文庫の設立とは? わかりやすく解説

文庫の設立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 02:32 UTC 版)

羽田八幡宮文庫」の記事における「文庫の設立」の解説

文政10年1827年)に入門し三河国からの平田篤胤への最初入門となった吉田羽田村羽田八幡宮田町神明社両社神主羽田野敬雄(1798-1882)は、44名もの三河人びと平田門に紹介、さらに遠江国西部からも多数紹介するなど、この地域における平田門の中心人物として大きな役割担った羽田野は、同じ気吹舎門人であった下総国農政宮負定雄(1797-1858)が著した草木撰種録』(1828年刊行)の印刷協力する一方、それを地域人びと回覧していた。それ以外にも羽田野は、村落知識人として農書を含む多数書物収集したり、書写したりして、多数書籍所有していた。 当時三河では、岡崎菅生村鶴田卓池門人200名を超す俳人として著名であったが、その高弟吉田西町の商人福谷世黄(よつぎ)、俳号水竹がいた。嘉永元年1848年3月福谷別荘俳句仲間集まったとき、福谷蔵書が3,000になったので文庫つくりたい話したのに対し羽田野が伊勢神宮神宮文庫豊宮崎文庫林崎文庫)にならって神社置いた長続きするではないかとして、三河一宮砥鹿神社愛知県豊川市)を推したが、福谷読書家羽田野が神職務め羽田八幡宮の方がよいと応答して一座了承得た。 さっそく十数人が発起人となって造立講がつくられ5月24日初会開かれて1口3両で募金始まった。約2か月187集まったが、出金者で名前の知られる人が69名、不明なもの11口で、69名の内訳吉田宿50名、周辺8か16名、域内神社神主1名、遠州新居宿本陣主人羽田野の甥)、名古屋本屋皓月文助となっている。最高額高須植田三郎菅江真澄の師で後援者だった植田義方の子孫)による16であった困窮にて書籍相求候事相成難候者にも広く披見為仕候て、自然と勧善懲悪之筋をも相弁て、善道に相進候様 — 文庫設立の目的羽田野敬雄 文庫造立願い三河吉田藩寺社係に出されたのは嘉永元年6月8日、翌6月9日には認可された。その後文庫建造についても寄合がもたれ、9月2日にはが行われて工事始まった落成したのは、翌年嘉永2年1849年))の4月23日のことである。書庫は6坪(桁行3間×梁行2間)の切妻造桟瓦葺、平入標準的な造り平屋建で、書庫周囲には水路巡らしてあり、とくに防火対策配慮したものであったまた、防湿防虫等も考慮して南側小さな窓を設けただけの閉鎖的な構えとなっている。なお、文庫建物現存し、国の登録有形文化財となっており、防火用水路は当初位置とは少し異なっているが一部は現在も残っている。 落成間もない5月8日文庫完成祝い兼ねて御文庫造立竟宴歌会」が催され38名が参加したそのうち17名が吉田藩関係者神職が4名、町人10名などとなっているが、当日来ていた短冊類は80であった和歌関心をもつ人びと集ったこの会合は、吉田藩士を中心とするものであり、藩士出金者はいなかったものの、彼らの支え無視できないものであった当時吉田歌壇リーダー藩士未亡人岩上羽子(いわがみ とはこ)であったが、歌会出席者のうち岩上を含む数名本居大平門人で、大平門から平田派入った羽田野とはかつて同門間柄だったのである文庫設立記念して著名人に額や書物寄進などを願うことは現代でもしばしばみられる羽田八幡宮文庫には、三条実万三条実美の父)からの「積中外諸典(中外に諸典を積む)」の額があり、これは羽田野の甥が新居本陣主人だったことから、実江戸下向して新居宿逗留した際に得たのであるが、『類聚国史』や『孝経』などとあわせて寄進されたものである。なお、「菅公から六世之御末孫にて当時禁中学校学習院之御学頭」の流れにして「東ノ坊城従二位中納言藤原聡長卿当戌 五十三歳」からも同文言の額が贈られている。こちらは、羽田野の女婿である吉田本町商人鈴木本の生母京都地下大江匡雄の妹だったという機縁からもたらされたものである

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