富山県アベック拉致未遂事件とは? わかりやすく解説

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富山県アベック拉致未遂事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/03 10:22 UTC 版)

富山県アベック拉致未遂事件(とやまけんアベックらちみすいじけん)とは、1978年8月に富山県の海岸で若いアベックが襲われ、拉致されそうになった事件[1]。新聞記者阿部雅美による取材・報道を通じて、一連の北朝鮮による日本人拉致事件が発覚するきっかけとなった[1]


注釈

  1. ^ 人数について、1978年の当初の報道やそれを受けた書籍には4人とあるが、西岡力の『コリア・タブーを解く』(1997年)では6人と記述している[2]。現在では、5〜6人という説が有力だが、当時の地元警察の発表を尊重して4人とすることもある[7]
  2. ^ 地村保志は当時23歳の大工見習い、富貴恵は当時22歳の店員だった[9]
  3. ^ 蓮池薫は当時20歳で帰省中の中央大学学生、祐木子は当時22歳の美容指導員だった[10]
  4. ^ 市川修一は当時23歳で鹿児島市日本電信電話公社勤務、増元るみ子は当時24歳の事務員だった[11]
  5. ^ 現・JR西日本
  6. ^ 犯行にそぐわない「静かにしなさい」という丁寧な言葉をかけられたのは、彼女だけではなかった[5]。蓮池薫も帰国後、拉致事件のとき「すいません、たばこの火を貸してくれませんか」と声をかけられ、突然、顔を腫れあがるほどに殴られた後、「静かにしなさい」と言われて袋を頭からかぶせられたことを証言している[5]
  7. ^ 辛光洙は1985年、韓国の警察によって逮捕され、1980年6月に日本人原敕晁宮崎県青島海岸に連れ出して拉致した罪を認める詳細な自供を行い、無期懲役の判決が下ったが、金大中大統領の判断で恩赦が下り、15年に減刑された[25]。辛光洙は15年の服役生活を終え、2000年(平成12年)に北朝鮮に帰還した。日本の警視庁公安部は2006年(平成18年)2月23日、辛光洙を1978年に福井県から地村夫妻を北朝鮮に連れ去ったほか、1980年6月に原敕晁を拉致したとして、国外移送目的略取と国外移送の容疑で再度逮捕状を取得、辛光洙の引き渡しを北朝鮮に求めた(北朝鮮は求めに応じていない)。同年3月3日、重ねてICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際指名手配した[26]。辛光洙はチェ・スンチョルや丁順権らとともに横田めぐみの拉致にも関わったといわれる。なお、2016年7月25日朝鮮中央テレビの映像には辛光洙とみられる人物の姿が確認されている[27]
  8. ^ 1980年1月9日付『サンケイ新聞』は、1977年9月の「宇出津事件」を密出国事件ではなく、久米裕拉致事件として1面で報道した[29]警視庁公安部石川県警察国外移送目的略取国外移送の容疑で宇出津事件の主犯金世鎬逮捕状をとり、国際刑事警察機構(ICPO)を通して国際指名手配を行ったのは、2003年平成15年)1月9日のことであった[30]
  9. ^ 拉致被害者蓮池薫の兄、蓮池透はこの記事を知って心底仰天したが、想像を絶する話であり、あまりに日常から乖離していて実感がともなわなかったと振り返っている[31][32]。横田めぐみの母、横田早紀江はサンケイ新聞新潟支局へ行き、「これと同じことがわが子の身の上にも起こったのではないか」と支局長に話したが、支局長の答えは「蒸発事件はアベックばかりだからちょっと違うのではないか」というものだったことを記している[31][33]
  10. ^ 阿部雅美は、梶山答弁が報じられなかった1988年3月26日のことを「メディアが死んだ日」と呼んでいる[35][36]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 「音声ドキュメント 北朝鮮拉致報道 /第1話 日本海の方で変なことが起きている」 - 産経新聞社制作(原作:阿部(2018)
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 西岡(1997)pp.8-10
  3. ^ a b c d e f g h i j k 畠(2002)pp.7-9
  4. ^ a b c d e f 阿部(2018)pp.23-26
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 阿部(2018)pp.35-38
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「音声ドキュメント 北朝鮮拉致報道 /第2話 怪しげな男たち」 - 産経新聞社制作(原作:阿部(2018)
  7. ^ a b c d e f g 阿部(2018)pp.38-41
  8. ^ 畠(2002)p.31
  9. ^ a b c 荒木(2005)pp.188-189
  10. ^ a b 荒木(2005)pp.189-190
  11. ^ a b c 荒木(2005)p.190
  12. ^ 荒木(2005)pp.36-39
  13. ^ 阿部(2018)pp.53-56
  14. ^ 荒木(2005)pp.191-192
  15. ^ 荒木(2005)pp.186-187
  16. ^ a b 阿部(2018)pp.20-23
  17. ^ a b c 阿部(2018)pp.26-29
  18. ^ a b c d e 阿部(2018)pp.29-32
  19. ^ a b c d e 阿部(2018)pp.32-35
  20. ^ a b c d 阿部(2018)pp.41-44
  21. ^ a b c d e 「音声ドキュメント 北朝鮮拉致報道 /第3話 執念の取材」 - 産経新聞社制作(原作:阿部』(2018)
  22. ^ a b 阿部(2018)pp.47-53
  23. ^ 阿部(2018)pp.65-67
  24. ^ a b 阿部(2018)pp.68-71
  25. ^ 救う会声明「金大中前大統領に糾したい」”. 救う会全国協議会ニュース. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2005年5月22日). 2021年9月5日閲覧。
  26. ^ 金総書記直属の幹部を国際手配へ 原さん拉致事件で”. 日本経済新聞 (2011年9月29日). 2021年9月5日閲覧。
  27. ^ 拉致関与の辛光洙容疑者か 朝鮮中央テレビで確認”. テレ朝NEWS. テレビ朝日 (2016年7月25日). 2021年9月25日閲覧。
  28. ^ a b c 「音声ドキュメント 北朝鮮拉致報道 /第4話 虚報といわれたスクープ」 - 産経新聞社制作(原作:阿部(2018)
  29. ^ 阿部(2018)pp.74-80
  30. ^ 久米裕さん拉致実行犯に対する刑事告発”. 救う会・福岡. 2021年9月5日閲覧。
  31. ^ a b c 阿部(2018)pp.80-83
  32. ^ 蓮池透(2003)
  33. ^ 横田早紀江(1999)
  34. ^ 阿部(2018)pp.86-88
  35. ^ a b c d e f 「音声ドキュメント 北朝鮮拉致報道 /第5話 メディアが死んだ日」 - 産経新聞社制作(原作:阿部(2018)
  36. ^ a b c d e f 阿部(2018)pp.119-122


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