州と地方の政治
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 16:35 UTC 版)
行政府:行政府には選挙で選ばれる6人の役人がいる。知事と副知事は同じ候補者名簿で選出される。検事総長、州務長官、州財務官、および州保険委員長は別々の選挙で選ばれる。2012年時点で6人の役人は全て共和党員である。知事サム・ブラウンバックと副知事ジェフ・コリアーの組み合わせは2010年に選出され、最大2期続けて務めることが可能である。2010年にはインデペンデンス市出身のデレク・シュミットが検事総長に、パイパー市のクリス・コバックが州務長官に、ウィチタ市のロン・エステスが州財務官に、トピカ市のサンディ・プレージャーが州保険委員長に選ばれた。 立法府:上院と下院の両院制である。下院議員は125人、上院議員は40人で、共に4年任期である。2012年時点で上院の32人、下院の92人が共和党員である。 司法府:行政府の頂点はカンザス州最高裁判所であり、判事は7人いる。空席が生じた場合、9人の判事予撰委員会が選出した3人の候補者から知事が1人を指名することになっている。この委員会は州内弁護士が選出した5人と知事が選出した4人で構成されている。 カンザス州は進歩的な州という評判があり、立法では多くの「初めて」がある。労働災害補償法を定めた最初の州であり(1910年)、証券業を規制したのも初めての州だった(1911年)。1912年には女性参政権を認めたが、これはアメリカ合衆国憲法でそれを認める修正が行われる10年近く前のことだった。女性参政権が全州で認められたのは、1920年にアメリカ合衆国憲法修正第19条が批准された時だった。第一次世界大戦後、州内の多くの都市で市政委員会・シティマネジャー方式が採用されたが、当時国内の多くの都市では政治マシーン、あるいは犯罪組織に牛耳られており、中でも有名なのがミズーリ州カンザスシティのペンダーガスト・マシーンだった。1954年、トピカ市で、「ブラウン対教育委員会事件」に対する最高裁判所判決が出て、国内の学校で人種差別を行うことを禁じたのも有名である。 フランクリン・ルーズベルト大統領は1932年から4期続けて大統領に当選したが、カンザス州はこれをあまり支持しなかったことで数少ない州の1つになっている。ルーズベルトがカンザス州を制したのは4回のうち2回のみだった。ただし、1936年の場合は、対抗馬のカンザス州知事アルフレッド・M・ランドンを大差で破って州を制した。1940年はウェンデル・L・ウィルキー、1944年はトマス・E・デューイと共に共和党候補が州を制した。1948年では現職のハリー・S・トルーマンがミズーリ州境から約15マイル (24 km) 東のインディペンデンス市出身であったにも拘わらず、共和党のデューイを支持した。ルーズベルトの後でカンザス州を制した民主党候補は1964年のリンドン・B・ジョンソン一人だけである。 過去40年間でカンザス州は国内の他の地域よりも社会的に保守的になっている。1990年代には人工中絶に新しい制限を課し、ダン・グリックマンなど著名な民主党員が敗北し、州教育委員会は1999年に教育指導標準から進化論を除外する判断をした。ただし教育委員会の判断は後に撤回された。2005年、州民は同性結婚を禁止する憲法修正条項を承認した。翌年、州議会は結婚を認める最少年齢を15歳に設定する法を成立させた。2008年、キャスリーン・セベリウス州知事は「地球温暖化ガスが気候の変動に影響していることを知っている。カンザス州は農業の州として、特に脆弱である。それ故に、公害を減らすことは短期間に我々の州に恩恵を及ぼすだけでなく、次の世代にも貴重なものになる」と言って、新しい石炭焚き火力発電所建設計画に拒否権を使った。しかし、2009年にセベリウスが辞任してマーク・パーキンソンが州知事に就任すると、パーキンソンは発電所建設を認めるための妥協案を発表した。 2010年、サム・ブラウンバックが総投票数の63%を得て、州知事に当選した。8年ぶりの共和党員知事になった。ブラウンバックは5項目の「カンザス州のためのロードマップ」を掲げて選挙運動を行った。それには以下のような定量化できる目標が挙げられていた。 個人収入の増加 民間企業による雇用の増加 小学校4年生で基準に合わせて読み書きできる者の比率の増加 カレッジ進学や就職に進むことのできる高校卒業者比率の増加 貧困に沈む子供の比率の減少 ブラウンバックは2012年議会会期で、次のような5つの目標を明示した。 カンザス州の失業率を減らす手段として税制の大きな改革 増加しつつあるメディケイドに対する支払額の減少 時代遅れで非効率になってきた学校関係予算割り当ての改定 州予算の出入りバランスを保つために政府支出を減らす目的での政府の構造改革 国内でも最大級に不安定なものになっている州の雇用年金計画で、手当されていない負債80億ドル以上の排除 ブラウンバックは知事になる前のアメリカ合衆国上院議員時代は大変保守的な人物だったが、知事になってからは議論を呼ぶ決断を幾つか下してきた。2011年5月、州内の芸術面の指導者や支援者の大きな反対の声に対抗して、カンザス芸術委員会を閉鎖させ、芸術関連機関の無い初の州にした。2011年7月、費用削減の手段として、州社会復帰事業局のローレンス支所を閉鎖する計画を発表した。この計画には多くの反対の声が起こった。ローレンス市政委員会は支所を開設したままにするための予算を手当てすることを決めた。
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