若年の性行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 14:34 UTC 版)
コンドームメーカーのDurex社は主要国の初体験の統計を発表している。2005年の報告では全世界平均が17.3歳、一番年齢が高いインドが19.8歳、日本が17.2歳、アメリカが16.9歳、最も低いアイスランドが15.6歳であった 。 婚前交渉が一般化した近年、「初体験を済ませる年代が低年齢化している」とも言われるが、この主張は正しくないとされる。なぜなら、上述のように、過去において筆下ろし、水揚げといった形で早い時期に性体験が行われていた事実があるからである。赤松啓介ら一部の民俗学者が、この点を指摘している。正しくは、性体験における性別や階層による差が縮小しただけと考えたほうが良いとされる。妊娠、性感染症などに関する知識も不十分なまま、好奇心あるいは金銭を得る目的で性行為を行うことは、将来に悪影響を残しかねないが、学校での性教育も、こうした事態にうまく対処できていないのが実情である。 自分またはパートナーが10歳代以下の時は男性器・乳房のタナー段階がVの状態だけでなくI−IVの状態をパートナーに見られたり接触されたりする、自分が見たり接触する場合もありえる。 10歳代では複数のパートナーと性行為を行うケースが多く、パートナーも多様化している。新しく出会ってから性行為に至るまでの期間も短いのが特徴。さらにパートナーが避妊具を拒否するなど避妊無しの性行為の割合が高く、その為に妊娠し、人工中絶をする女性が多い。 10歳代は妊娠に気づくのが遅く、中期中絶の割合が高い。妊娠中毒症・早産・低体重児になりやすい、分娩時間が長い、出血量が多く、10歳代前半はその可能性が高く合併症を伴う場合もある。10歳代では性感染症の合併が多い。「十代の出産」も参照 脳科学者の澤口俊之は、女性は思春期での妊娠・出産が、母子ともに悪影響を及ぼすと共に最初の性行為が早いほど高校を中退したり、大学に進学しなかったりする確率が高くなるとして、「女性は思春期の恋愛期間の性行為をすべきではない」と唱えている。 早期の性行動に関しては様々な調査がある。2005年、社会疫学者の木原雅子が分析を担当した全国高等学校PTA連合会による約1万人を対象にした調査では、高校3年の男子30%、女子39%が経験済みと答えている。また、2002年の東京都内の生徒約3000人の性調査によれば、高校3年の男子の37.3%、女子の45.6%がセックスを経験済みと答えている。これを理由に、性の低年齢化が都会を中心に進んでいるとの主張があるが、これも正しくない。もともと性行動に関しては地域差が見られ、地方は初体験年齢が都会に比べ低いと指摘される。宮台真司は、青森市のテレクラでハントを試みた際、少女に特別の付加価値が付かなかったことを『まぼろしの郊外』で述べている。また、青森市出身の畑山隆則はこの件に関し、「寒いから外ですることがない。結果、屋内でそういうことになる」と述べている。データでも、群馬県のぐんま思春期研究会が2000年に行った約6000人を対象にした調査では、高校3年の男子46.1%、女子42.2%が経験済み、2000年の秋田県性教育委員会の男子197名、女子264名を対象とした調査では高校3年で男子47%、女子50%が経験済みと出ており、また旭川医科大学の公衆衛生学教室による2004年の発表では性感染症を発症していない1年から3年の高校生3200人に対し質問と尿に対する遺伝子検査によって調査を行ったが、それによれば性体験の経験率は男子は35.8%、女子は47.3%であり、うちクラミジアの感染率が男子が7.3%、女子が13.9%であったという報告もある。 日本性教育協会第7回青少年の性行動調査によると性交の経験が、大学生は1974年から2005年まで増加傾向であったが、2011年の調査では減少している。高校生は1970年代から1980年代にかけては微増、男子は1993年から1999年にかけて急激に増加後2005年にかけてはほぼ横ばい、女子は1993年から2005年にかけて急激に増加、2011年は男女とも減少傾向であるが女子の方が経験が多い。中学生は男女ともどの年代も2-4%の経験者がいる。 初体験をより早く済ませることを同年代の者に誇り、そうでないものを見下したり、コンプレックスを感じさせたりするような風潮が問題視されることもある。キンゼイ報告によれば、性体験の早さと学歴・所得の間には明らかな反比例の関係がある。もっとも、キンゼイ報告自体、調査方法に問題があったとの指摘もあり、また、1940年代、50年代のアメリカだからこそ、そのような反比例関係が存在したのであって、現代においては必ずしも学力には比例しない。それよりも、内陸部か西海岸かといった地域による差が大きいといわれる。 幼児のうちから異性のプライベートゾーンを見る者もいる。日本では、家庭で両親が異性の子と一緒に入浴や着替えを行うことは一般的であるし、異性の兄弟姉妹がいる場合は、彼らのプライベートゾーンを見ることもある。また、家庭以外でも保育所や幼稚園などでの着替えや健康診断などで異性のプライベートゾーンを見ることがある。これらはプライベートゾーンに対する知識を習得することで、異性のプライベートゾーンを見る機会も次第に減少する。
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