シム式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/18 03:38 UTC 版)
タペット調整にシムと呼ばれる厚さの異なる金属板を用いる。この形式は直打式(または直動式)SOHCの登場とともに出現し、大半のDOHCでも用いられるようになった。タペットは円筒のカップ形で、カムとバルブステム先端の間に組み込まれている。シムを組み込む位置により、タペット上面とカムの間に挿入するアウターシムと、タペット内側とバルブステムの間に挿入するインナーシムとに別れる。 アウターシムはシムを交換する際にカムシャフトを取り付けたまま作業が行え、整備性が高い利点がある反面、極端な高回転でバルブサージングが発生した際にバルブリフターからシムが脱落する恐れがある。インナーシムはシムを交換する際には必ずカムシャフトを取り外す必要があり、整備性で劣る反面、アウターシムよりもシム脱落が起こりづらい利点がある。 どちらの形式もロッカーアームとアジャストスクリューを組み合わせる方式に比べると動弁機構全体を軽量化でき、ヘッドカバー内部をコンパクトにできる反面、タペット調整のために多数のシムや正確なマイクロメーターが必要となる。また、非常に古い型式のエンジンでは、すでに補修用シムの純正供給が終了していて目的の厚みのシムが入手できない場合もある。 近年では、シムが存在せず、リフター自体の厚みで調整を行うシムレスリフターも普及しており、この場合はシム式よりも軽量化が図れる。ただしシム式における調整にはシムのみを複数用意するだけで良いがシムレスではリフター自体で厚さを調整するため複数のリフターが必要となる。
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