高野版板木とは? わかりやすく解説

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高野版板木

主名称: 高野版板木
指定番号 106
枝番 0
指定年月日 2000.06.27(平成12.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 歴史資料
ト書
員数 486
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文: 本件は、鎌倉幕府三代将軍源実朝および北条氏累代菩提を弔うために北条政子勧めて秋田城介安達景盛あきたじょうのすけあだちかげもり】(?-一二四八年)が建立した金剛三昧院伝来する板木である。
 これらの板木景盛孫泰盛(一二三一-八五年)が願主となって開版した鎌倉時代当初開版中心に近世近代開版含めて都合四八今日伝えている。
 体裁は、材を用い基本的に横長平板で、両面陽刻にて彫成している。中世開版板木多く巻子装【かんすそう】版形式主流であるが、粘葉装でっちょうそう】版形式大和綴装【やまととじそう】版形式等を併せて伝存する遺例はまれで、高野版特徴伝えて注目される
 その中心占めるのは『大日経疏だいにちきょうしょ】』二〇巻で、巻第一に「建治三年丁丑五月四日 於金剛峯寺信藝書」「弘安元年十一月十一日 金仏子良和記之」、同巻第十九には「弘安二年四月四日 於金剛峯寺信藝筆」の刊記あるよう鎌倉時代建治三年一二七七)から弘安二年(一二七九)にかけて版下書写されて開版されたことが判明するまた、巻第二十も形態等から同時期のものと思われるこのように開版関わる具体的な経緯判明する事例は他にはみられず、彫成過程をうかがううえで興味深い
 これを時代別にみると建治三年から弘安二年の当初の彫成になるものが二七南北朝時代貞和五年(一三四九)の再刻版が三八桃山時代一五で、都合三三二枚数える。
 加えて弘法大師撰述になる『十巻章【じっかんしょう】』の『即身成仏義そくしんじょうぶつぎ】』『声字実相義しょうじじつそうぎ】』『吽字義【うんじぎ】』『弁顕密経論べんけんみつにきょうろん】』『秘蔵宝鑰ひぞうほうやく】』『般若心経秘鍵はんにゃしんぎょうひけん】』の六種五〇鎌倉時代板木存在確認された。
 この他江戸時代開版真言教義注釈書三教指帰文筆解和鈔【さんごうしいきぶんぴつかいわしょう】』、あるいは学匠聚勝【じゅしょう】が享保十九年(一七三四)に撰述した『施餓鬼法修習用心集』や寺院運営に際して明治時代開版された寺具版(『勧進記』『弘法大師御影』など)が一括現存していることが明らかとなった
 このように中世から近世・近代に至るまで継続して開版された経緯、およびその伝来等から、わが国印刷文化史研究上に貴重であり一括保存するのである

高野版板木

主名称: 高野版板木
指定番号 107
枝番 0
指定年月日 2000.06.27(平成12.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 歴史資料
ト書
員数 5488
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文: 本件は、金剛峯寺管理になる勧学院奥の院伝来したもので、金剛三昧院所蔵板木と共に高野版板木として著名なのである
 『紀伊続風土記』(巻二)所収になる『永正十八焼失記』等によれば永正十八年(一五二一)の山内寺院火災に伴い板木保存・管理していた経蔵類焼し、その多く灰燼となったことがうかがわれる
 勧学院に伝わる板木体裁は、材を用いるなど基本的に金剛三昧院所蔵板木とほぼ同様の形態で、幸いにして焼失免れた鎌倉時代から室町時代開版板木の他、焼失後に開版された天正三年一五七五)の刊記有する三中不同鈔』や真言教学の主要教典として知られる蘇悉地経そしつじきょう】』『瑜祇経ゆぎきょう】』『金剛頂経こんごうちうきょう】』『要略念誦ようりゃくねんじゅ】』『大日経』の五部秘経まとまって現存する他、教典類、注釈書法要次第、寺誌類など多岐にわたる近世開版板木明治期開版の『大塔興廃略記』などを含めて都合五四三枚今日伝わっている。
 特にその中心占め近世開版板木の彫成過程について、従前には必ずしも明確ではなかったが、その出版事業についての具体的な実態明らかになった。
 即ち、高野山学侶直轄書林であった永寧書林山本平七松壽院経師しょうじゅいんきょうじ】・八左衛門山城屋茂八の他、山本長兵衛藤田半兵衛らの版元名や経師名が確認され山内印刷書林存在し、さらに高野山学侶監督下で京都洛陽書林大坂方面版元発注依頼して開版したことが判明し近世における高野版開版経緯具体的に伝えて注目される
 近世開版板木は、版元から完成後に板木表面保護するために板を付して納めたことが判明した。この板には納品年次版元名などが墨書され、希有な事例として特記される。
 この他奥の院には、『十三仏像』(寛政五年開版)、『弘法大師像』など五板木現存し少数ではあるがいずれも同院における弘法大師信仰実態伝えるものである
 火災によって中世開版多く焼失したことは惜しまれるが、焼失後に教学振興策一環として精力的に開版し、かつその開版経緯が明らかであると共にこのようにまとまった現存遺例は稀であり、金剛三昧院所蔵板木と共に高野版板木の一括現存する事例としてわが国印刷文化史研究上に貴重である。
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