いぶき2号
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/20 15:34 UTC 版)
| 温室効果ガス観測技術衛星2号 いぶき2号(GOSAT-2) |
|
|---|---|
| 所属 | 環境省 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 国立環境研究所(NIES) |
| 主製造業者 | 三菱電機株式会社 |
| 公式ページ | いぶき2号(GOSAT-2)JAXA 第一宇宙技術部門 |
| 国際標識番号 | 2018-084B |
| カタログ番号 | 43672 |
| 状態 | 後期利用運用中 |
| 目的 | 温室効果ガス観測 |
| 観測対象 | 地球 |
| 設計寿命 | 5年 |
| 打上げ機 | H-IIAロケット 40号機 |
| 打上げ日時 | 2018年10月29日13時08分 (JST) |
| 物理的特長 | |
| 本体寸法 | 5.3 m x 2.0 m x 2.8 m |
| 最大寸法 | 16.5m(太陽電池パドル翼端間) |
| 質量 | 1800 kg |
| 発生電力 | 5,000 W(EOL) |
| 軌道要素 | |
| 周回対象 | 地球 |
| 軌道 | 太陽同期準回帰軌道 |
| 高度 (h) | 613km |
| 軌道傾斜角 (i) | 97.8度 |
| 回帰日数 | 6日 |
| 降交点通過 地方時 |
13時00分±15分 |
| 観測機器 | |
| TANSO-FTS-2 | 温室効果ガス観測センサ2型 |
| TANSO-CAI-2 | 雲・エアロソルセンサ2型 |
いぶき2号(いぶき2ごう、GOSAT-2 : ゴーサット-2、Greenhouse gases Observing SATellite-2)は、日本の温室効果ガス観測技術衛星。環境省、国立環境研究所(NIES)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の3機関共同ミッションとして開発された[1]。
地球温暖化の原因とされている二酸化炭素やメタンガス、一酸化炭素の温室効果ガスの濃度分布を宇宙から観測する。2018年10月29日にH-IIAロケット40号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた[2]。2009年打上げのいぶき(GOSAT)[3]後継機として開発され、打ち上げ後は並行して両衛星とも運用されている。プロジェクト総開発費用は399億円[注釈 1][1](うち、衛星開発215億円[4]、打ち上げ費用104億円[1])で、環境省とJAXAからの折半となった[4]。
概要
GOSAT-2は2014年3月のプロジェクト移行審査を経てプロジェクトが開始された[4][1]。ミッション要求として、気候変動に関する政策への貢献を掲げ、将来予測の不確実性の低減や温室効果ガス排出量の監視、排出源モニタ、PM2.5のモニタなどを通して、排出量削減目標や排出量削減努力の評価・大気汚染に関する政策への貢献が期待された[4]。
衛星本体、センサ、地上系設備、打ち上げについてはJAXAが担当し、アルゴリズム開発・データ処理・配布をJAXAと国立環境研究所が分担、環境省が行政利用する体制となっている[4]。
設計寿命の5年を超過した2023年12月26日にプロジェクト終了審査会が実施され、定常運用を終了して後期利用に移行した[4]。プロジェクト終了審査時点では太陽電池パドル回転機構やバッテリセルの残寿命が5年程度あると見積もられている[4]。
運用史
計画
- 2011年(平成23年)7月 - GOSAT後継の検討することで環境省、JAXA、国立環境研究所で合意[5]。
- 2012年(平成24年)
- 2014年(平成26年)3月11日 - プロジェクト移行[1][注釈 2]。
運用
時間は日本時間。
- 2018年(平成30年)
- 2019年(平成31年)2月1日 - 定常運用に移行[9]。
- 2024年(令和6年)1月16日 - JAXA理事会議でプロジェクト終了審査が実施され、後期利用運用段階へ移行した[1]。
設計
ミッション部
- TANSO-FTS-2(温室効果ガス観測センサ2型)[10][11]
- バンド1(観測対象:O2)
- 波数:12,950-13,250 cm-1
- バンド2(観測対象:CO2、CH4)
- 波数:5,900-6,400 cm-1
- バンド3(観測対象:CO、CO2、H2O)
- 波数:4,200-5,200 cm-1
- バンド4(観測対象:CH4、H2O)
- 波数:1,188-1,800 cm-1
- バンド5(観測対象:CO2、温度)
- 波数:700-1,188 cm-1
- バンド1(観測対象:O2)
- TANSO-CAI-2(雲・エアロゾルセンサ2型)[12]
- 前方視
- バンド1(観測波長:0.339μm)
- バンド2(観測波長:0.441μm)
- バンド3(観測波長:0.672μm)
- バンド4(観測波長:0.865μm)
- バンド5(観測波長:1.630μm)
- 後方視
- バンド6(観測波長:0.377μm)
- バンド7(観測波長:0.546μm)
- バンド8(観測波長:0.672μm)
- バンド9(観測波長:0.865μm)
- バンド10(観測波長:1.630μm)
- 前方視
バス部
脚注
注釈
- ^ プロジェクト開始時は404億円の計画だったが、KhalifaSatが相乗りとなり打ち上げ費用が5億円低減された
- ^ 当初は2018年1月末に打ち上げる計画だった
出典
- ^ a b c d e f “温室効果ガス観測技術衛星2号 (GOSAT-2) プロジェクト終了審査の結果について|令和6年2月26日 宇宙開発利用部会 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 |第83回 宇宙開発利用部会”. 文部科学省 (2024年2月26日). 2025年3月22日閲覧。
- ^ 「いぶき2号打ち上げ 温室ガス、全地球観測へ」『産経フォト』2018年10月29日。2023年11月30日閲覧。
- ^ 「JAXA、温室効果ガス観測衛星「いぶき2号」公開 センサー精度10倍」『日刊工業新聞』2018年8月13日。2023年11月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “温室効果ガス観測技術衛星2号(GOSAT-2)プロジェクト移行審査の結果について 平成26年7月23日 宇宙航空研究開発機構|第16回 宇宙開発利用部会”. 文部科学省 (2014年7月23日). 2025年3月22日閲覧。
- ^ a b “「GOSAT-2プロジェクト準備チーム」の設置について”. cger.nies.go.jp. 2025年10月20日閲覧。
- ^ “JAXA | 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)のクリティカル運用期間の終了について”. JAXA | 宇宙航空研究開発機構. 2025年10月20日閲覧。
- ^ “JAXA | 「いぶき2号」搭載 雲・エアロソルセンサ2型(CAI-2)の初画像取得について”. JAXA | 宇宙航空研究開発機構. 2025年10月20日閲覧。
- ^ “JAXA | 「いぶき2号」搭載 温室効果ガス観測センサ2型(FTS-2)の初観測について”. JAXA | 宇宙航空研究開発機構. 2025年10月20日閲覧。
- ^ “「いぶき2号」(GOSAT-2)、定常運用開始”. JAXA 第一宇宙技術部門 サテライトナビゲーター. 2025年10月20日閲覧。
- ^ “温室効果ガス観測衛星2号(GOSAT-2)|三菱電機技報2019年02月号”. 三菱電機 (2019年2月). 2025年3月22日閲覧。
- ^ “温室効果ガス観測技術衛星2号(GOSAT-2)のミッション機器|三菱電機技報2016年Vol.90”. 三菱電機 (2016年). 2025年3月22日閲覧。
- ^ “地球観測データ利用ハンドブック (GOSAT-2/いぶき 2 号) 初版2020 年 10 月 |国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 国立研究開発法人 国立環境研究所”. JAXA (2020年10月). 2025年3月22日閲覧。
関連項目
- いぶき2号のページへのリンク