作画以降の工程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 08:51 UTC 版)
仕上げ チェックされてOKになった動画は仕上げにまわされる。メインのキャラクターについては、キャラクター表ができたときに色見本を作って、実際に背景にのせて決定しておく。色指定では、基本的なキャラクターの色指定の他に、背景の色彩を考えた上で決めるものもある。夜のシーンや、演出的に色を変えたいシーンについては、美術監督、演出、場合によっては撮影監督などもまじえて、より効果的な色味(色指定)や撮影方法を相談して決める。小道具の色もここで決定する。色指定の済んだ動画はトレス・マシン(動画の線を透明なセルにコピーする機械)にかけられる。トレス・マシンでうまくコピーされなかった線や、コピーのかすれたところはトレスで補正する。トレスでは、線の補正の他に色トレス部分のペン入れなどをする。次に彩色にまわされ色指定通りの着色がなされる。セルに塗る絵具の数も国産アニメーションよりずっと多く(国産アニメーションでは80~130色程度)、『ホビットの冒険』の際は実に380色も用意され、しかも背景のムードに合わせて特別に作ったものがほとんどであった。彩色の済んだセルは、色の間違いや色抜け、はみ出しがないかどうか一枚一枚検査され、煙などのように特殊な効果が必要なカットは、ブラシ(エア・ピース)をかける作業にまわされる。(特殊効果とか特効とよぶ。)また、透過光を必要とするカットについては撮影用にマスクなどが作成される。 背景 作画打ち合わせと同じように美術監督と打ち合わせが行われる。各シーンをどんな背景のムードでまとめるか、このシーンは昼なのか、夜なのか、また、霧、雨とか雪であるかとかをストーリー・ボードにそって、細かく記した背景香盤表を作成する。これをもとに、ディスカッションし、背景のイメージを固めていく。それをもとに、さらに背景設定や背景色彩設計、カラー・ボード(背景色見本)を作る。『ホビットの冒険』のときは、アーサー・ラッカム(イラストレーター)の作風でという、ランキンの指示があったので、ペンで背景を描きその上から水彩絵具で色をつけるという、非常に手間のかかった背景となった。さて、原画でおこされたレイアウトは、キャラクターの位置や芝居の状況が描かれていますが、背景はラフにしか描かれていない。このレイアウトは、美術デザイナーに渡され、背景設定や資料をもとに、どんな背景を描けば良いかという設計図ともいうべき、背景原図をおこす。この背景原図をもとに一枚一枚背景が描かれていく。 撮影 セルと背景は、カットごとに組み合わされて撮影に出すのであるが、その前に演出が実際に背景の上にセルを置いて、どの位置で撮影したら良いかを決める作業をする。これを「撮出し(撮影出し)」という。このときカメラワークや特殊な撮影について、撮影監督と打ち合わせしたりして、作品の統一をはかる。撮影ではタイム・シートを見ながら1コマ1コマていねいに撮影していくのである。タイム・シートのひとつのマス目が1コマにあたる。セルの置き換えやカメラワークもこのタイム・シートに指定してある。セルは、下からA-B-C-Dセルという順に重ねて撮影する。セルは透明ですが、完全に透明ではなく、重ねるごとにだんだん色が濃くなってしまう。セル重ねは出来る限り少なくする。セルを重ねると背景にも影響がでますので、理想的には1枚セルがいい。透過光などに使うマスク等は普通Eセルとして作成してある。アニメーションにおいてはこのタイム・シートが大変重要なのである。作画におけるタイミングの善し悪しも、撮影におけるタイミングの善し悪しもこのタイム・シートにかかってくる。また、撮影し直す場合にもこのタイム・シートがあれば同じように撮影することができる。タイム・シートを見ればどのようにフィルムができあがるかわかる。それだけに、タイム・シートの内容の確認は「撮出し」のときに、再確認して間違いのないようにしておく。 編集 合作の場合は、あらかじめ絵が音に合わせて作られているので、国産アニメーションのように思い切った編集はできない。シネ・テープとフィルムを同時にビュアーにかけて編集するのであるが、もしズレがでたときはどうするかという問題がある。このような場合に備えて、タイム・シート作成のときに「予備コマ」というのを設けている。カットごとのタイム・シートの始めと終わりに4コマずつくらい余分にのばして動きをつけて撮影しておく。これで、前後4コマぶん、計8コマぶん絵をずらすことが可能になり、シネ・テープの音とのズレ、特にセリフの微妙なズレやアクションつなぎを、よりスムーズにすることができる。スポッティングがちゃんとなされていればこの予備コマで十分対応することができる。 ダビング~トップクラフト側の作業終了 さて、編集が終わるとオール・ラッシュを行う。ここでもRANKIN/BASSプロダクションのチェックがある。直さねばならないところや問題となる箇所が指摘される。リテーク(直し作業)はこのときまでに決めておき、チェックにないリテークは追加される。編集済みのラッシュは、効果へ渡される。効果音についてだけは、動きのタイミングの方を重視するため、サウンド・トラックとズレても入れ直すことができることになっている。RANKIN/BASSプロダクションより送られて来た効果音にさらに新しい効果音を足したり、合わない効果を変更したりして完全なものにする。ダビングでは、RANKIN/BASSプロダクションが、自国で最終ミックスをするための素材を作る。セリフと音楽はまったくの日本側では動かしませんので、効果音を中心としたダビングになる。平行して、リテーク作業、ネガ編集も行われる。ダビング、リテーク作業、ネガ編集が終了すると原版完成となる。こうして初号プリントができあがる。 表 話 編 歴 スタジオジブリ 作品 アニメ 長編天空の城ラピュタ となりのトトロ 火垂るの墓 魔女の宅急便 おもひでぽろぽろ 紅の豚 海がきこえる 平成狸合戦ぽんぽこ 耳をすませば もののけ姫 ホーホケキョ となりの山田くん 千と千尋の神隠し 猫の恩返し ハウルの動く城 ゲド戦記 崖の上のポニョ 借りぐらしのアリエッティ コクリコ坂から 風立ちぬ かぐや姫の物語 思い出のマーニー レッドタートル ある島の物語 アーヤと魔女 君たちはどう生きるか 短編そらいろのたね On Your Mark ギブリーズ フィルムぐるぐる くじらとり コロの大さんぽ めいとこねこバス 空想の空飛ぶ機械達 空想の機械達の中の破壊の発明 ギブリーズ episode2 ポータブル空港 space station No.9 空飛ぶ都市計画 水グモもんもん 星をかった日 やどさがし ちゅうずもう パン種とタマゴ姫 たからさがし 毛虫のボロ ゲームガラクタ名作劇場 ラクガキ王国 二ノ国 実写式日 サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS 巨神兵東京に現わる 人物 責任者徳間康快 原徹 松下武義 鈴木敏夫 星野康二 監督経験者宮崎駿 高畑勲 望月智充 近藤喜文 百瀬義行 庵野秀明 本広克行 森田宏幸 宮崎吾朗 山下明彦 米林宏昌 樋口真嗣 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 在籍経験者川上量生 志茂文彦 武重洋二 安藤雅司 近藤勝也 保田道世 片塰満則 西村義明 岸本卓 関連作品風の谷のナウシカ 夢と狂気の王国 人間は何を食べてきたか 関連施設三鷹の森ジブリ美術館徳間記念アニメーション文化財団 マンマユート団 サツキとメイの家 豚屋 草屋 ジブリパーク 関連会社トップクラフト 二馬力 徳間書店 日本テレビ放送網 ウォルト・ディズニー・ジャパン スタジオポノック
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