形状の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/20 16:39 UTC 版)
カムシャフトの構成要素としてカム山の頂点の高さ、カム山の幅の広さ、カムシャフト側の円周の直径(ベース円)とカム山高さとの比率などが挙げられる。 最初からハイカムとして製造されたカムシャフトは、カムシャフト側の円周の直径(ベース円)は変化させず、カム山の頂点をノーマルよりも高くすることでバルブリフトを高くし、カム山の幅を広くすることで作用角を増大させている。カム山の幅は回転方向に対して前面側を広げることでバルブの開くタイミングを早め、回転方向に対して後方側を広げることでバルブの閉じるタイミングを遅くすることができる。IN、EX側双方のバルブタイミングを変化させることでバルブオーバーラップも変化させられるようになり、場合によってはカム山の頂点の位相自体をノーマルよりも大きくずらしてさらなるプロフィールの変化を狙う場合もある。ビレットから削り出す場合、これらの組み合わせの選択により、原則としてはバルブの開いている時間を長くして、より多くの混合気や排気ガスを吸排気できるようにすることを目的に新造される。 逆に、純正のカムシャフトを加工する場合には、カム山ではなくカムシャフト側の円周の直径(ベース円)を小さく再加工することで、実質的なバルブリフト量を増大させることができる。例えばロッカーアームを用いない(=ロッカー比1:1の)直打式DOHCのカムシャフトにおいて、ベース円を1mm切削すると、加工前と同じカム山の高さでも1mmバルブリフト量が増大し、作用角も切削量に比例してより増大する方向に変化する。しかし、ベース円を切削した分だけタペット隙間が広がるため、タペット再調整をするには、シム式タペットの場合にはより厚手のシムが必要となり、バルブトレインの重量が増大する要因となる。また、ネジ式タペットの場合には切削量とロッカー比に比例した長さ分ネジを突き出し直す必要があり、ネジの長さによっては調整しろの不足を招く恐れがあり、ラッシュアジャスターの場合にも切削量が調整しろを越えてしまった場合に同様の不具合が発生しうる。また、カム山の頂点の位相自体はノーマルと変わらないため、ビレットからの削り出しカムほど極端なプロフィールの変更を行うことはできない。
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