外国文化との比較
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和辻哲郎『風土』 1931年 マルティン・ハイデッガーの『有と時間』および外国滞在の経験に触発されて、モンスーン・砂漠・牧場の気候・風土に(時間軸に対して空間軸に)主眼に置いた比較文化論。 ルース・ベネディクト『菊と刀』 1946年 文化人類学者であるベネディクトは、人々の行動が一定のパターン(行動の型)に落ち着いていくすじ道(the way)を注視し、そのすじ道を支配する文化の型を追究した。『菊と刀』の基礎となった研究は第二次世界大戦中、アメリカの日本占領政策を検討するために試みられたもので、西欧文化は自分が善いと信じたことは他者が何と言おうと曲げない「罪の文化」であるのに対し、日本文化は自分が善いと思ったことでも他者がこぞって否認すれば実行しないという「恥の文化」であることを明らかにした。しかしそれだけでは真に日本的なものを知ったことにならないので、さらに進んで禅の思想を追及するとともに日本人の嬰児、幼児、青少年に対する育て方、教育の仕方を調査して、光り輝く、錆びさせてはならない刀によって象徴される「自己責任の態度」と、輪台の上に整列させられる花弁の集合としての菊によって象徴される「偽装された意志の自由」が日本文化の型であるとの結論を得た。1948年、日本でも刊行されベストセラーとなり、日本文化論、日本人論の古典となった。 イザヤ・ベンダサン(山本七平訳)『日本人とユダヤ人』文藝春秋 1970年(現在は、山本七平の単独の著書として角川書店から、2004年) ユダヤ人の眼から見るとこう見える、という設定で、日本人は安全と水はタダだと思っている、不思議だ、と論じた。 トレバー・レゲット『紳士道と武士道:日英比較文化論』 サイマル出版会 1973年 駐日外交官やBBC日本語部長を歴任した著者が、島国気質やジェントルマン・シップなど、日本人とイギリス人のものの見かたの共通点や差異を比較した書。 ロバート・ホワイティング『菊とバット』サイマル出版会 1977年 野球を通して日米の文化について比較考察する。書名はルース・ベネディクトの『菊と刀』より。 ピーター・ミルワード『イギリス人と日本人』講談社 1978年 イエズス会の司祭で上智大学や東京純心女子大学で英語を教える著者が、イギリス人と日本人について比較考察する。 グレゴリー・クラーク『ユニークな日本人』講談社現代新書 1979年 ISBN 4061455605 イギリス生まれで外交官としていくつかの国・文化と接した著者が、いくつかの国と日本との体感する違いを把握しようとして、感性主義と知性主義、個別主義と普遍主義という概念での認識に行き着き、これを提示・提案する。 ポール・ボネ(藤島泰輔の筆名)『不思議の国、ニッポン-在日フランス人の眼』角川書店 1982年 フランス人の眼にはこう映る、という設定で、日本のあれこれを 不思議だ、と論じた。 金容雲『韓国人と日本人 双対文化のプリズム』サイマル出版会 1983年 シーラ・K・ジョンソン著 鈴木健次訳 『アメリカ人の日本観』サイマル出版会 1986年 ISBN 4-377-30708-8 池田雅之『イギリス人の日本観 来日知日家が語る"ニッポン"』河合出版 1990年 綾部恒雄編著 『外から見た日本人』 朝日新聞社(朝日選書) 1992年 ISBN 4-02-259543-4 篠田雄次郎『日本人とドイツ人 猫背の文化と胸を張る文化』光文社 1997年 クライン孝子『お人好しの日本人 したたかなドイツ人』海竜社 2001年 リチャード・E・ニスベット『木を見る西洋人 森を見る東洋人』ダイヤモンド社 2004年 斉藤智之『日本幽囚記』の世界』――アイヌモシリ・罪と罰・戦争と平和』私家版 2021年 ISBN 978-4-9904027-7-8
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