施設中隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 07:06 UTC 版)
施設中隊(しせつちゅうたい)は、施設群の主となる構成部隊である。第301施設中隊を皮切りに第402施設中隊まで102個中隊が編成された。 施設群等編成時に新編された中隊は第301施設中隊から第340施設中隊及び第395施設中隊、第396施設中隊で42個中隊、地区施設隊から改編された中隊が第341施設中隊から第353施設中隊で13個中隊、それらを逐次「築城」、「障害」、「機動支援」及び「交通」の4つの機能別編成へ改編した。最新の改編では「築城」、「障害」の機能を持った施設中隊は両機能を合わせ持った1個の施設中隊に改編されており、施設群は「築城・障害」、「機動支援」及び「交通」の機能を持った施設中隊3個を編合している。 「築城」 味方部隊の陣地構築を行う機能である。OD色または迷彩塗装にした、民生品の油圧ショベルやドーザー等の土木作業重機等を装備している。特殊な機材としては掩体掘削機があり油圧ショベルの一種であるが、アーム部分が回転したりできより複雑な掘削作業ができる。また、坑道式の掩壕を掘る坑道掘削装置も築城装備の一つであるが、特に専門部隊の坑道中隊に装備されている。 「障害」 味方部隊の前面に障害(地雷原を含む)を構成する等敵部隊の前進を妨害する機能であり、道路障害作業車や83式地雷敷設装置等を装備している。ヘリコプターで空中から地雷を散布する87式地雷散布装置も装備していて素早く地雷原を構成できる。また、海中に対しては水際地雷を設置する94式水際地雷敷設装置を装備・運用する専門部隊として水際障害中隊が編されている。 「機動支援」 味方部隊の前進を容易にするため自然の、または敵部隊の構築した障害の処理(地雷処理を含む)を行う機能で、地雷原を爆破処理する92式地雷原処理車や、対戦車壕や小川などの地隙に橋を架ける91式戦車橋、障害物を排除する75式ドーザや施設作業車など自衛隊独自の装備を有する。作業中に敵部隊からの攻撃が予想されるため装甲化、機械化が図られている。 「交通」 味方部隊の通行を確保するため道路や橋を維持補修する機能で81式自走架中橋や07式機動橋を装備し、100ⅿ程度の橋を架けたり、グレーダーやタイヤローラー、バケットローダー等の民生品同等品で道路の補修を行う。渡河作業も交通任務の一つといえるが使用する器材の92式浮橋、重門橋やパネル橋を装備するのは施設団隷下の施設器材隊隷下の架橋中隊である。また、道路の舗装等高度な作業は施設器材隊隷下の特殊器材中隊が必要な装備を保有し運用する。 以上のようにそれぞれの機能を発揮するために各種の施設器材を装備するが機能別編成への改編前は、施設群内に各種器材を一括して保有した施設器材中隊が編成されていて、必要最小限の装備をした各施設中隊を付与された任務ごとに増強支援する体制となっていた。 施設中隊の沿革 1972年(昭和47年)3月1日:第301施設中隊が(北熊本駐屯地)で臨時第1混成群隷下に仮編成。 8月1日:第1施設団の改編(施設群の新編)。第302施設中隊、第303施設中隊、第304施設中隊が第3施設群隷下に(座間分屯地)で新編。 第305施設中隊、第306施設中隊、第307施設中隊が第4施設群隷下に(宇都宮駐屯地)で新編。 第308施設中隊、第309施設中隊、第310施設中隊が第5施設群隷下に(高田駐屯地)で新編。 10月4日:第301施設中隊が(那覇駐屯地)に移駐。 1973年(昭和48年)3月27日:第4施設団の改編(施設群の新編)。第311施設中隊、第311施設中隊、第313施設中隊が第6施設群隷下に(豊川駐屯地)で新編。 第314施設中隊、第315施設中隊、第316施設中隊が第7施設群隷下に(大久保駐屯地)で新編。 第317施設中隊、第318施設中隊、第319施設中隊が第8施設群隷下に(善通寺駐屯地)で新編。 8月1日:第2施設団の改編(施設群の新編)。第320施設中隊、第321施設中隊、第322施設中隊が第2施設群隷下に(飯塚駐屯地)で新編。 第323施設中隊、第324施設中隊、第325施設中隊が第9施設群隷下に(小郡駐屯地)で新編。 10月16日:第1混成団第1混成群が編成され、第301施設中隊が隷下部隊としてが編成完結。 1974年(昭和49年)3月26日:第5施設団の改編(施設群の新編)。第326施設中隊、第327施設中隊、第328施設中隊が第10施設群隷下に(船岡駐屯地)で新編。 第329施設中隊、第330施設中隊、第331施設中隊が第11施設群隷下に(福島駐屯地)で新編。 1976年(昭和51年)3月25日:第3施設団の改編(施設群の新編)。