十六歳の日記とは? わかりやすく解説

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十六歳の日記

作者川端康成

収載図書日本幻想文学集成 20 川端康成 白い満月
出版社国書刊行会
刊行年月1993.6

収載図書伊豆の踊子骨拾い川端康成初期作品集
出版社講談社
刊行年月1999.3
シリーズ名講談社文芸文庫

収載図書伊豆の踊子温泉宿 他四篇 改版
出版社岩波書店
刊行年月2003.9
シリーズ名岩波文庫

収載図書伊豆の踊り子ほか
出版社教育出版
刊行年月2003.12
シリーズ名読んでおきたい日本名作

収載図書いのちの文箱名作にみる看・護・療
出版社
刊行年月2005.4
シリーズ名Seishido brochure


十六歳の日記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/21 01:57 UTC 版)

十六歳の日記』(じゅうろくさいのにっき)は、川端康成の短編実録小説[1][2]。川端が数え年16歳(満年齢で14歳)の時、寝たきりの祖父の病状を写実的に記録した日記である[1][2]。川端が少年期に書いた最も古い執筆で、実質的な川端の処女作とされている[3][4][2][注釈 1]。執筆から10年後に川端の伯父の倉から発見され、川端本人による注釈や補足、あとがきが27歳(数え年)の時点で付記され作品として発表された[7][2][8]。死を間近にひかえて日に日に弱ってゆく最後の肉親である祖父への、少年らしい愛情と死への嫌悪が描かれ、非凡な川端少年の文学者的才覚や、川端文学の原点となる表現方法の萌芽や孤独感が垣間見られる作品である[6][9][10][2][11][12]


注釈

  1. ^ 川端は『十六歳の日記』、『招魂祭一景』、『ちよ』を自身の処女作としている[5][6]
  2. ^ 川端が伊豆湯ヶ島温泉「湯本館」で『伊豆の踊子』の刊行の作業をしていた頃、転地療養のため湯ヶ島にやって来た梶井基次郎に旅館「湯川屋」を紹介し、たびたび川端の宿に遊びにくる梶井に校正を手伝ってもらった[15]
  3. ^ 「ぼんぼん」とは、京阪地方で、良家の若い息子を呼ぶ言い方[22]
  4. ^ 「大神宮さま」は伊勢の皇大神宮、あるいは天照大神のこと[22]
  5. ^ 叔母・タニの嫁いだ秋山家は、大阪府東成郡鯰江村蒲生35番屋敷(現・大阪市城東区蒲生)の素封家だった[26][25][27]。康成は姉・芳子とはずっと別れて暮らし、祖母の葬式とその直後の〈都合2度〉会っただけで、〈ただ一つの記憶らしい〉ものとして、畳の上で泣いている姉の姿しか記憶にないという[28]

