軍事、地政学観点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 23:56 UTC 版)
「今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄」の記事における「軍事、地政学観点」の解説
英国王立防衛安全保障研究所の日本特別代表秋元千明によれば、地政学観点からは、沖縄は中国海軍が「沖縄県の宮古島と沖縄本島の間の広い海域を抜けるルート」となるため、中国が沖縄県の一部の領有を主張する背景には太平洋進出の拠点を確保しようとする軍事的思惑があることは間違いないとしている。 2019年6月には日本から元自衛艦隊司令官の香田洋二、米国から元在沖海兵隊外交政策部次長のロバート・D・エルドリッヂ、台湾から元国防部長の蔡明憲(中国語版)、警察大学教授の李明崚の日本、米国、台湾の軍事専門家でのフォーラムが開催され、中国が台湾に侵攻する場合、先島諸島に軍事攻撃を行うと予想も想定された。 中山義隆石垣市長は、尖閣諸島が中国に占領された場合、尖閣諸島を起点に挟み撃ちにして中国が台湾を軍事攻撃する可能性に島田勝也、浦添市長の松本哲治との対談の中で言及した。 中山泰秀防衛副大臣は米シンクタンク、ハドソン研究所のリモート討論で台湾を友達よりもより親密な「家族」だと形容し、「台湾に何か起これば、それは沖縄県に直接的に影響を与える」と述べた。中華人民共和国外務省報道官は「日本は台湾問題の言動に注意すべき」と抗議した。 2021年7月5日、麻生太郎副総理兼財務相は香港に対する中国の強権的統治に対し「同じことが台湾で起きない保証はないと考えると、台湾の次は沖縄」「台湾海峡は石油に限らず日本の多くの輸出入物資が通る」と述べた。これに対し、環球時報国際版のGlobal Timesは「日本が中国のレッドラインを越える限り、人民解放軍は反撃するしかない。」とした。2021年7月6日、中国外務省の趙立堅副報道局長は「誤っており、危険だ」「一部の(日本の)政治家は今日もまだ台湾に欲を持っている。歴史から教訓を得ていないことを見せている」と述べた。台湾の外交部の欧江安報道官は6日、国際社会や各界の友人が台湾海峡の平和と安定に引き続き関心を寄せているとして歓迎する立場を示した。 日本防衛省防衛研究所主任研究員山口信治はボイス・オブ・アメリカのインタービューに「中国が東シナ海や南シナ海で頻繁に行っている軍事演習は、日本に大きなプレッシャーを与えており、その結果、日本の当局者は、中国が強引に台湾に侵攻してきた場合、日本も参戦しなければならないという考えを受け入れている」「台湾海峡で戦争が起こった場合、地理的に最初の対応をしなければならないため、沖縄は重要な舞台である。さらに、軍事的な観点からも、第一列島線の重要性が増しています。米中の対立が深まれば深まるほど、沖縄の戦略的重要性は高まる。」と述べた。 山口信晴は、日米台の三国間軍事協力の必要性はすでに明らかになっているという。また、第一列島線の戦略的重要性や、中国が台湾海峡に大規模な侵攻を仕掛けてくる可能性が高まっていることを踏まえ、中国の侵略を抑止するためには、日米台の緊密な協力が必要であると述べた。 沖縄国際大学の野添文昭は、ボイス・オブ・アメリカとのインタビューで、「中国の軍事力の増大に伴い、西太平洋における米国の軍事的優位性は以前とは異なるものになっており、日本との軍事協力が不可欠であり、その中でも沖縄は最も影響を受けやすいと述べた。台湾で有事が発生した場合、日米政府間で協議の上、沖縄の基地からの反撃が必然的に行われ、その後、中国による嘉手納基地へのミサイル攻撃や沖縄各地へのサイバー攻撃が行われる。」と述べた。 台湾の蔡英文は2019年以降、日台間で安全保障対話を開始したいとの意向を示しており、日本の新内閣が発足した昨年、岸信夫防衛大臣は産経新聞を通じて、日米台で安全保障対話を開始することを期待すると述べた。 2021年7月7日、前統合幕僚長河野克俊は「日本は世界の安全保障の最前線にあり、台湾海峡問題の平和的解決が最大の前提条件だが、困ったときには台湾を支援することが日本の国益になる」「また、中国の海洋侵略に対抗するために、日本、米国、インド、オーストラリアが協力する枠組みである日米豪印戦略対話(Quad)の意義は、経済関係や互恵関係よりも、中国の海軍力を封じ込め、中国に価値観の変更を迫る軍事的な意味合いが強い」と述べた。 2021年12月1日、台湾の研究機関が主催するイベントでオンライン講演で、安倍晋三元首相は「台湾有事は日本有事だ。すなわち日米同盟の有事でもある。この認識を習近平国家主席(共産党総書記)は断じて見誤るべきではない」と述べた。同年12月15日、中国の馬暁光報道官は「台湾は中国の一部であり、日本の一部ではない」「軍国主義の衣鉢を継いで中国の主権や領土を破壊すると妄想し、勝手気ままに『台湾独立』勢力を支持するのならば、それは見込み違いだ」と反発した。これらの発言に対し元大阪府知事で弁護士の橋下徹は、「沖縄でどうするんだってことを本気で議論しなきゃ」「もし日米同盟に対する有事だってことになると確実に沖縄の米軍基地が攻撃されるんですよ」と述べている。 2022年3月5日自衛隊前統合幕僚長の河野克俊は「経済が発展した中国が海洋に進出するのは必然」と述べた。また、沖縄を含む日本列島と台湾が障害となり、「(中国は)沖縄占領はできるならやりたいと思っている」とした。
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