しぜん‐せんたく【自然選択】
自然選択
自然選択
自然淘汰
自然選択説
(自然選択 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/04 15:58 UTC 版)
自然選択説(しぜんせんたくせつ、英語: natural selection)は、進化を説明するうえでの根幹をなす理論とされる。自然選択説に基づく総合説(ネオダーウィニズム)では、厳しい自然環境が、生物に無目的に起きる変異(突然変異)を選別し、進化に方向性を与えると主張する。1859年にチャールズ・ダーウィンとアルフレッド・ウォレスによってはじめて体系化された。自然淘汰説(しぜんとうたせつ)ともいう。日本では時間の流れで自然と淘汰されていくという意味の「自然淘汰」が一般的であるが、本記事では原語に従って「自然選択」で統一する。
注釈
出典
- ^ リチャード・ドーキンス 『盲目の時計職人 自然淘汰は偶然か?』 早川書房 ISBN 4152085576[要ページ番号]
- ^ Cook, L. M.; Grant, B. S.; Saccheri, I. J.; Mallet, J. (2012-08-23). “Selective bird predation on the peppered moth: the last experiment of Michael Majerus” (英語). Biology Letters 8 (4): 609–612. doi:10.1098/rsbl.2011.1136. ISSN 1744-9561. PMC PMC3391436. PMID 22319093 .
- ^ Coyne, Jerry. “The peppered moth story is solid”. Why Evolution Is True. 2021年8月7日閲覧。
- ^ ジョナサン・ワイナー 『フィンチの嘴』 早川書房 ISBN 4150502609[要ページ番号]
- ^ 『ヴォート 基礎生化学』東京化学同人社発行、ISBN 978-4807907120[要ページ番号]
- 1 自然選択説とは
- 2 自然選択説の概要
- 3 脚注
自然選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:22 UTC 版)
一部の遺伝的変異はそれを持つ生物個体の適応度(生存と繁殖)に影響する。その多くは適応度を低下させるので、それを持つ個体は子孫を残せず、変異は消失する(負の自然選択)。しかし、なかには適応度を高める突然変異もある。たとえばレンスキーらは大腸菌の長期培養実験のなかで、クエン酸塩を利用できるようになる突然変異がまれに生じるのを観察した。 適応度を高める対立遺伝子は、それを持つ個体が持たない個体よりも平均して多くの子孫を残すので、個体群内で頻度を増す。この過程を正の自然選択という。正の自然選択によって、生物個体群は世代を経るにつれてより適応的な形質を持つように進化していく。自然選択は、適応進化を説明できる唯一の機構である。 自然選択において有利になる形質は環境条件によって異なる。ヨーロッパに生息するカタツムリの一種モリマイマイの殻の色彩は変異が大きく、個体群によって色と模様が異なる。これは、生息環境によって捕食者の目を逃れるのに適した色、体温調節に適した色が異なるため、自然選択によって個体群ごとに異なる色彩が進化したのだと考えられる。形質の適応度がその頻度によって決まることもある。たとえば、もし捕食者が多数派の模様を学習し、まれなタイプの模様はあまり食べないということがあれば、ある模様の適応度がその頻度が少ないときに高くなる。このような自然選択を頻度依存選択と呼ぶ。 広義には自然選択に含まれるが、性選択も適応度に影響する。性選択は、配偶者をめぐる同性間の競争や、異性による配偶者の選り好みによって起こる選択のことをいう。たとえばコクホウジャクという鳥では、長い尾羽を持つ雄が雌に好まれるので、そのような雄の適応度は高くなる。 自然選択は個体あるいは遺伝子を単位として考えられることが多いが、かつては個体の集まったグループを単位とした自然選択(群選択あるいは集団選択)が重視されていた。かつてのような粗雑な群選択理論は今では否定されているが、グループを含む複数の階層での選択を考慮する複数レベル選択説が提唱されており、その重要性について議論になっている。
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自然選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/29 00:43 UTC 版)
詳細は「自然選択説」および「ネオダーウィニズム」を参照 ダーウィン主義の根幹となるのは自然淘汰(自然選択)という作用である。生物が住む環境には生物を養う資源(食物、営巣地など)が有限にしかないので、その環境で子孫を残すのに有利な性質を持った種族とそうでない種族とでは、必然的に有利なものが残って繁栄することになる。有利な性質を持っていることを適応していると表現し、適応していることが繁栄につながることを適者生存と表現する。この作用が自然淘汰である。 もっとも、個体変異に選択をかけても、特定の形質のものが残るだけで新たな形質の個体が生まれるわけではない。そこで、ここに突然変異を組み込み、そうしてできた新たな遺伝子を含む個体群に選択がかかることで進化が進んでゆくという考えを新ダーウィン主義という。進化に関してはそれ以後も隔離説など様々な説が提唱されたが、それらの多くは必ずしも自然選択説とは相容れないものではなかったため、自然選択説にそれらを取り入れた形の考えが現在の主流であり、これを進化の総合説(総合説)というが、ほぼ新ダーウィン主義と同義に扱われる。 一方で、繁殖の有利さには関係しないような変化も偶然浮動によって蓄積し、種の多様性を生んでいるのではないかという観点からの研究も進められている。これは中立進化説と呼ばれるが、ダーウィン主義と対立する概念ではない。ダーウィン主義は、繁殖の有利さに差がついた場合を対象としているものなのである。 現在の総合学説では進化の原動力として生殖的隔離や倍数化、雑種形成なども視野に入れ、元々の新ダーウィン主義から理論の枠組みが大幅に拡張されている。さらにこの考え方を推し進め、自然選択は進化において補佐的なものにすぎないという見方もある。例えばブライアン・グッドウィンは発生的制約は強力なため自然選択が働く余地はほとんどないと考えている。これに対して、あくまでも自然選択が進化の主要な原動力であると考える立場を、特にダーウィニストと呼ぶ場合もある。
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