出典

  1. ^ a b c 「第一編 評伝・川端康成――孤児」(板垣 1969, pp. 7–26)
  2. ^ a b c d e f g h i j k 「第二編 作品と解説――十六歳の日記」(板垣 1969, pp. 113–118)
  3. ^ a b c d e 「あとがき」(『川端康成全集第2巻 温泉宿』新潮社、1948年8月)。独影自命 1970, pp. 32–53に所収
  4. ^ a b 小菅 1996
  5. ^ a b 「あとがき」(『川端康成全集第1巻 伊豆の踊子』新潮社、1948年5月)。独影自命 1970, pp. 13–31に所収
  6. ^ a b 長谷川泉「十六歳の日記」(作品研究 1969, pp. 13–27)
  7. ^ a b c d e f 「あとがき――十七歳の日記〈のち「十六歳の日記」)」(『文藝春秋』1925年9月号)。小説2 1980, pp. 40–44、踊子・集英 1993, pp. 66–100に所収
  8. ^ 原善「十六歳の日記」(事典 1998, pp. 184–187)
  9. ^ a b c d e 奥野健男「解説――鮮やかな感覚表現」(踊子・集英 1993, pp. 254–263)
  10. ^ a b c 立原正秋「川端文学のエロティシズム」(『新潮』1972年6月号)。
  11. ^ 「第一章 死の影のもとに――〈魔界〉の淵源 第二節 祖父三八郎の死と孤絶の意識」(森本・上 2014, pp. 16–21)
  12. ^ 「第2章 『十六歳の日記』から『伊豆の踊子』」(富岡 2015, pp. 33–52)
  13. ^ a b c 「解題――十六歳の日記」(小説2 1980, pp. 579–580)
  14. ^ a b c d e f 羽鳥徹哉「『川端康成』編 解説」(作家の自伝 1994, pp. 319–325)
  15. ^ a b 「『伊豆の踊子』の装幀その他」(文藝時代 1927年5月号)。評論5 1982, pp. 29–42、作家の自伝 1994に所収
  16. ^ 「翻訳書目録」(雑纂2 1983, pp. 649–680)
  17. ^ a b 「第一部」(進藤 1976
  18. ^ a b c d e f g 「十七歳の日記〈のち「十六歳の日記」〉」(『文藝春秋』1925年8月号-9月号)。小説2 1980, pp. 7–44、踊子・集英 1993, pp. 66–100に所収
  19. ^ a b c d e f 川端康成「あとがき――二」(踊子・岩波 2003, pp. 224–229)。評論5 1982, pp. 628-に所収
  20. ^ a b c d e 「第六巻あとがき」(『川端康成選集第6巻 父母への手紙』改造社、1938年8月)。評論5 1982, pp. 575–577に所収
  21. ^ 「処女作の思ひ出」〈のち「処女作を書いた頃」と改題〉(新女苑 1938年6月号)。評論5 1982, pp. 126–129に所収
  22. ^ a b 「語注――十六歳の日記」(踊子・集英 1993, pp. 245–247)
  23. ^ a b 「故園」(『文藝』1943年5月号-1945年1月号)。小説23 1981, pp. 473–544に所収。作家の自伝 1994に「一」から「五」まで掲載。基底 1979各所、田中保隆「故園」(作品研究 1969, pp. 189–204)に抜粋掲載
  24. ^ 川端香男里「年譜」(雑纂2 1983, pp. 467–493)
  25. ^ a b 「川端康成、その故郷」(新潟大学 新大国語1975年3月号)。基底 1979, pp. 21–34に所収
  26. ^ a b c d e f g h 羽鳥徹哉編「年譜」(作家の自伝 1994, pp. 311–317)
  27. ^ 森晴雄「川端康成 略年譜」(太陽 2009, pp. 161–165)
  28. ^ 「父母への手紙」(第一信)(若草 1932年1月号)。小説5 1980, pp. 181–232、作家の自伝 1994に所収
  29. ^ a b c d 「川端康成集注釈」「川端康成年譜」「注釈者あとがき」(文学大系 1990
  30. ^ 「ちよ」(校友会雑誌 1919年6月18日・第277号)。小説21 1980, pp. 9–26、初恋小説 2016, pp. 289–309、怪談傑作選 2006, pp. 41–59に所収
  31. ^ a b c 「川端康成と祖父三八郎」(国語と国文学 1975年11月号)。基底 1979, pp. 62–84に所収
  32. ^ a b c 「『内に深く泉を胸に探る』少年」(アルバム川端 1984, pp. 2–17)
  33. ^ a b c d 「会葬の名人」〈のち「葬式の名人」〉(『文藝春秋』1923年5月号)。小説2 1980, pp. 71–82、作家の自伝 1994に所収
  34. ^ 三枝 1961板垣 1969, p. 118
  35. ^ a b c d e 伊藤整「川端康成の芸術」(『文藝』1938年2月号)。『私の小説研究』(厚生閣、1939年12月)に所収。文芸読本 1984
  36. ^ a b 山本健吉『川端康成〈近代文学鑑賞講座第13巻〉』(角川書店、1959年1月)。板垣 1969, pp. 117–118
  37. ^ a b c 小林秀雄「川端康成」(『文藝春秋』1941年6月号)。『歴史の文学』(創元社、1943年)所収。文芸読本 1984
  38. ^ 「第二章 宿命の影―『十六歳の日記』ほか―」(川嶋 1969, pp. 33–64)
  39. ^ 「鳶の舞ふ西空」(『新潮』1970年3月号)。随筆3 1982, pp. 441–448
  40. ^ a b c d 「川端康成の生と死」(林武 1976, pp. 9–16
  41. ^ a b 江藤淳「川端康成の源流―その存在と社会―」(文學界 1972年6月号)。『江藤淳著作集 続』第2巻「作家の肖像」(講談社、1973年3月)に所収。森本・上 2014, p. 21
  42. ^ a b 竹西寛子「川端康成 人と作品」(踊子・新潮 2003, pp. 179–187)
  43. ^ 国立国会図書館オンライン | National Diet Library Online”. ndlonline.ndl.go.jp. 2022年10月10日閲覧。


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