民間派生型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:48 UTC 版)
「スプリングフィールドM14」の記事における「民間派生型」の解説
M14の民間型M1Aは、米国でもライフル愛好家の中では上位を争う絶大な人気を誇る銃であり、様々なカスタムが可能な汎用性の高い銃であることでも有名である。技術の新旧を織り交ぜた個人の趣味に合わせた構成も可能である。 Standard M1A、Loaded Standard M1A、National Match M1A、Super Match M1A、M21 Tactical、M25 Tactical、M1A Scout Squad Rifle、SOCOM 16、SOCOM II など、多種多様な各派生型が生産販売されている。 M1A 詳細は「M1A」を参照 M14のコマーシャル(民間向け)モデル。銃身精度の高いものや銃身の太さ・材質の違い、引き金の重さと切れの調整、銃床の材質や形状の違いと機関部との接合部分のベディング加工の有無などで広い選択肢があり、販売価格の幅もグレードによって、かなり上下差がある。 M1Aは元来、民生用に民間会社であるスプリングフィールド・アーモリー社(スプリングフィールド造兵廠ではない)で製造されており、米国の法に沿って、フルオート機能が排除されている。米国でも退役軍人などを中心に人気の高い銃の一つである。それ故、退役軍人なども多い一部法執行機関用(BATFEなど)の他、狩猟用、スポーツ射撃などにも熱心に使用されている。 銃規制の厳しいカリフォルニア州でも、マズルブレーキの装着などで合法的に販売が継続されている。民生用であるため当然ながら上記のように各種デザイン仕様が存在するが、そのベースモデル(スタンダードモデル)は軍用M14のフルオート省略版と考え差し支えない。 日本でも、各部の改修・変更を適宜実施し、用途目的に合致する明白な根拠がありさえすれば、狩猟用途に所持許可を得ることができた(ただし、昨今では各都道府県公安委員会の判断にもよる)。なお既存の所持許可は更新により継続されているものの、公安当局の判断により新規取得はもちろん他者への譲渡・譲受は不可能とされる。そのため現在の所持者一代限りの許可であり、いずれは許可返納・廃棄などで国内から淘汰されるものと思われる。 スカウト・スクワッド・モデル この銃が製作されるきっかけになった一つの事例が記録写真で鮮明に残されている。ベトナム戦争時代に南ベトナム解放民族戦線が米軍から鹵獲したM14の銃身を切り詰め、SKS小銃のフロントサイト廻りを移植した改造ブッシュガンの写真である。本銃製作のヒントとなったものである。 スプリングフィールド・アーモリー社で生産される前記M1Aの派生型の一つで、銃身基部の薬室付近に上下分割式のマウントベースを挟み込んで装着している。米国では、機関部より前に接眼距離の長い低倍率の光学照準器を装着し、銃身が短めのライフルを「スカウト・ライフル」と呼ぶ習慣があるので、特に非民間用という銃ではない。別名「ブッシュ(茂み・ボサ藪の意)ガン」であり、本来は見通しがあまり良くない土地での狩猟用ライフルである。同様に、機関部前にスコープマウントを加工をした、ボルトアクション方式の狩猟用「スカウトライフル」が米国では広く存在する。 日本の国内法の銃身長の規定の関係から、22インチ(約559mm)銃身のM1Aにこのマウントを取り付けた銃も、かつて日本に狩猟用ライフルとして輸入販売された実績がある。スプリングフィールド社が「偵察狙撃分隊」の存在を観念的に意識して、イメージと営業戦略上「squad」を加えて命名したモデルである。流石にScout Squadモデルでは、許可行政担当部署の誤解を招くことが容易に想像できたため、輸入元では「スコットジャパン」という風変わりな名称を用いていた経緯がある。 セージ・インターナショナル Mk14 EBR 軍、警察向けにショットガンなどのカスタムモデルやパーツを製造しているSage社のM14。EBRは"Enhanced Battle Rifle"の略。多段階伸縮可能なスピードストック(同社製)を含むストックバリエーションや、レールシステムの組み込まれたアルミニウムシャーシにM14の機関部をそのまま搭載するなど、あくまで外装部品であり、銃としての性能は内蔵されるM14、M21、またはM1Aの性能に準拠する。 セミオートマチックのライフルでありながら、ボルトロック機構を搭載したモデルも存在している。一発撃つごとにコッキングする必要はあるが、サプレッサーやサブソニック弾との組み合わせによって高い静粛性を発揮できる。無論、民間ではサプレッサーの入手が困難であるため、明らかに軍隊向けのデモンストレーションである。 トロイ・インダストリーズ SOCOM Mk14 Mod0 上述のセージ社製Mk14 EBRのレプリカ品。 引き出し式伸縮銃床(スピード・ストック)、独立式ピストルグリップ、上下左右にピカティニー・レールを備えた金属製フォアエンド・ストックを持つ、全面的に近代化された現代アサルトライフル風の外観を持ちながら、既に戦闘実績による能力証明済みのM14を内蔵したライフル。 軽量なアルミニウムでできた多数の肉抜き穴を備えたシャーシは、木製銃床に比べて重量の増加を最低限に抑えている(ノーマルのM14が5.2kg、EBRストック付きのM14が5.1kg)。 ストックにはバリエーションがあり、上記スピードストック、M4A1と同じ規格のリトラクタブルストック、リトラクタブルストックを左サイドに折り畳むフォールディングストック、更にオリジナルのM14とほぼ同じソリッドタイプのストックが用意されている。 TROY M14 Modular Chassis Systems M14近代化コラボレーションモデルの最新型である。近代アサルトライフル化モデルで、一見すると元のM14の原型を全くとどめていない。 これはTROY製SOPMODストックを単品販売した際、取り付けに若干の加工を必要とするため加工無しで取り付けられるようにデザインした結果である。
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