定していた[5]。これまでにこの恒星系には木星サイズの惑星グリーゼ832b2009年に見つかっていたが、グリーゼ832cはグリーゼ832bより内側に発見された[7]

グリーゼ832cの主星からの軌道長半径が約 0.16 au と、太陽系における水星軌道よりも主星に近いところにある[2]。しかし、グリーゼ832が小型で暗い赤色矮星であるため、グリーゼ832cの軌道は液体が存在できる領域であるハビタブルゾーン内に収まっている[2]。ただし地球の5倍以上の質量があり、その重力で集められた濃い大気に覆われている「スーパービーナス(金星の大型版)」と表現できる様相になっている可能性が高いとも考えられていた[2][8]

しかし、発見の翌年である2015年、グリーゼ832cの公転周期が主星グリーゼ832の自転周期に近いことから、グリーゼ832cに由来しているとされた主星の視線速度変動が主星そのものに由来している可能性を示す研究結果が公表された[9]。そして2022年にグリーゼ832cの存在を示す視線速度の変動が主星の恒星活動に由来していることを示す特徴がみられたことから、グリーゼ832cの存在が否定されることとなった[6]。この研究を受けて、NASA Exoplanet Archive はグリーゼ832cの現況を「Confirmed(確認)」から「False Positive Planet(偽陽性)」に格下げし[3]太陽系外惑星エンサイクロペディアも現況を「Controversial(論争有り)」に変更し、確認された太陽系外惑星の一覧から除外している[1]

脚注

注釈

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

  1. ^ a b c d Jean Schneider (2022年11月1日). “Planet GJ 832 c”. The Extrasolar Planet Encyclopaedia. Paris Observatory. 2025年9月9日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m Wittenmyer, R. A.; Tuomi, M.; Butler, R. P. et al. (2014). “GJ 832c: A super-earth in the habitable zone”. The Astrophysical Journal 1406 (2): 5587. arXiv:1406.5587. Bibcode2014ApJ...791..114W. doi:10.1088/0004-637X/791/2/114. 
  3. ^ a b c 2022 Exoplanet Archive News | September 26, 2022 - 84 Giant Planets Added”. NASA Exoplanet Archive. Caltech/IPAC. 2025年9月9日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h HD 204961 -- High proper-motion star”. SIMBAD. 2016年9月13日閲覧。
  5. ^ a b c HEC: Data of Potentially Habitable Worlds”. Planetary Habitability Laboratory. University of Puerto Rico at Arecibo (2015年10月14日). 2015年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月9日閲覧。
  6. ^ a b Gorrini, P.; Astudillo-Defru, N.; Dreizler, S. et al. (2022). “Detailed stellar activity analysis and modelling of GJ 832: Reassessment of the putative habitable zone planet GJ 832c”. Astronomy and Astrophysics 664: A64. arXiv:2206.07552. Bibcode2022A&A...664A..64G. doi:10.1051/0004-6361/202243063. 
  7. ^ Abel Mendez Torres (2014年6月25日). “Nearby Super-Earth with the Right Temperature but Extreme Seasons”. UPR Arecibo. http://phl.upr.edu/press-releases/gliese832 2014年6月30日閲覧。 
  8. ^ “ハビタブルゾーンの巨大惑星、地球型?金星型?”. アストロアーツ. (2014年6月30日). https://www.astroarts.co.jp/news/2014/06/30gj832c/index-j.shtml 2014年6月30日閲覧。 
  9. ^ Suárez Mascareño, A.; Rebolo, R.; González Hernández, J. I.; Esposito, M. (2015). “Rotation periods of late-type dwarf stars from time series high-resolution spectroscopy of chromospheric indicators”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 452 (3): 2745–2756. arXiv:1506.08039. Bibcode2015MNRAS.452.2745S. doi:10.1093/mnras/stv1441. 

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