山陽新幹線全線開業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 01:12 UTC 版)
「山陽本線優等列車沿革」の記事における「山陽新幹線全線開業」の解説
1975年(昭和50年)3月10日 山陽新幹線岡山駅 - 博多駅間開業により、大規模なダイヤ改正。この当時、国鉄では財政が逼迫していたため、増収を図るべく料金の高額な新幹線にできるだけ旅客を移行させることを考え、東海道新幹線が開業したときのように一部の列車を存続させるようなことはせず、昼行列車については全廃、夜行列車も大幅な削減と再編成をおこなうことになった。鹿児島本線・長崎本線系統の寝台特急に関しては、従来動力によって客車を「あかつき」、電車を「きりしま」「明星」としていたが、方面別に鹿児島本線方面を「なは」「明星」、長崎本線方面を「あかつき」とする形に整理された。なお、それまで急行列車が担っていた近距離の都市間輸送については、この改正で新設された快速列車が担うこととなった。 廃止列車 特急列車「つばめ」・「はと」・「かもめ」・「みどり」・「しおじ」・「日向」・「月光」・「きりしま」・「なは」 急行列車「桜島」・「高千穂」・「つくし」・「天草」・「屋久島」・「日南」・「音戸」・「山陽」・「玄海」・「安芸」・「青島」・「はやとも」・「長州」 ※「出島」は九州内のみの運転となる。 本数削減 「あさかぜ」 3往復→2往復(東京駅 - 博多駅、下関駅) 「あかつき」 7往復→3往復(すべて長崎本線・佐世保線系統となる) 「彗星」 5往復→3往復 新設列車 特急列車「なは」 新大阪駅 - 西鹿児島駅 583系電車(「きりしま」を改称) 「安芸」 新大阪駅 - 下関駅 20系客車(呉線経由・新大阪駅 - 下関駅間の「音戸」を特急に格上げ) 急行列車「くにさき」 大阪駅 - 大分駅 客車 「阿蘇」 新大阪駅 - 熊本駅 客車(「天草」を改称) 増発列車 「明星」 定期3往復・不定期1往復→定期7往復(「あかつき」の鹿児島本線系統編成などを統合) その他 「はやぶさ」は東京駅 - 西鹿児島駅間に、「みずほ」は東京駅 - 熊本駅・長崎駅間に運行区間を変更。 「雲仙」・「西海」は併結列車(新大阪駅 - 長崎駅・佐世保駅)となった。 1978年(昭和53年)10月2日 山陽新幹線への乗客の移行が予想以上に進んだことや、1975年(昭和50年)11月に行われた料金値上げ(平均32.2%・グリーン料金は約92%)と国鉄労働組合(国労)・国鉄動力車労働組合(動労)などによる8日間連続に及ぶストライキ、さらに翌1976年(昭和51年)10月に行われた運賃・料金の50%値上げなどの影響で国鉄そのものの利用客数が減ったことから、「ゴー・サン・トオ」と呼ばれるダイヤ改正を実施し、夜行列車の整理が行われる。まず、「安芸」が、急行から特急に格上げられたもののさほどスピードアップしなかったことで実質的な「値上げ」と利用客に受け取られたことや、呉線内での時間帯の悪さなどが原因で利用客が低迷したことから廃止された。これ以外にも「明星」は4往復、「あかつき」も2往復に削減されたほか、「くにさき」と「阿蘇」も門司駅まで併結運転となる。 1980年(昭和55年)10月1日 このダイヤ改正では再び列車が削減され、急行「阿蘇」・「くにさき」・「雲仙」・「西海」廃止。山陽本線の定期夜行急行が消滅した。また、「明星」も1往復削減されて3往復となる。「彗星」も1往復削減により2往復に。 1982年(昭和57年)11月15日 このときのダイヤ改正で、「金星」は廃止(多客期に運転されていた臨時列車のみ引き続き臨時列車として残存、のち廃止)され、「明星」を1往復に削減。なおこれらの優等列車と貨物列車の削減によってダイヤに余裕ができたことから、山陽本線の広島駅 - 大野浦駅・岩国駅で、普通列車をそれまでの毎時1・2本から日中15分間隔にする国電・私鉄風のパターンダイヤが試験導入された。 1984年(昭和59年)2月1日 このときのダイヤ改正で、「明星」が「あかつき」と併結運転となり、「彗星」も1往復削減によって1往復となる。また、広島での試験導入がおおむね良好な成績を収めたことから、山陽本線・呉線の岡山駅 - 糸崎駅間、西条駅 - 広島駅間、呉駅 - 広島駅間でも同種の普通列車増発によるパターンダイヤを導入。以後、国鉄では「他交通機関との競争力を失った優等列車を削減する傍らで地域輸送列車を増発する」形のダイヤ改正が主流となっていくことになった。 1986年(昭和61年)11月1日 「明星」は臨時列車に格下げされ、「あかつき」も1往復になる。また、このとき行われたダイヤ改正は翌1987年(昭和62年)4月に国鉄分割民営化によるJR発足も控えていたので、国鉄最後の大規模改正であるとともに分割民営化を前提としたものとなり、全国的に「地域密着型ダイヤ」というべき普通列車の増発が行われた。
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