第332施設中隊、第333施設中隊、第334施設中隊が第1施設群隷下に(南恵庭駐屯地)で新編。 第335施設中隊、第336施設中隊、第337施設中隊が第12施設群隷下に(岩見沢駐屯地)で新編。 第338施設中隊、第339施設中隊、第340施設中隊が第13施設群隷下に(幌別駐屯地)で新編。 1988年(昭和63年)3月25日:第3施設団の改編(地区施設隊の施設中隊への改編)。第307地区施設隊(釧路駐屯地)を廃止。第341施設中隊を新編し、第1施設群隷下に編入。 第301地区施設隊(名寄駐屯地)を廃止。第342施設中隊を新編し、第12施設群隷下に編入。 第311地区施設隊(函館駐屯地)を廃止。第343施設中隊を新編し、第13施設群隷下に編入。 1989年(平成元年)3月24日:第2施設団、第5施設団の改編。第314地区施設隊(湯布院駐屯地)を廃止。第344施設中隊を新編し、第2施設群隷下に編入。 第305地区施設隊(都城駐屯地)を廃止。第345施設中隊を新編し、第9施設群隷下に編入。 第309地区施設隊(岩手駐屯地)を廃止。第346施設中隊を新編し、第10施設群隷下に編入。 第310地区施設隊(秋田駐屯地)を廃止。第347施設中隊を新編し、第11施設群隷下に編入。 1990年(平成 2年)3月26日:第4施設団の改編(地区施設隊の施設中隊への改編)。第313地区施設隊(岐阜分屯地)を廃止。第348施設中隊を新編し、第6施設群隷下に編入。 第303地区施設隊(出雲駐屯地)を廃止。第349施設中隊を新編し、第7施設群隷下に編入。 第324地区施設隊(三軒屋駐屯地)を廃止。第350施設中隊を新編し、第8施設群隷下に編入。 1991年(平成 3年)3月29日:第1施設団の改編(地区施設隊の施設中隊への改編)。第317地区施設隊(北富士駐屯地)を廃止。第351施設中隊を新編し、第3施設群隷下に編入。 第312地区施設隊(習志野駐屯地)を廃止。第352施設中隊を新編し、第4施設群隷下に編入。 第316地区施設隊(松本駐屯地)を廃止。第353施設中隊を新編し、第5施設群隷下に編入。 1996年(平成 8年)3月29日:第343施設中隊が(函館駐屯地)から(倶知安駐屯地)に移駐。 1999年(平成11年)3月29日:第2施設団(第11施設群の機能別施設中隊の新編等)、第4施設団の改編。第349施設中隊(出雲駐屯地)を廃止。 第350施設中隊(三軒屋駐屯地)を廃止し、第7施設群第349施設中隊を(三軒屋駐屯地)で再編。 第329施設中隊、第330施設中隊、第331施設中隊(福島駐屯地)、第347施設中隊(秋田駐屯地)を廃止。 第354施設中隊「築城」、第355施設中隊「障害」、第356施設中隊「機動支援」および第357施設中隊「交通」(秋田駐屯地)を新編。 2000年(平成12年)3月28日:第3施設団(第13施設群)の改編(第13施設群の機能別施設中隊の新編)。第338施設中隊、第339施設中隊、第340施設中隊(幌別駐屯地)および第343施設中隊(倶知安駐屯地)を廃止。 第358施設中隊「築城」、第359施設中隊「障害」、第360施設中隊「機動支援」(幌別駐屯地)および第361施設中隊「交通」(倶知安駐屯地)を新編。 2001年(平成13年)3月26日:第1施設団の改編(第3施設群の廃止、第4施設群の機能別施設中隊の新編、第4施設群の座間分屯地への移駐。)。第302施設中隊、第303施設中隊、第304施設中隊(座間分屯地)を廃止。 第305施設中隊、第306施設中隊、第307施設中隊(宇都宮駐屯地)および第352施設中隊(習志野駐屯地)を廃止。 第362施設中隊「築城・障害」(宇都宮駐屯地)、第363施設中隊「機動支援」(座間分屯地)、第364施設中隊「交通」(駒門駐屯地)に改編。 第353施設中隊が松本駐屯地から高田駐屯地に移駐。 2003年(平成15年)3月27日:第5施設団の改編(第2施設群の機能別施設中隊の新編等)。第320施設中隊、第321施設中隊、第322施設中隊(飯塚駐屯地)および第344施設中隊(湯布院駐屯地)を廃止。 第365施設中隊「築城」、第366施設中隊「障害」、第367施設中隊「機動支援」(飯塚駐屯地)および第368施設中隊「交通」(湯布院駐屯地)を新編。 2004年(平成16年):第3施設団(第1施設群の廃止等)、第4施設団(第6施設群の機能別施設中隊の新編等)の改編。3月23日:第341施設中隊(釧路駐屯地)と第342施設中隊(名寄駐屯地)を統合し、第342施設中隊が(釧路駐屯地)で再編。第341施設中隊(釧路駐屯地)は廃止。 3月27日:第4施設団(第6施設群の機能別施設中隊の新編等)の改編。