第2巻「戦略輸送(キャラバン)333」
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「戦場ロマン・シリーズ」の記事における「第2巻「戦略輸送(キャラバン)333」」の解説
初版 1979年9月25日(ISBN 978-4253063838) 戦略輸送333 アメリカ陸軍航空隊のパイロット、ロッキー・チェンバレンとジャック・ホーソンのコンビ物。ロッキーとジャックらは、わざと酒場で喧嘩を起こし懲罰房で兵役期間が過ぎるのを待っていたが、超過荷重の単独輸送飛行の任務を押し付けられてしまう。オンボロのC-47、しかも離陸できたのも不思議なくらいの超過荷重でアルプス山脈越えをしているところに、ドイツ空軍戦闘機隊が襲い掛かってくる。追い詰められたロッキーたちは、レジスタンス向けの積荷を開け武器を持ち出して反撃する。戦闘機隊を全滅させて基地に戻ってみると、武器供与を受けられなかったレジスタンスは奮戦むなしく全滅したとの報告。本来ならば極刑モノのところ戦闘機隊全滅の功績に免じて兵役期間延長の「温情」評決が下されるのだった。 ロッキーとジャックは、スター・システムとして『QUEEN1313』『銀色の照星』といった他の新谷作品にもそのままの名前のコンビで登場している。 復讐の急降下 ウォルフガング・ミッターマイヤー少佐はJu 87乗りだったが、対空ロケット砲を増設したソビエト戦車に撃墜された。ミッターマイヤーは無事に脱出したがソビエト戦車兵は捕虜にはせず、ミッターマイヤーを地面に縛り付け、両腕を戦車の無限軌道で踏み潰した。ミッターマイヤーは失血死寸前で味方ドイツ軍に救出されたものの、両腕の無い急降下爆撃機乗りに回すような機体は無く、ベルリン陥落を迎える。老いた整備兵がミッターマイヤーにターボプロップエンジン、2重反転プロペラの試作機を提供する。傍受した無線で件のソビエト戦車兵がベルリンにいることを知ると、ミッターマイヤーは矢も盾もたまらず出撃し、急降下爆撃を加える。しかし降下速度が速すぎ、引き起こしが出来ず試作機もろともソビエト戦車に体当たりすることになってしまう。老いた整備兵は、開戦直後にミッターマイヤーが自宅を誤爆したことで家族を失っており、欠陥の試作機を渡すことでその復讐を果たしたのであった。 出戻り安兵衛 特攻要員でありながら安兵衛は毎回帰還してくる。しかも毎回戦果を上げて。大阪の菓子屋の息子である安兵衛は帰ってくると出撃までの合間に饅頭を作って基地内に振舞い、出身の違う兵の感想から研究を重ねていた。司令はそんな安兵衛から落下傘を取り上げ、爆弾を投下できないようにまでするが、それでも帰ってくる安兵衛を一方的に叱責し、かばった直掩隊の藤本まで特攻隊に入れてしまう。そんな中で訪れた終戦。納得いかぬまま飛び出した藤本機のエンジンを撃ち抜いて止めた安兵衛だったが、自らは故障で直進飛行しかできなくなり、落下傘降下もできず、ついに戻れなくなって雲の中へと消えていった。 Oh ラッキーガール ロッキー・チェンバレンとジャック・ホーソンのコンビ物。太平洋戦線で爆撃任務に就いているロッキーとジャックが乗るB-25「ラッキー・ガール」のノーズアートは死んだ仲間が描いた物だったが、新任の司令官はそんな縁起担ぎはやめて防弾板を張り付けろと命令する。押し問答の末、足だけは隠さずにすんだ「ラッキー・ガール」は、零戦隊が待ち受ける大空へと飛び立つ。任務は果たしたものの、満身創痍な上に未投下弾まで抱え込んでいたが、ロッキーは「ラッキー・ガール」の足が無傷なことを確認すると恐れることなく着陸を敢行する。「ラッキー・ガール」は無事着陸し、防弾板を引っぺがしてみると、被弾の衝撃で塗装が環形にはがれたその姿は、ガールというより後光をまとった女神に昇格していた。 ハリケーンキャット 夜間にホーカー ハリケーンをフェリーフライトしてきたのは、女性のカトリーヌ・ストレイカー少尉だった。しかし、そのハリケーンに乗るべきパイロットはしばらく前のドイツ空軍の攻撃で死んでいた。少尉は夜空を見上げ「でも敵討ちはできそうね」とハリケーンに乗って飛び立つ。ドイツ機襲来の警報が流れたのはその直後だった。だが、カトリーヌは夜空の中で次々と敵機を見つけ、撃墜していく。基地のコマンスキー中尉はそんなカトリーヌに興味を持つ。 イカロスの飛ぶ日 大日本帝国海軍航空隊の試作高高度戦闘機キ-888は、パイロットの神崎や開発者の平野らの苦難の末、上昇限度18,000 m(設計値)、30mm機関砲ホ155をプロペラ軸内に装備という、アメリカ空軍の高高度爆撃機B-29を撃墜できるほどの高性能を得た。しかし、既に日本にはキ-888を量産するだけの国力も資源も無く、キ-888の開発中止と試作機は解体して既存量産機の部品とされる決定が通達される。同じ頃、神埼の許婚・優子もまた、抗生物質の不足などから治せるはずの病でその命を終えようとしていた。そして神崎はアクリルのケースを作り、ケースに入った優子の魂と一緒に不用となったキ-888に乗り、どこまでも高く飛んで行った。
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