甲府道祖神祭礼の開始と広重の来甲とは? わかりやすく解説

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甲府道祖神祭礼の開始と広重の来甲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 06:23 UTC 版)

甲府道祖神祭礼」の記事における「甲府道祖神祭礼の開始と広重の来甲」の解説

甲府城下における道祖神祭礼の存在17世紀段階から確認され道祖神祭そのもの起源古く遡る可能性考えられている。 甲府道祖神祭礼に関する記録宝暦2年1752年成立の『裏見寒話』をはじめ、文化13年1816年)の『日本九峰修行日記』、天保12年(1841年)の歌川広重甲州日記』、嘉永3年1850年成立の『甲斐手振』、慶安2年1866年成立の『甲州道中記』などに見られる十四日より十五日に亘る道祖神祭九日十日頃より町在共に、辻々へ古き長持の上に小き社を上げ獅子頭持出し太鼓を打、十三日に至て、未だ妻を迎へさる者集り三四間ある材木の上山車を飾る(是をお山といふ)譬へは、武蔵野猿舞抔の類也、扨四方へ縄を張り枝垂柳抔を色紙にて拵へ飾る、前年婚儀せし者をねたりて鳥目初穂イ)を出さしむ、其多寡を争ふて口論に及ひ、聟の家財毀し売買の品を損さす、町長の者制すれ共聞かす、伝へ云、十三日より十五日に至ては道祖神の霊、無妻の者に乗り移り騒動せしむ、是を堅く制すれは、神の咎を禀くと、是に依て若き者共傍若無人なる事甚し老年にても独身の者は、此若き者共与して道路に立、只婚儀のみに非ず、摠ての吉事ありし者より、鳥目を出さしむ、扨十四日黄昏に及ひ、家々軒下獅子頭を荷ひ来りて舞唄ふ、口論有れは此獅子は舞はしと云、則相手の者閉口す、寺社門前と雖も又同じ、光沢寺門前等は一向宗たるを以って松飾等之れ無しといへ共、獅子舞来り賀す、幟鳥居の額には正一位道祖大神宮とあれ共神修験もかゝはらす、希異なる祭也、近年甲府祭礼殊の外美麗にして、辻々に大きな屋台飾り十二三歳の子綺羅尽くして歌舞伎をなす、囃し方の者は皆大人也、近江八景をうつし、大坂四橋の体、勢州内外の宮、色々金銭をかけて美飾を成して遊興す、見物男女市巷に充満して其賑かなる事筆紙尽くし難し、又寺院等を借りて芝居狂言の催抔あり、古府中は下府中程には無りしと云、 — 『裏見寒話十五晴天昼時より甲府町へ道祖神祭礼俄見物に行く。注連竿町々に飾り俄狂言あり。歌舞伎狂言如く組立て、後に直ち俄になして興行する事也、此組立て六ヶ所にあり。其内伊勢の宮廻り、合の山の仕立甚だ面白し。町三丁計りの間に中宮下宮天の岩戸など拵へたり天の岩戸真暗がりに囲ひをなし、高さ四尺計りにして奥へ行く事十四五間と覚ゆ行きぬけ見れば人家の裏畠けなんにも無き所也。爰に一同笑ひ出づる也。内宮には飾り立てた中に琉球芋三宝盛り飾り外宮には簾の如く藁筵掛けあり。夫より合の山へ出れば男共女のかつらにて女形仕立て赤前垂れなどにて三味線を引くやら、さゝらを鳴らすやら、又茶屋より参詣の者を引入れ菓子、酒、吸物等を出せり、是は施行なり。又築山泉水の形ちあり。此の所得駅、手洗鉢置石等は人を裸にして彩色をなし形を造りたる物也。未だ余寒強き甚だ難渋ならんと思ふ。其外見せ物、作り物多し夕方帰り休息す。 — 『日本九峰修行日記いずれも甲府道祖神祭礼華美な実態伝えており、『日本九峰修行日記1月15日条に拠れば注連飾り巡らされ城下各地では狂言演じられ巨大迷路人々女装して庭園植木置石仮装して名所風景再現するなど、様々な趣向凝らされていたという。また、甲州道中記』では大通りオヤマ飾り物)や幕絵の様子記され当日子供道行旅人から賽銭ねだっていたという。 甲府道祖神祭礼は幕絵で大通りを飾る習慣特異とし、これは全国的に類例見られない天保12年(1841年)の歌川広重甲州日記』において初め確認され広重甲府道祖神祭礼の幕絵製作のために甲府町人招かれて来甲し、幕絵で大通りを飾る形態道祖神祭礼は翌天保13年正月からであると考えられている。 『甲州日記』に拠れば広重天保12年4月2日江戸出立し4月5日甲府到着しており、日記記される4月23日までは緑町一丁目甲府市若松町)の伊勢屋栄八宅に滞在している。日記後半部分では同年11月13日から20日まで甲府滞在しており、20日甲府出立し江戸へ帰還している。広重甲府町人から歓待され幕絵製作のほかいくつかの作品残しており、『甲州日記』には甲斐名所スケッチ記されていることから、各地遊歴したと考えられている。また、甲州日記においては亀屋座での芝居見物料理屋での接待など遊興行っている点も甲府城下の活況を示す記述として注目されている

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