第311施設中隊、第311施設中隊、第313施設中隊(豊川駐屯地)および第348施設中隊(岐阜分屯地)を廃止。 第369施設中隊「築城」(岐阜分屯地)、第370施設中隊「障害」、第371施設中隊「機動支援」(豊川駐屯地)および第372施設中隊「交通」(鯖江駐屯地)を新編。 3月29日:第332施設中隊、第333施設中隊、第334施設中隊(南恵庭駐屯地)を廃止。 2005年(平成17年)3月28日:第5施設団の改編(第9施設群の機能別施設中隊の新編等)。第323施設中隊、第324施設中隊、第325施設中隊(小郡駐屯地)および第345施設中隊(都城駐屯地)を廃止。 第373施設中隊「築城」、第374施設中隊「障害」、第375施設中隊「機動支援」(小郡駐屯地)および第376施設中隊「交通」(都城駐屯地)を新編。 2006年(平成18年)3月27日:第4施設団の改編、第2施設団(第11施設群の機能別施設中隊の再改編)の改編。第314施設中隊、第315施設中隊、第316施設中隊(大久保駐屯地)および第349施設中隊(三軒屋駐屯地)を廃止。 第379施設中隊「築城」、第380施設中隊「障害」、第381施設中隊「機動支援」(大久保駐屯地)および第382施設中隊「交通」(富山駐屯地)を新編。 第354施設中隊「築城」、第355施設中隊「障害」(福島駐屯地)を廃止し、第377施設中隊「築城」、第378施設中隊「障害」を福島駐屯地で新編。 2008年(平成20年)3月26日:第1施設団、第3施設団(第13施設群)、第4施設団の改編。第362施設中隊が宇都宮駐屯地から古河駐屯地に移駐。 第379施設中隊(大久保駐屯地)をコア部隊に改編。 第358施設中隊「築城」および第359施設中隊「障害」(幌別駐屯地)を廃止、第383施設中隊「築城・障害」を幌別駐屯地で新編。 2010年(平成22年)3月25日:第1混成団の第15旅団化、第2施設団(第10施設群の機能別施設中隊の改編)の改編。第301施設中隊(那覇駐屯地)を廃止し、第15施設中隊に那覇駐屯地で改編。 第326施設中隊、第326施設中隊、第328施設中隊(船岡駐屯地)および第346施設中隊(岩手駐屯地)を廃止。 第384施設中隊「築城」、第385施設中隊「障害」、第386施設中隊「機動支援」(船岡駐屯地)および第387施設中隊「交通」(岩手駐屯地)を新編。 2011年(平成23年)4月22日:第363施設中隊「機動支援」(座間分屯地)を廃止し、第388施設中隊「機動支援」を(座間分屯地)で新編。 第362施設中隊「築城・障害」(古河駐屯地)を廃止し、第389施設中隊「築城・障害」コア部隊を(古河駐屯地)で新編。 2013年(平成25年)3月26日:第373施設中隊「築城」及び第374施設中隊「障害」(小郡駐屯地)を廃止し、第391施設中隊「築城・障害」を(小郡駐屯地)で新編。 2014年(平成26年)3月26日:第372施設中隊を改編(管理隊新編)。 2016年(平成28年)3月29日:第1施設団(第5施設群の機能別施設中隊の新編等)の改編。第389施設中隊「築城・障害」コア部隊を(古河駐屯地)を廃止。 第308施設中隊、第309施設中隊、第310施設中隊および第353施設中隊(高田駐屯地)を廃止。 第392施設中隊「築城・障害」、第393施設中隊「機動支援」、第394施設中隊「交通」を(高田駐屯地)で新編。 2017年(平成29年)3月27日:第3施設団の再編(第12施設群の機能別施設中隊の新編、第14施設群の新編)第5施設団の改編。第335施設中隊、第336施設中隊、第337施設中隊(岩見沢駐屯地)を廃止。 第379施設中隊「築城」(大久保駐屯地)を廃止。 第395施設中隊「築城・障害」、第396施設中隊「機動支援」を(上富良野駐屯地)で新編。 第342施設中隊(釧路駐屯地)を廃止し、第397施設中隊「交通」を(釧路駐屯地)で新編。 第398施設中隊「築城・障害」、第399施設中隊「機動支援」、第400施設中隊「交通」を(岩見沢駐屯地)で新編。 第365施設中隊「築城」、366施設中隊「障害」(飯塚駐屯地)を廃止し、第401施設中隊「築城・障害」を(飯塚駐屯地)で新編。 2018年(平成30年)3月27日:第378施設中隊「障害」(福島駐屯地)、第385施設中隊「障害」(船岡駐屯地)を廃止。 2019年(平成31年)3月26日:第369施設中隊「築城」(岐阜分屯地)及び第370施設中隊「障害」(豊川駐屯地)を廃止し、第402施設中隊「築城・障害」を岐阜分屯地で新編。
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