レプリケーターダイナミクス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:51 UTC 版)
「進化ゲーム」の記事における「レプリケーターダイナミクス」の解説
詳細は「レプリケーターダイナミクス」を参照 レプリケーターダイナミクス (replicator dynamics) または(自己)複製子動学とは、個体群のシェアが選択圧によって変化する動的な側面を力学系を用いて表現したものであり、安定性という静的な側面を表現したESSとは対照的な概念であり、また、自然選択による集団の変化に注目したものという意味でも、突然変異に注目して考案されたESSとは対照的である。ESSとレプリケーターダイナミクスの両者は「進化ゲーム理論におけるいわば車の両輪」とされる。また、レプリケーターダイナミクスは一般化ロトカ・ヴォルテラ方程式(英語版)として捉えることもできる 集団の状態(戦略分布)を同じ確率分布の混合戦略 x で表現し、その状態における純粋戦略 i のシェアを xi で表すと、混合利得関数 u のもとで、連続時間のレプリケーターダイナミクスは以下の時間に対する微分方程式で表現される自励系である。 x i ˙ = [ u ( e i , x ) − u ( x , x ) ] x i {\displaystyle {\dot {x_{i}}}=[u(e^{i},\,x)-u(x,\,x)]x_{i}} ここで、ドット符号は時間での微分を表し(ニュートンの記法)、ei は純粋戦略 i を確率1でとる混合戦略を表す。このダイナミクスにおいては、反復強支配される戦略はシェアが0に収束し、対称ナッシュ均衡点は定常、NSSはリアプノフ安定、ESSは漸近安定となることが知られている。 また、差分方程式で表現される離散時間でのダイナミクスには、世代区分ダイナミクスと世代重複ダイナミクスとがある。世代区分ダイナミクスは背景利得を α として x i ( t + 1 ) = p i ( t + 1 ) p ( t + 1 ) = α + u ( e i , x ( t ) ) α + u ( x ( t ) , x ( t ) ) x i ( t ) . {\displaystyle x_{i}(t+1)={\frac {p_{i}(t+1)}{p(t+1)}}={\frac {\alpha +u(e^{i},\,x(t))}{\alpha +u(x(t),\,x(t))}}x_{i}(t).} で表現される。この差分方程式の下では毎回全ての個体が死滅して新しい世代が一斉に生まれることになる。代わりに、単位時間あたり r 回に分けて集団の 1 / r ずつを更新するモデルを考えよう。更新は等しい時間間隔 τ = 1 / r で、背景利得は β であるとすると、 x i ( t + τ ) = 1 − τ + τ [ β + u ( e i , x ( t ) ) ] 1 − τ + τ [ β + u ( x ( t ) , x ( t ) ) ] x i ( t ) . {\displaystyle x_{i}(t+\tau )={\frac {1-\tau +\tau [\beta +u(e^{i},\,x(t))]}{1-\tau +\tau [\beta +u(x(t),\,x(t))]}}x_{i}(t).} で表現される階数 r 世代重複ダイナミクスが得られる。 r = α − β + 1 の場合は離散時間ダイナミクスである。また、階数を限りなく大きくする (つまり時間間隔 τ が限りなく0に近づく) と、連続時間ダイナミクスに収束する。
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